今日から二十四節気の「大暑」、一年で最も暑い季節を迎える。
それに合わせるように開会式に先立ち、昨日から東京オリンピックも一部の競技で試合が始まった。

真っ先に行われたのが、女子ソフトボール。
福島の球場で行われた開幕戦は、日本vsオーストラリアの試合だった。
「復興五輪」を掲げた今回のオリンピックの象徴として開会式より前に福島に注目を集めようという狙いだったのだろうが、無観客のスタンドはやはり寂しく、オリンピックという高揚感は全くない。

ソフトボールがオリンピックに採用されたのは北京大会以来13年ぶり。
先発のエース上野は今日39歳の誕生日を迎えた。
出場チームはわずか5カ国で、総当たりの予選の上位2チームが決勝を戦う。
短期決戦で5チームのうち3チームがメダルを獲得できるので、日本にとっては勢いをつける意味で期待の種目である。
上野は立ち上がりに苦しみ、押し出しのデッドボールで1点を先制された。
しかし、その後は立ち直り、打線もホームラン3本ですぐに逆転して8対1の5回コールドで勝利を収めた。
女子ソフトボールチームの勝利は昼のニュースで各テレビがトップで伝え、ようやく少しスポーツモードになってきたようだ。
ソフトボール初戦の相手オーストラリアでは、パブリックビューイングの会場が設けられていた。
日本では人が集まるイベント会場は全て中止になったのに、オーストラリアではやっている、ちょっと不思議な感じだ。
東京で開かれたIOC総会では2032年五輪がオーストラリアのブリスベンで開催されることが決まった。
巨大化するオリンピックを招致できる都市は少なくなり、これまでのような激しい招致合戦はすでに過去の話のようだ。

こちらは東京に設けられたメインプレスセンター。
世界中から集まったメディアはここで取材活動を行う。
記者たちの間にはアクリル板が設置され、取材活動も厳しく制限されている。
メディアの仕事は現場を見て、人の話を聞くことなので、ここに缶詰にされたプレスの諸氏にはコロナのせいとはいえ同情を禁じ得ない。

昨日は、女子ソフトボールが3試合、女子サッカー6試合が行われた。
女子サッカーの「なでしこジャパン」は、昨夜無観客の札幌ドームで初戦のカナダ戦に臨んだ。
かつて世界一となった「なでしこ」だが現在の世界ランキングは10位。
それでも目標を世界一に置いているのは東京オリンピックだからだろう。

試合開始直後に失点し苦しい試合展開が続いた。
ミスが多くイライラする展開、PKのチャンスも相手キーパーに阻まれ1点ビハインドのまま終盤を迎える。

それでも後半39分、エース岩渕岩淵が抜け出して落ち着いてゴール。
なでしこジャパンは土壇場で同点に追いついた。
男子に比べて女子サッカーの試合は面白くないが、最後の最後まで両チームが勝利の執念を見せたため見応えのある試合となった。
やっぱりオリンピックは並みの大会とは一味違う。
コロナ禍で無観客となったのは残念だが、中継映像もなるべくスタンドが映らないよう工夫されているため、テレビ観戦ではさほど無観客は気にならないかもしれない。
コロナ禍でのオリンピックということでいえば、中国新華社のサイトにこんな記事が載っていた。

コロナ禍で始まる東京オリンピック。
日本国内にはいまだに否定的な意見が飛び交っているが、意外なところから意外な意見が寄せられているのを目にした。
中国代表団が東京五輪を成功させるために日本が払った大きな努力に感謝をしていると表明。新型コロナウイルス感染症が世界で拡大する特殊な状況の中で、東京五輪組織委員会と日本の各方面が国際オリンピック委員会(IOC)と世界各国・地域の支援の下、度重なる困難を克服し、五輪の開催準備に全力を注ぎ、世界各国・地域のスポーツ選手が五輪の夢を実現するための素晴らしい舞台を用意したのは容易でないと強調した。
代表団が日本到着後、五輪に参加する各代表団に衣食住や移動面で万全を尽くそうとする日本側の努力を実感したと説明。選手やコーチ、スタッフは組織委スタッフやボランティアの温かい友好を感じていると語った。選手村は清潔で整い、選手食堂はおいしく衛生的だとも指摘し「東京五輪組織委の仕事を前向きに評価している」と述べた。
引用:新華網
何だか今の日本の対応を褒められると裏の意図があるんじゃないかと疑いたくもなるが、世界の状況をフラットに比較すると、日本の準備対応は決して恥じ入る必要はない。
一方、東京オリンピックを無観客に追い込んだ新型コロナウィルスは、全国的に第5波が加速している。
昨日の東京の新規感染者は1832人。
このまま行けば8月初めには過去最高だった2500人を軽く超えると予想されている。
緊急事態宣言が出されても、街の人では減らず、酒類提供自粛を求めてももはや応じない店が増えているので当然といえば当然の結果だろう。
私はといえば、日曜日に2回目のワクチン接種を受けた後、一度も外出せずずっと家に篭っている。
2週間岡山に帰省している間に録画した大量のテレビ番組を見続けているのだ。
ワクチンを打っても感染はする。
8月初めには再び介護のため岡山に行かねばならないため、高齢者にウイルスを運ばないようまだしばらくは我慢するつもりだ。

さて話を最時期に戻そう。
「大暑」の初候は「桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)」。
「キリの花が結実して固い実がなり始める頃」という意味だという。
桐の花というと豊臣家の家紋である「五七桐」などでしか知らないが、桐が咲くのは5月〜6月、薄紫色の美しい花をつける。

残念ながら井の頭公園では桐の花は見られないのでネット上からその写真をお借りした。
この花が散り、今の季節に実がなるという。
今日、岡山で一人暮らしをする伯母を介護するために、私たち夫婦に代わって弟家族が帰省することになっている。
県境を越えての移動自粛が呼びかけられている中ではあるが、十分注意を払いながら介護のために東京と岡山を往復する夏となりそうだ。
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