LINEの挑戦

アマゾンのエコーが先行し、世界のIT大手が参入した「AIスピーカー」市場。その日本語版をいち早く日本市場で販売するとぶち上げた企業がある。LINEだ。

私はまったくLINEを使ったことがない。使う必要を感じたこともない。オヤジにはちょっと気恥ずかしいギャルの匂いがする。

ただ、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフトといったアメリカの巨大企業に正面から挑戦しようとしているのは、日本ではソフトバンクとこのLINEぐらいに見える。

そのLINEについて、日経新聞に詳しい記事が載っていた。引用する。

『 LINEは15日、人工知能(AI)を搭載したスピーカー端末を今秋発売すると発表した。アマゾン・ドット・コムなど米国勢が日本語対応を終える前に「スマホの次」を巡る争いで先陣を切る。昨年の上場から約1年、今のLINEには業績にも株価にも期待されたような勢いはない。発売時期の早さにこだわった新端末は現状打開の一手となるか。

クラウドAIプラットフォーム「Clova(クローバ)」を搭載したスマートスピーカー「WAVE(ウェーブ)」を発表した舛田取締役(15日午後、東京都渋谷区)

 

「スマートフォン(スマホ)の次がAIというのは衆目の一致するところ。社会へのインパクトは大きい」。15日都内で開いた事業戦略説明会の冒頭、出沢剛社長はこう強調した。

スピーカー端末「ウェーブ」は親会社の韓国ネイバーと共同開発したAI「クローバ」を搭載。音声で呼びかけると、ニュースを読み上げたり、音楽が流れたりする。対話アプリ「LINE」に届いたメッセージの読み上げや、メッセージを音声入力して送信することも可能。価格は米アマゾンの標準モデルよりも安い1万5千円だ。

特徴的なのはその販売の仕方にある。まず夏に音楽機能に絞った体験版を1万円で先行発売。秋の正式版の発売に合わせてニュースの読み上げなどの機能を使えるようにする。機能の追加は無料だ。その後も機能を順次追加し、ディスプレー付き端末も発売する。

体験版まで用意して発売を急ぐのは、米国勢が日本語対応に手間取っているうちに端末を普及させるため。利用者がどんな使い方をしているのかといったデータを早い段階から蓄積し、AIの性能向上につなげる狙いもある。事業戦略担当の舛田淳取締役は「早く使ってもらうことが競争力になる」と話す。

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この日はスピーカー端末のほかにも、トヨタ自動車とコネクテッドカーで、ファミリーマートとは新型コンビニ店の開発で提携すると発表。対話アプリに買い物の機能を追加するなど説明会は盛りだくさんだった。

先端分野に次々と手を打つLINEだが、株価はさえない。15日の終値は3930円と昨年7月の上場時の初値4900円を大きく下回る。低迷の要因の一つが、市場の期待に実績が追いついていないことだ。例えば今年1月に発表した2016年12月期決算。営業利益が前の期の10倍の198億円に急増したのに、市場の予想に届かず発表翌日に株価は一時16%下げた。

売り上げの成長も米ネット大手に見劣りする。LINEの17年1~3月期の売上高は前年同期比16%増の389億円。同じ期間のグーグルは22%、フェイスブックは49%の増収だった。増収率で負けていては、数十倍の売り上げ規模の差を詰めることはできない。

かつて無料通話アプリのサービス開始から1年半で登録利用者が1億人を突破し、フェイスブックより3年早いともてはやされたLINE。今のLINEに上場5年で時価総額40兆円に急成長したフェイスブックのような勢いはない。連想の対象になるのは知名度の割に業績も株価も伸び悩むツイッターだ。停滞イメージの払拭へ、負けられない戦いが始まる。(篤田聡志)』

これだけ世界がグローバル化すると、英語かそうでない言語を使っているかでスタート地点が大きく違ってくる。英語の製品やコンテンツはそのまま世界市場に出ていけるが、日本語だとまずは英語に直さなければならない。当然、オリジナルの面白さが一部失われる。明らかなハンディがある。

私も最近、アマゾンスタジオのプロデューサーと話す機会があったが、彼らが求めるものは世界中の人にわかるコンテンツ。つまり、単純化し定型化されたものが要求される。ハリウッド映画は確かに映像はすごい。ただ内容はパターン化されたものが多いのも事実だ。

それでも日本のアニメが強いように、すべてがハリウッド映画では面白くない。

日本人が世界で勝負する時、何が武器になるのか。LINEの挑戦も見守っていきたい。

私も応援も兼ねて、LINEを使ってみよう。

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