<吉祥寺残日録>北京五輪2022🇨🇳 祝!ノーマルヒル小林陵侑の金・・・韓国で高まる「反中感情」 #220207

一日ゴロゴロしていたおかげで、今朝はすっかり体調も良くなった。

先日発熱して心配された義母の体調も戻り、大事には至らなかったようだ。

何はともあれ、人間の自然治癒力に感謝するしかない。

さて、そんな体調がイマイチだった日曜日、夜テレビで興奮したのはスキージャンプ。

男子の絶対エースとして金メダルが期待されていた小林陵侑が、初戦のノーマルヒルで早速その期待に応えてくれた。

決勝1回目、向かい風の難しいコンディションで有力選手が失敗を続ける中、小林は唯一ヒルサイズに迫る大ジャンプを成功、トップに立った。

そして参加選手の中で最後に登場した2回目のジャンプ。

「世界の手本」と言われる美しい飛行で他を寄せ付けず、堂々の金メダルをたぐり寄せた。

ジャンプ競技で日本人選手の金メダルは長野五輪の船木和喜以来24年ぶり、ノーマルヒルの金メダルは札幌五輪の笠谷幸生以来50年ぶりの快挙だ。

ジャンプ界のレジェンド葛西紀明にスカウトされ、勝負に対する執念を叩き込まれた小林。

風の状況に左右されるジャンプ競技だが、終始落ち着いて自分のジャンプを貫いた。

1回目の大ジャンプによって見る方も多少心に余裕を持って最後のジャンプを見守ることができた。

まさに堂々の優勝。

小林にはさらに、ラージヒル、団体、混合団体での活躍が期待される。

男子ジャンプの真裏で行われていたのが、女子モーグル。

17歳の川村あんりは安定した滑りで3位で決勝に進出し、メダル獲得が有力視されていた。

ところが、決勝では大きなミスはなかったものの点数が伸びず5位、

2回目のエアで着地がわずかに乱れたことと、タイムが相対的に遅かったことが原因と見られる。

前日ミスが目立ったが銅メダルを取った堀島とは全く逆の結果。

単純にタイムを競うわけではない採点競技の難しさを示した。

それでも川村はまだ17歳、この悔しさを次のミラノ・コルティア五輪で晴らしてくれることを期待したい。

さて今回の北京オリンピック、海外ではどのように伝えられているのだろうと思って、久しぶりに韓国のメディアをチャックしてみた。

まず気になったのは中央日報のこんな記事。

『「日本は老いていき中国は若返っている」…チャン・イーモウ総演出の開幕式で見せた挑発』

私が感じたように、海外の人たちも東京五輪と北京五輪の開幕式から中国の変化を感じたらしい。

2018平昌(ピョンチャン)大会の開・閉幕式の総監督を引き受け、今回KBS(韓国放送公社)の開幕式生中継解説委員として登場したソン・スンファン氏は「期待したような大きな『ワオ!』はなかったが、とにかくユニークだった」としながら「東京五輪と比較すると創意的で、文化的な面で日本は老いていき、中国はさらに若返っているような気がする」と評価した。「2008年には危険を犯してでも、巨大に、雄壮に、華やかに演出しようとしていたが、14年の歳月が流れて中国もグローバルな普遍性を持ち、このようなシンプルなイメージを演出することができるようになった」としながら「中国が好む紅色・黄金色がなくなり、青色や白色を散りばめた」点も指摘した。

引用:中央日報

「日本は老いていき、中国は若返っている」との印象が世界に広がった開会式の違い。

東京五輪の史上最低の開会式を作った人たちには大きな責任があるだろうが、ある意味、今の日本と中国の現実を示しているともいえ、無視できない指摘である。

一方で北京オリンピックに韓国の人たちが怒りを募らせているという。

聯合ニュースが報じた「韓国の反中感情が爆発寸前 引き抜きや不可解ジャッジ=北京五輪」という記事を見てみよう。

韓国人が怒る理由の一つは、開会式に登場した韓国の伝統衣装「韓服」を着た女性。

これは中国領内に住む朝鮮系の少数民族を象徴しているのだが、「中国が韓服を自国のものと主張している」と韓国のネット民を怒らせているらしい。

さらに、韓国のお家芸とも言えるショートトラックがさらに反中感情を燃え上がらせた。

きっかけは、新競技「混合リレー」でのあの疑惑の判定だ。

 中国は5日、ショートトラックのメダル第1号をかけた新種目の混合リレーで、釈然としない審判の判定により決勝に進出し、金メダルを手にした。予選で敗退した韓国はこの判定に直接影響は受けていないが、代表メンバーは中国に対する反感をあらわにしている。

 ショートトラック男子代表の郭潤起(クァク・ユンギ)は6日の公式練習後、前日の混合リレーでの判定に真っ向から問題を提起した。郭は「中国は準決勝で選手同士がタッチをしなかったにもかかわらず、失格と判定されなかった」と指摘し、「中国以外の国がそうしていたなら決勝に進出できなかったはずだ」と批判した。

 郭は開会式の前にも中国にホームアドバンテージがあると予想し、中国のネットユーザーから非難を浴びた。

 韓国と中国の代表チームの間には、大会前から微妙な空気が漂っていた。

 中国は今大会を前に、18年の平昌冬季五輪で韓国代表を率いたキム・ソンテ監督や元韓国代表のビクトル・アン(韓国名:安賢洙=アン・ヒョンス)技術コーチら韓国の指導者を多く迎え入れ、韓国とのレースに備えた。

 また、中国は大韓氷上(スケート)競技連盟から国家代表の資格停止処分を受けた韓国のショートトラック元エース、林孝俊(イム・ヒョジュン)にラブコールを送り、中国国籍を取得させた。林は五輪出場権を得られなかったが、自身のソーシャルメディアで連日中国を応援している。

 こうした雰囲気の中、中国は判定の助けもあって金メダルを獲得し、韓国の選手らは敵対心を隠さずにいる。

 五輪のショートトラックで、韓国と中国が競う構図は避けられない。両チームはこの先、残る8個の金メダルを巡って競い合う。再び判定が物議を醸し、反中感情が広がる事態が懸念される。

引用:聯合ニュース

お互いショートトラックで過去メダルを稼いできた韓国と中国の確執。

コーチや有力選手を引き抜かれた韓国の悔しさは簡単には収まりそうにない。

面白いものとしては、「ハンギョレ新聞」が掲載した「ロボットが作った正体不明の丼物には良心がなかった」という記事が目に止まった。

日本のテレビなどでも度々報道されたプレスセンター内のロボットが作る食事について、日本のメディアが伝えない「惨状」が書かれていた。

中国は食べ物がおいしいとされる国だ。そのうえ、メインメディアセンター(MMC)構内のレストランでは、ロボットが直接食事を作り、給仕までして話題になりもした。ところが、すでに参加者の不満は尋常ではなくなっている。クローズドループ内では身動きがとれず、選択権は事実上ないにもかかわらず、値段は高く食事の味は劣るからだ。あまりにひどく、昨年夏の東京五輪の際に競技場の各所に置かれていたピーナッツサンドイッチでさえ恋しくなる。

引用:ハンギョレ新聞

果たしてどんな料理が出てきたのか?

韓国人記者が食べたロボット料理がこれだ。

 百聞は一見にしかず、いや、「百聞は一食にしかず」だ。3日に話題になったメインメディアセンターのレストランを直接訪れた。少し早い午後4時頃だったので、ほとんどの食べ物は注文できなかった。豚肉丼を55元(約1000円)支払い購入した。領収証に印刷されたQRコードをセンサーに当てると、ロボットが黒い土鍋に入った食事を持ってきた。食事をすぐに受けとれる点は便利だった。この豚肉丼もロボットが作ったものだが、一度に多くの土鍋を料理した後、注文が来れば一つずつ出す方式だ。

 期待を胸にふたを開けた。短いため息がマスクの間から漏れた。ご飯の量が多かった。問題は、肉が極めて少ないという点だ。その肉も赤身はほとんどなく、骨が半分以上だった。おかずはザーサイだけだ。ロボットが作ったためか、良心がないという考えが自然にわき上がってきた。この程度のご飯と肉は、言うならば、900ウォン(約90円)のおにぎり2個程度の量が出てきたようなものだった。しかも、肉に到達するためには、かなり多くのご飯を食べなければならないだろう。こうして遅い昼食をやっと解決した。肉のない骨をかみご飯を食べ、実際には豚肉丼ではなく、単に豚肉丼の名前だけを借りてきたものだという考えが思い浮かんだ。食べ物というよりは現代美術に近かった。

引用:ハンギョレ新聞

「食べ物というよりは現代美術に近かった」とは手厳しいが、海外プレスにこの料理を1000円で売りつけたんでは悪評が広がるのは無理もない。

忙しく働くプレス関係者にとって食事だけが楽しみなので、そこへの配慮を欠くと大会の評判も悪くなる。

私もよく知っているが、それがメディア関係者の習性なのだ。

さらに、ホテルでの食事にも不満があったらしい。

 メディアセンターでなければ、ホテルの食事を取らなければならない。ショートトラックの練習の取材を終えた後、夕方遅くにホテルに到着した。すでに夕方のビュッフェの利用時間は過ぎていた。幸いなことに、ホテルは24時間のルームサービスを提供している。メニューには、海南チキンライス、ナシゴレン、東坡肉、日本式うな丼、ステーキなどがあるが、価格帯は50元(約900円)~150元(約2700円)だ。

 中国に来たのだから中国料理を食べようと考え、東坡肉を注文した。材料がないと言ってきた。すでに決済した状態だったため、同じ値段(85元・約1500円)のうな丼に替えてほしいと言ってきた。約10分ほど後に料理が到着したが、どう見てもナシゴレンだった。電話をかけて別の料理が来たと伝えると、ホテルからは間違って送ってしまったと言われ、食べ物をまた持ってきた。

 問題は、新たに来た食べ物もまったくうな丼には見えなかったという点だ。ご飯の上にウナギが置かれている姿を想像していたが、長ねぎだけがぽつんとあった。代わりに、ご飯の中に何か細かく切られたものが入っていた。初めはきのこだと考え、一瞬、食用ミールワームを思い浮かべたりもした。食べてみると、まさにウナギだった。「日本式」というよりは「細切りウナギごはん」のような名前がふさわしかった。韓国にいる知人の数人に食べ物の写真を送った。誰もこの食べ物の正体を当てることはできなかった。

引用:ハンギョレ新聞

確かに「うな丼」を注文してこの写真のような料理が運ばれてくると、どこかに怒りをぶつけたくなるのもわかる気がする。

ロボット調理を珍しそうにレポートするだけの日本のメディアよりも、何事も批判的に伝えようとする韓国メディアの姿勢は素晴らしい。

中国を旅行したことのある人なら一度は経験したことがあるであろう、客と客とも思わない中国人の姿勢が目に浮かぶようだ。

オリンピックには、スポーツ以外の部分でも各国のお国柄が見えてくる。

これからも時々、さまざまな国のメディアをチェックして北京五輪を多角的に見ていこうと思っている。

五輪と危機

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