朝起きてテレビをつけると、日向灘で起きた地震のニュースをやっていた。
地震が起きたのは午前1時すぎで、大分や宮崎で震度5強を記録したほか、西日本の広い範囲で震度3以上の揺れを観測した。

震源は日向灘で、震源の深さは45キロ、地震の規模はマグニチュード6.6とされる。
フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む境界線で起きたこの地震、近い将来予想される南海トラフ巨大地震との関連がとても気になる。
昨年放送されたNHKスペシャル「MEGAQUAKE巨大地震」シリーズの最新作「震災10年 科学はどこまで迫れたか」の中で紹介された専門家の仮説とピタリ一致しているように感じたからだ。
この番組を見た時のブログを読み返してみると、確かに「日向灘」というキーワードが残されていた。
東日本大震災後、多くの研究者たちから注目を集めているのが「スロースリップ」という現象である。
ドラマ「日本沈没」でも度々登場する「スロースリップ」は、普通の地震によるプレートのすべり(スリップ)よりもはるかに遅い速度で発生する滑り現象のことで、直接揺れを引き起こさないためこれまではほとんど問題とされてこなかった。
しかし、東日本大震災ではこのスロースリップがM9の巨大地震の引き金になったとして注目を集めるようになり、その後メキシコやチリで起きた巨大地震でも直前にスロースリップが確認された。
南海トラフでは四国沖から紀伊半島沖にかけて「固着域」と呼ばれるプレート同士が強くくっついた部分が広がるが、その周辺で不気味なスロースリップが確認されている。
東北大学の高木涼太助教によると、南海トラフの西端である日向灘では宮崎沖から大分沖、さらに四国内陸部へと「スロースリップ」が固着域に向かって移動する現象が何度も観測されているという。
2002年、2006年、2013年に始まり数年かけて固着域に近づいていくこの動き。
これにより、「固着域」の淵に新たなひずみが溜まっていく。
「スロースリップが起こることで着実に巨大地震発生域の力をためている。確実にその日(Xデー)に近づけているということになっていると思います」
吉祥寺@ブログより
巨大地震の前兆は日向灘で発生するスロースリップから始まる。
東北大学の高木涼太助教の予言は、不気味な真実味を帯びているように感じる。

ただ今回の地震が南海トラフ巨大地震に直結するものではないというのが専門家の見方のようだ。
気象庁・南海トラフ評価検討会の平田直会長は「南海トラフ巨大地震の想定震源域と重なる場所での強い揺れではあったが、南海トラフの直接のきっかけになるとは考えていない」と語った。
平田さんによると、南海トラフ巨大地震は、日本列島の下に沈み込む海側のプレートと、陸側のプレートの境界で起こる「プレート境界型」と想定されている。しかし、今回の地震の震源は、海側のプレートの内部だった。強い力がかかっているプレート内部の岩盤が壊れるタイプの地震とみられる。岩盤がずれた方向もプレート境界型の地震とは異なっていた。
引用:朝日新聞
気象庁も、今回の規模がM6.8未満で基準に達しないことから有識者を交えた「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の臨時開催は見送り、定例の検討会で巨大地震との関連を議論するという。
しかし、現在の技術では巨大地震の発生を正確に予知することはできない。
地球のメカニズム上、プレートの歪みは徐々に溜まり、いつか必ず大きな跳ね返りがやってくるのだが、そのリズムは人間の時間軸としてはあまりにゆっくり過ぎて一生に一度遭遇するかどうかの「想定外」と感じてしまうのだ。

東京にある築50年のマンションと岡山にある築100年の古民家。
その時私がどこにいるのかは予想できないが、どちらにしても強い地震にはとても脆そうである。
本当に命を惜しむならば、今すぐに安全な家に引っ越した方がいいに違いない。
とはいえ、日本列島は地震の巣であり火山列島である。
どこに逃げようが、絶対的な安全が保障される場所などないのだ。
日本人として生まれた以上、腹を括って地震と寄り添って生きていくほかはない。
1件のコメント 追加