暴風台風

事前災害というのは、やはり人間の想像力を超えるものだ。

強風と高潮への注意が呼びかけられた台風21号。予報通り、紀伊水道を抜け関西を直撃した。死者こそ少なかったが、想定外の事態が起きた。

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最大の被害を受けたのは、関西空港だった。

滑走路が完全に水に浸かった。このヘリの映像は台風が過ぎ去ってかなり経ってから撮影したものだが、それでもまだ高潮による海水に覆われている。

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ピーク時には、空港が一面水没してしまい、海との境もわからなくなってしまった。

作業車や空港施設も海水に浸かったため、水が引いても直ちに運航を開始できるかわからない。中には、エンジン部分まで水が達した飛行機もあったという。

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でも、それ以上に深刻なのは、関空と対岸の泉佐野市を結ぶ唯一のルートである空港連絡橋に強風で流されたタンカーが激突した事故だ。

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橋にぶつかったタンカーは、激しい波で上下に揺り動かされてついには橋にめり込んでしまった。

船は当然壊れたが、橋の方にも大きな被害が出た。

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長時間にわたってタンカーに押され、上下に揺すられた橋桁は、ついにずれてしまった。

これでは当分の間、片側車線は通行不可能だ。

おまけにこの橋、真ん中に鉄道の線路が走っている。ずれた橋桁が線路の上にはみ出し、鉄道用の送電線にも被害が出た。これで、大阪と空港を結ぶ鉄道もしばらくは使えないだろう。

関空はもともと海上に作られた空港で、この橋だけが頼りだ。橋の復旧を急がなければ、大量の利用客を空港に運ぶことができない。

果たしてどれだけの航空便が今後欠航となるのか? 被害額はどれぐらいか?

橋の復旧工事はどのように進めるのか? その前に、あの船をどのように撤去するのか?

そしてさらにその前に、現在関西空港に足止めにされている旅行客をどのようにして救出するのか?

難題が山積である。

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さらに個人的には、こうした事故の場合、あのタンカーを所有する船会社に対しどのくらいの賠償責任が発生するのかも気にかかるところだ。

あのタンカーを修理するだけでもかなりかかりそうだが、橋の方がもっとすごい金額がかかり、さらに関西空港や航空会社への休業補償をするとしたら莫大な金額が求められる。

今、ニュースを見ながら、真っ青になっている人が日本のどこかにきっといるはずだ。

自然の力は、凄まじい。

夜になって、東京も風が強くなってきた。

窓の外では、不気味な風音が響いている。

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