<きちたび>3泊4日ボローニャの旅③ 橋が落ちた! イタリアの交通インフラはちょっとヤバいかも

イタリア北西部の港町ジェノバで高速道路の高架橋が落ちたのは、私たちがマルタからイタリアに入ったその日だった。

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イタリアのテレビはずっとこの惨事を伝え続けた。

高さ50mの橋が長さ200mに渡って崩落した。高速道路を走行していた30台以上の自動車やトラックが転落、40人以上が死亡した。

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事故当時、ジェノバには激しい雨が降っていた。高速道路に設置されていた監視カメラは、雨のため視界が悪いながら崩落の瞬間を写していた。

スタジオのニュースキャスターは、監視カメラの映像を繰り返し見せながら、崩落の原因についてあれこれ話しているようだ。

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テレビには、事故の巻き添えとなって負傷した女性が映し出された。

現場付近の住民と思われるが、その傷はいかにも痛々しい。

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驚くのは、高架橋の下に団地が立ち並んでいたことだ。さらなる崩落の危険性があるため、住民たちは避難を余儀なくされた。あのケガをした女性もここの住民だろうか?

ただ、この高架橋は50年前に建設された古いもので、どうも後から団地ができたように見える。このあたり、イタリアの安全対策は日本以上に甘く、中国並みではないかと感じた。

 

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そんな大事故のニュースの中、ボローニャから2日連続で鉄道に乗った。

到着翌日にはムッソリーニの生まれ故郷を訪ねてフォルリという町へ、その翌日にはイタリア半島にポツンと存在する小国サンマリノに行く目的でリミニという町まで列車で行った。

イタリアの鉄道は、2000年に国鉄が分割民営化され、トレニタリアという民間会社になっている。

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フォルリへの往復で利用したのは、「レッジョナーレ」と呼ばれる普通列車。

料金はわずか6ユーロ。空港バスと同じ値段だ。

でも、車両は古く落書きだらけで、橋の老朽化に通じるイタリア交通インフラの劣化を感じさせた。

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ボローニャ中央駅を出発した列車は、猛スピードで田園風景の中を走って行く。

ボロい列車のわりにはすごく速いなあと感心していると、突然スピードを緩め駅でもない場所で停車してしまった。

何かあったのかと思っていると、数分後列車は何事もなかったように走り出した。

どうやら駅を出た後は猛スピードで走り、次の駅の手前で時間調整をしているようなのだ。本当にそうなのかどうか断定できないが、そうとしか思えない走り方なのだ。

 

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フォルリの駅に到着。ムッソリーニの生家や墓地があるプレダッピオに行くバスは2時間に1本、次のバスが出るまでには30分以上まだ時間があった。

60歳ともなると気長に待つことはさほど苦ではなくなる。

しかし、予定の時間になってもバスは来ない。事情を聞こうと思っても係員は誰もおらず、バス停にいる地元の人に聞いても、「さあ? バス停はここで間違いない」というだけでなぜバスが来ないのかは誰にもわからない。

予定の時刻からさらに30分待ったが一向に来る気配がないので、ついに断念してタクシーで行くことにした。タクシーで行けば、帰りの足の心配をしなくて済む。しかし、高くついた。

それにしても、バスは一体どうしてしまったのだろうか?

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次の日、リミニまで乗ったのは「インテルシティ」と呼ばれる特急列車だった。

座席指定で料金は16ユーロ。

新型車両を期待していた私の前に現れたのは、またもオンボロ列車だった。

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そして、問題が起きたのは無事にサンマリノ観光を終えて、リミニ駅に戻った時だった。

時刻表のモニターを見ると、鉄道が混乱していた。

もう午後3時すぎだというのに、1時17分発の高速鉄道がまだ到着していない。私たちが予約した3時47分の特急列車も45分遅れとの表示になっていた。

あと1時間半も待たないといけないのか?

駅員に聞こうと思ってチケット売り場に行くと、行列ができていた。

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みんな困って相談しているようで、なかなか列が前に進まない。

30分以上待って、ようやく私たちの番になった。予約したチケットを見せて、「遅れるのか?」と聞くと遅れていると言う。

ダメもとで「ボローニャまで早く行く列車はないのか?」と聞いてみると、しばらくパソコンと格闘していた女性が「数分後にミラノ行きの高速列車が来るが、それに乗るか?」と聞く。「もちろん乗る」と答えると、女性は私たちのチケットに何やら手書きで書き始めた。

チケットを返しながら「すぐにホームに行って」と女性が言う。私たちは何だかよくわからないままにホームに向かう。

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イタリアの駅には改札がないので、誰でもホームに入れる。

しかし、こんな手書きのチケットで予約していない列車に乗れるのだろうか?

しかも私たちが持っているのは普通の特急列車のチケットで、これから乗ろうとしているのはそれよりも高い高速列車なのだ。日本で言うなら「踊り子」の切符で「のぞみ」に乗るようなものではないか? それは無理だろう。

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女性が言った通り5分ほどで高速列車がホームに滑り込んできた。

「フレッチャビアンカ」。白い矢を意味するこの列車は、イタリア鉄道の3種類の高速列車の中では一番停車駅の多いものらしい。日本で言えば、「のぞみ」ではなく「こだま」という感じだ。

当然のことながら、私たちは座席指定も取っていない。どの車両に乗ればいいのかわからないまま、とにかく車両に乗り込み、空いている席に座った。

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すぐに車掌がやってきた。

恐る恐るチケットを見せると、しばらくそのチケットの書き込みを眺めていた車掌さんは、ニコッと笑いながらチケットを返してくれた。

「ここに座っていていいのか?」と聞くと、大丈夫だと言った。

とりあえず一安心。これでボローニャに帰れる。

よく考えると、結果的にもともと予約していた時間より早くリミニを出発できたことになる。しかも高速列車なので、ボローニャまではノンストップだ。

と、安心して一眠りしていると、ボローニャの直前で突然列車が止まった。

私の座席のすぐ後ろで、人が騒いでいる声が聞こえてきた。車掌が焦った感じで通路を足早に通り過ぎる。

振り返って入り口のドア周辺に目をやると、人がたむろしていて、ドアが開いている。運転士だろうか、鉄道の職員が線路に降りて何やら点検しているようだ。車両が故障したのだろうか? よくわからない。しかし、列車は畑の真ん中に停車したまま動かない。

日本の新幹線と違い、通常の線路を走るイタリアの高速列車。時速300キロで走る車両もあるというが、何かをはねたのだろうか?

何が起きたのかさっぱりわからないまま10分か20分ぐらい待っただろうか。突然列車がゆっくりと動き出した。走れなくなったわけではないようだ。

列車は次第にスピードを上げ、ボローニャ中央駅へと無事到着した。

結局、何が起きたのかはわからずじまいのままだ。IMG_5914

かつてイタリア国鉄は、「しょっちゅう遅れる」「サービスが悪い」「車両が古い」と評判が悪かったという。民営化して新型車両も導入して、昔に比べると随分改善したという話も聞くが、今回私が経験したわずかなケースだけ見ても、ヨーロッパの他の国に比べてイタリアの交通インフラはかなり心配な状況だった。

結果的には、さほどの被害はなかったものの、橋の崩落直後のことだけに、いろんなことが気にかかった。

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今回の橋の崩落事故について、ポピュリスト政党中心のイタリア政府は、EUや管理会社に責任を押し付けている。経済協力開発機構(OECD)によると、イタリアの道路への投資額は2006年に142億ユーロ(約1兆8千億円)だったが、15年は51億ユーロまで落ち込んでいたという。

今年誕生したばかりのポピュリスト政権の責任ではないが、新政権の中核をなす「五つ星運動」は野党時代からコスト削減を重視してインフラ投資に反対してきた。

インフラ投資にお金が回らなかった背景には、イタリアの経済不安と同時に小党乱立による政治的な混乱も影響していそうだ。

いずれにせよ、イタリアの交通インフラは、マジでちょっとヤバいかもしれない。

 

<関連リンク>

3泊4日ボローニャの旅

①ヨーロッパ最古の大学都市ボローニャを歩く

②旧市街のど真ん中マッジョーレ広場を見下ろす奇跡のコンドミニアムに泊まる

③橋が落ちた! イタリアの交通インフラはちょっとヤバいかも

④世界で5番目に小さな国サンマリノは世界最古の不思議な共和国だった

⑤グルメでない私たち夫婦が「美食の街」で食べたもの

⑥ムッソリーニの生まれ故郷でイタリアの歴史について考えた

<参考情報>

私がよく利用する予約サイトのリンクを貼っておきます。



 

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