武漢封鎖から1ヶ月・・・世界から新型コロナ感染国と見なされても自覚に欠ける日本人の危機意識のなさ

新型肺炎の流行で武漢が封鎖されてから1ヶ月が経った。

中国の新華社通信のサイトを見ると、武漢に入港するクルーズ船の写真が出ていた。説明には、新型コロナと戦う医療関係者の宿泊場所になると書かれていた。

中国全土から武漢に数千人の医療関係者が投入され、日本では考えられないような力技でウィルスを封じ込めようと総力戦が展開され、日々の感染者数の増加は抑えられてきているものの、1ヶ月経った今もまだ出口は見えていない。

一方日本では、厚労省が検査の基準が少し緩和したため、これまで明るみに出ていなかった「市中感染」が日本各地で確認され始めた。

政府は国民のパニックを恐れてか、いまだに「感染の発生早期」という甘い見通しを変えていない。連日大々的に報道しているメディアでも、中国のような徹底した外出禁止を主張する声は高まって来ない。

人と話をするとみんな新型ウィルスが心配だと言うわりに、三連休の吉祥寺の街でもさほど人出が減った印象がない。

「マスクと手洗いさえしていれば、いずれウィルスの流行は止まる。自分の周囲にはまだウィルスは来ていない」と真面目に思っているのだろうか?

甘い!

北京や上海でさえ、あれほどまでに徹底的な感染防止策を取っているのを知っていながら、日本人はどうして自分たちの対応が甘すぎるのではないかと思わないのだろう?

不思議でならない。

テレビ朝日の「TVタックル」を見ていたら、高陽子さんという上海出身の女優さんが上海の友人たちとテレビ電話をつないで上海の現状を聞くという企画をやっていた。友人たちはみんな3週間も外出をしておらず、食料の買い出しに出る時には、マンションの出入り口やお店でその都度住所氏名を書かなければならないと言う。当局に命令されて家にこもっているのではなく、みんな怖がって自宅から出ないのだと話していた。

そんなVTRを受けてスタジオでは、「中国では発表されている10倍ぐらい死者がいるんだろう。そうでなければ、みんながあんなに怖がるはずがない」などとなんの根拠もないコメントをしていた。

コメンテーターを言われる人たちにも、呆れるしかない。

ウィルス感染というものは、目に見えないため、とにかく感染するリスクを少しでも減らしてウィルスが消え去るのを待つしかない。今のように人々が普通に接触していたら、いつまでたってもウィルス感染は止まらず、北京や上海よりもはるかに東京でパンデミックが起きる可能性が高いと私は思っている。

スタジオの高陽子さんも、「どうして日本の対策がこんなに緩いのか理解できない」と話していた。まったく同感だ。

政府は「今が一番大切な時だ」と言いながら、イベントの規制も主催者任せ。なぜかマラソンが中止になって、プロ野球やJリーグは普通に行われる不思議な現象が起きている。

イベント以上に危険なのは、以前にも書いたが通常の会社や学校である。

年度末でもあり企業活動を規制することはできないと考えていて、各企業に注意を促す程度にとどまっているが、それでは一部のIT企業や大企業以外は通常業務が続くだろう。学校を休校にすると、困るお母さんもたくさん出てしまうし、今は受験の時期でもある。

そうしてマイナス面を考えていくと、感染は止められない。アメリカや台湾が日本への渡航制限を強化するのも当然だろう。今では中国の人たちから「日本は大丈夫か?」と心配されているほどだ。

「日本は中国とは違う。中国のような上からすべてをコントロールするような徹底した制限措置は取れない」と日本人は考える。でも同時に、「日本では中国のようなことは起こらない」という根拠のない楽観主義が今も私たちの中にはあるように感じる。

でも本当に、日本ではパンデミックは起きないのか?

政府の今のような展望のない対処法を見ている限り、私は自分で自分を守るしかないと考えている。

「不要不急」ではなく、多少「必要」でも予定をキャンセルして、外出を控えている。自主的に出勤も最低限に控え、在宅で仕事を行なっている。そして先週金曜になってようやく会社から在宅勤務を推奨する指示が出され、私の在宅勤務も追認される形だ。

市中から消えてしまったマスクについても、我が家では中国で新型肺炎のニュースが出始めた1月中旬にマスクを買い置きした。あくまで私と妻が数ヶ月使える分を購入しただけなので、転売するわけではない。

それにしても、どうして政府は転売サイトに対して、高額転売を禁止する措置を取るよう強く指示しないのだろう? ちゃんと指示すれば、多くの転売は止まり、一般の人が購入できるチャンスは増えるはずだ。

一事が万事、政府の対応が甘いのは、きっと厳しい措置に対して反対する勢力が近くにいるからなのだろう。経済を心配しているのか、中国を心配しているのか、理由はわからない。

少なくとも、誰の意思で感染対策が甘くなっているのか、メディアはもっと取材すべきである。

そして我が家では自衛策第2弾として、食料の備蓄をすることにした。最近、国内で市中感染が増えてきたことを踏まえて、米や餅、水や缶詰など長期保存がきく食料を少しまとめ買いしてきた。震災のようにインフラが止まっている状態ではないので、自宅でしばらく待機しなければならない状況に備えた措置だ。

ある日突然、東京で大量感染が明らかになり、みんなが外出を控える事態が起きると予想したからだ。その際には、あっという間に食料の買い占めが起きるだろう。マスクと同じように、食料が店から消える。そして頼りの宅配も従業員が確保できなくてストップする事態が考えられるのだ。

日本人は中国の映像を見て笑っているが、私は武漢の街から生活必需品が消えていない現状に驚いている。当局が指示して優先的に物資を供給しているのだろう。もし日本でパンデミックが起きれば、たちまち流通は大混乱し、人々は自宅にこもるための食料を買い漁るだろう。

マスクどころの騒ぎではなくなる。

こうした準備が杞憂に終わることを願いたい。

皆さんも、政府の指示を待つのではなく、自分のことは自分で守りましょう。

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