<吉祥寺残日録>TBS『報道特集』圧巻のスクープ!「ルフィー事件」に見るフィリピンの変わらぬ犯罪者天国ぶり #230131

いよいよ明日、3年ぶりの海外旅行に出発する。

今日午後には、明日乗るルフトハンザ便のオンラインチェックインも無事に終わり、一応希望通りの座席も確保できたはずだ。

コロナのパンデミックで、世界中の旅行者が足止めを食ってから3年。

この間に世界はどのように変わったのだろうか?

正直、興味津々、でもちょっと不安でもある。

外国ということでいえば、このところ連日報道されているのが日本各地で繰り返されている連続強盗事件、いわゆる「ルフィー事件」である。

「ルフィー」や「キム」などと名乗る指示役がフィリピンにいて、闇バイトに応募した男たちを遠隔操作して強盗事件を起こしていたこの事件、わざわざ住人が家にいる時間に押し入って、いきなり殴って金銭のありかを聞き出すというその手荒な手口が、高齢者を中心に他人事ではないとの恐怖を日本中に与えた。

しかし、それ以上に注目されたのが、指示役がいた場所である。

それはなんと、不法滞在者などを収容するフィリピンの入管施設。

警察施設の敷地内にあって日本の捜査機関の手が及ばないこの拘置所のような塀の中で、長期にわたって堂々と犯罪が行われてきたのである。

一般の日本人からすれば到底信じられない話だが、かつてフィリピンで何度も取材した私にとっては、「相変わらずだなあ」という感想しか出てこない。

当時、フィリピンの警察署では出入り口近くに牢屋があって、誰でも収容されている容疑者に差し入れをしたり話ができる状態だった。

警察官の不正や賄賂の話は日常茶飯で、当時から暴力団関係者をはじめ多くの不良日本人がフィリピンで大手を振って活動していた。

とはいえ、TBSテレビ『報道特集』がスクープした入管施設の内部の映像を見たときにはさすがに驚いてしまった。

以前この施設に入っていたという韓国人が撮影したというこの映像には、薄汚い大部屋で裸で雑魚寝する男たちの姿が写っていた。

エアコンもない施設内ではこうして暑さを凌ぐのが当たり前の光景である。

ところが・・・

指示役の一人とされる今村磨人容疑者は施設内の個室にいた。

看守に毎月金を払うと、エアコン付きの個室に入ることが許されるという。

必要なものは何でも買ってきてくれるそうで、スマホも自由に使うことができる。

今村容疑者やその仲間の渡辺優樹容疑者、小島智信容疑者、藤田聖也容疑者は、この個室から日本にバンバン日本に連絡を取っていたというのだ。

映像にはスマホでやり取りする画面まで写っていた。

彼らが利用していたメッセージアプリは、ウクライナでもよく利用されている「テレグラム」だった。

日本ではメジャーではないため、足がつきにくいということだろうか。

彼らは2019年にフィリピンで36人が摘発された特殊詐欺グループの首謀者として日本の警察から逮捕状が出され送還されるはずだったが、フィリピン国内で告訴されていることを理由としてこの施設に長期間留まっていた。

報道によれば、金を払ってフィリピン人に告訴してもらえば、日本への強制送還を遅らせることが可能なのだそうだ。

何から何まで至りつくせり、フィリピンは今も犯罪者天国のようである。

この事件の取材に関しては、「報道特集」が圧倒的にリードしていた。

実は2年前に特殊詐欺の主犯格がフィリピンの入管施設から指示を送っているとの内容を報道していたという。

しかし、日本の警察当局は対応できないまま、詐欺事件から強盗事件へと彼らの犯行手口は手荒なものになったようだ。

「報道特集」のキャスターは入管施設にいる今村容疑者に面会し、捜査拡大のきっかけとなった狛江の事件などについて問いただしたという。

しかし、今村容疑者は、そばにいた職員に「メディア」と告げて、何も答えないまま施設内に去っていったという。

この時には何の警戒もしていなかった職員たちは、その後殺到した日本のメディアに対して一気に門を閉じた。

問題が大きく報道されるようになって、フィリピン当局もついにこの施設の調査を行い、容疑者たちが持っていたスマホなどを摘発したという。

中には1人で6台ものスマホを持つ人間もいたと発表された。

全く呆れたフィリピンの実態だが、それよりも問題なのは日本での闇サイトの方だろう。

金に困った人間を手軽に大金が手に入るとして闇バイトに誘い込む手口が後を絶たない。

素人がいきなり強盗に変身するのも驚きだが、どうしてこうした闇サイトが摘発できないのかがより気になるところだ。

そして、フィリピンにいる指示役の男たちの上には、日本から彼らを操る黒幕がいると見られている。

おそらくは暴力団や半グレグループの資金源となっているのだろう。

実際に犯罪に手に染めた実行犯たちは「捨て駒」、彼らが逮捕されても黒幕までは辿り着かないように指示役を海外の公的施設に置いて警察の目を欺いていたとは、あまりの巧妙さに驚くしかない。

しかしついに本丸に届くかもしれない。

日本警察の威信をかけた捜査がいよいよ始まろうとしている。

詐欺ハガキ

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