いやあ、本当に驚いた。
でも、思わず頬が緩んでしまう。

TBSの傑作ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で主演を務めた新垣結衣さんと星野源さんが結婚を発表した。
ミクリとヒラマサのほのぼの系ベストカップルが現実に結婚を発表したのだから、「逃げ恥」ファンの女性たちにはたまらないビッグニュースだろう。
オヤジファンの私も、諸手を挙げて二人を祝福したい。
現実のお二人は当然、ドラマの主人公とは別キャラで、ほんわかした家庭になるかどうかは知らないが、コロナのモヤモヤした空気が覆いささくれだった日本列島にはこうした前向きなニュースが絶対に必要だ。
どうせなら、百合ちゃんこと、石田ゆり子さんにも幸せになってもらいたいなあ、と1人のファンとしては願う。

「逃げ恥」だけでなくドラマといえば、やはりTBSの安定度が他局を圧倒している。
前クールのドラマを対象とした「第107回ドラマアカデミー賞」では、8部門すべてTBSのドラマが独占した。
作品賞など4部門は長瀬智也主演「俺の家の話」、主演女優賞など2部門を綾瀬はるか主演の「天国と地獄」、そして助演女優賞など2部門を「オー!マイボス!恋は別冊で」が獲得したのだ。
私は3本とも全話楽しみに見た。
最近のTBSドラマで一番好きだったのは、「逃げ恥」と黒木華主演の「凪のお暇」だが、他のドラマもほとんどハズレがない。
今クールは、フジの「大豆田とわ子と三人の元夫」と日テレの「コントが始まる」にハマってはいるが、TBSの3本「ドラゴン桜」「リコカツ」「着飾る恋には理由があって」もそれぞれ面白く毎週欠かさず見ている。
テレビ朝日のような年寄り向けのシリーズに頼らず、常に新しい挑戦をするTBSドラマチームの姿勢と安定したクオリティーには、元テレビマンの端くれとして敬意を払わずにはいられない。

突然の訃報が伝えられた田村正和さんが、初めてコミカルな役を演じたのもTBSだった。
1984年に放送された「うちの子にかぎって・・・」。
その後も田村さんは、TBSで「パパはニュースキャスター」や「パパとなっちゃん」などでコミカルで暖かいパパを演じ、それがフジテレビの大ヒットドラマ「古畑任三郎」シリーズへと繋がっていく。
田村さん自身は、本当はコメディーが嫌いだったのだという。
私生活を一切見せなかった田村さんは、ゴルフに行っても絶対に風呂には入らなかったと言う逸話を聞いたことがある。
役とは関係ない「素の自分」を絶対に見せない、そんな昔の役者さんだった。
悲しいニュースではあるが、死ぬまで自分のスタイルを貫いた田村さんの生き様は、コロナのモヤモヤなど吹っ飛ばし、私たちに「プロ」とは何かについて多くの示唆を与えてくれる。
心より、ご冥福をお祈りいたします。
連日、明るいニュースを届けてくれているということでいうと、この人の存在も突出している。
エンゼルスの大谷翔平選手。
昨日も初回に第14号のホームランを放ち、2位に2本差をつけてメジャーのトップを独走している。
まさにアニメの主人公さながら。
そのパワーは、到底日本人離れしている。
やっぱり大谷は、縄文人の遺伝子をたくさん受け継いでいるんじゃないだろうか?
打って投げて走る。
そんな大谷選手の注目度は全米でもどんどん上昇中で、今やメジャーリーグを代表するスーパースターの仲間入りをしたのは間違いない。
今日はピッチャーとして先発予定で、連日大谷の試合を生で観られる私は、会社を辞めた幸せを毎日噛み締めているのである。

そしてもう一つ、昨日個人的に嬉しかったニュースがあった。
ネットでの中傷で自殺に追い込まれたプロレスラーの木村花さんの母親が、SNSで中傷する投稿をした長野県の男を訴えた裁判で、東京地裁が129万円の支払いを命じる判決を言い渡したことだ。
「あんたの死でみんな幸せになったよ、ありがとう」
花さんの死後そんな投稿を行った被告の男は、結局裁判にも姿を見せなかったという。
どうせ軽い気持ちで投稿していたのだろうが、ネット上での執拗な個人攻撃は間違いなく犯罪である。
花さんの母親は、今後も裁判を続け、ネットによる悲劇が少しでも減るよう戦い続けるそうだ。
木村花さんの事件がきっかけとなり、これまで被害者が提訴する際のハードルとなっていた発信者特定の手続きが迅速化されることになった。
悪質な書き込みをした発信者は、今後訴訟のリスクにさらされることになる。
これによって、悪質な書き込みが少しでも減ることを願う。
インターネットが普及したこの25年、「表現の自由」を盾にして醜い悪意やフェイクがずっと野放しになってきた。
私は、これは「表現の自由」ではなく、健全な社会を破壊する危険な行為だとずっと思っていたが、ようやくネットの世界にも少し正義が浸透するかもしれない。
インターネットはとても便利で重要な社会インフラだからこそ、実社会と同じルールの下に置かれるべきなのだ。
実社会で名誉毀損とされるものは、ネット上でも名誉毀損、実社会で詐欺にあたるものは、ネット上でも詐欺でなければならない。
放送法によって必要以上にガチガチに縛られたテレビの世界で生きてきた私から見れば、それでもネット上の表現は十分に自由であり、無限の可能性に溢れている。
若い世代にとってはテレビ以上に影響力が強いSNSだけに、もっと自由で楽しい社会が実現するようなポジティブなメディアへと成熟してもらいたい。
将来、インターネットから「逃げ恥」のようなハッピーストーリーが生まれることを期待している。