ノロと半夏瀉心湯

平成から令和へ。代替わりの10連休が始まった。

私は今、天皇の歴史をたどって奈良にいる・・・はずだった。

ところが、世の中はそう思い通りには進まないもので、私はまだ自宅にいてこうしてその顛末を書こうとしている。

 

異変が起きたのは、おととい金曜日の昼だった。

私は仕事の関係で、水曜日から2泊3日で韓国に出張し、昼前に羽田空港に戻った。モノレールに乗ろうとした時、突如便意をもよおしトイレに駆け込んだ。

激しい下痢だった。

思い上がる節はいろいろあった。

毎食辛い韓国料理を食べていたし、前夜は遅くまで激しく飲まされた。最近穏やかな生活をしている胃袋にはちょっと刺激が強すぎたのだろうと、軽く考えていた。

翌日からの旅行の準備もあったので、その日は会社に戻らず自宅に直帰した。

電車の中で体がだるくなってくる。昨夜の酔いが戻ってきたようだった。

自宅に帰り着くと、「ちょっと寝る」と妻に言ってすぐに横になった。すると、今度は気持ち悪くなってきて、胃酸が喉元まで逆流してくる。胃薬を飲んだりしてなんとか抑え込もうとしたが吐き気が強くなってくるので、これは吐いてしまった方が楽だと判断してトイレに向かう。

思ったよりも多量に吐いた。

「やはり昨夜飲んだ量は半端じゃなかったな」と改めて分析しながら、この段階では完全に二日酔いだと思っていた。過去の経験から二日酔いの場合、吐けば少し楽になるものだ。だからそのまま寝床に入り、少し休憩しようと思った。

ところが、体のだるさは一層強くなり、手足が冷えて悪寒がする。

また便意をもよおしトイレに行く。今度の便は水のようなだ。

妻も私の異変に気付いたようで、「熱を計る?」と言って体温計を持ってきてくれた。計ってみると、37.5℃あった。

「最近お腹にくるインフルエンザが流行っているらしいよ。明日から10連休だからお医者さんに行ってみれば」と妻が言った。

私もただの二日酔いではないかもしれないと思い始めていたため、素直に妻のアドバイスにしたがってかかりつけの吉祥寺メディカルクリニックで診察を受けた。

最初に下痢してからまだ3−4時間しか経っていないが、その間の経緯を詳しく話す。

私の話を聞いたお医者さんは、「それは急性胃腸炎、おそらくノロですね」と予想外のことを言った。

「今日は食事は控えてください。食べると悪化するので」とも言う。確かに、朝起きた時にはなんともなかったのに、機内食を食べた後からお腹が張ってきた感じがする。

医者が処方してくれた薬は、漢方だった。

「半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)」

ツムラの解説を読むと、このように解説されている。

『体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:
急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症』

これを3時間おきに飲むのだという。

状況によって飲めるよう、下痢止め、吐き気どめ、整腸剤なども合わせて出されたが、基本的には半夏瀉心湯が主役である。

「明日の夕方ごろにはお腹がすいてくるでしょうから、おかゆやうどんなど柔らかいものから少しずつ食べて結構です。それまでは脱水症にならないよう、ポカリスエットやOS-1などをしっかり飲んでください。3日ほどでよくなります。」

そんなお医者さんの言葉に少しホッとしながら、家に帰って早速、半夏瀉心湯を飲む。

顆粒の飲み薬でさほど癖はない。

そして、お医者さんの指摘通り、この薬がとてもよく効いた。下痢や吐き気はその日のうちに収まり、夜もそれなりに寝ることができた。

翌日には熱も下がり、夕方にはちゃんとお腹がすいてきて、おかゆを食べられた。

IMG_9843

私がそうやって病と闘っている間、妻は旅行のキャンセルに追われた。この10連休はどこの施設も強気で、キャンセル料が通常より高いところが多かった。

楽しみにしていた旅行がノロのおかげで台無しだ。しかし、自業自得。誰に文句を言うこともできない。

でも、おかけで、最近体重が増えていた体重が2キロ落ちた。

悪いことばかりではない。元気が出てくると、いつものポジティブシンキングが働き始める。

唯一キャンセルせずに残している「鳥羽国際ホテル」に行くことを目標に体調を整えようと考えている。鳥羽は4月30日から5月1日の1泊のみ。このホテルで令和を迎え、伊勢神宮にお参りしてきたい。

とにかく、半夏瀉心湯の効力を信じて、我が身を律したいと思っている。

 

コメントを残す