参院選

今回の参院選の最大の注目点、自民・公明・維新などの改憲勢力が議席の2/3を確保した。

衆参両院で改憲勢力が2/3を越えるのは戦後初のことだ。

安倍総理は「自民党の憲法草案がそのままの形で通るとは思ってはいない。国会の憲法審査会で議論していくこと」と政府が主導するのではなく、国会での議論がこれから始まると話した。

ただ参院でも改憲勢力が2/3を占めた以上、自民党結党以来60年間実現できなかった憲法改正の議論がリアリティーをもって始まることになるだろう。その意味で今回の選挙は、日本の戦後史に残る歴史的なものになるかもしれない。

ただ改憲勢力と言っても公明や維新は9条改正には慎重だ。維新の改憲のポイントは道州制の導入や教育の無料化などだ。しかし大阪都構想と引き換えに9条の改正を認める可能性は十分あると見る。

うれしかったのはかつての同僚、杉尾秀哉さんが当選したこと。

激戦だった。3回も長野入りした安倍総理は「落下傘より健太さん」と対立候補への支持を叫んだ。それでも杉尾さんの演説は有権者に届いたのだ。どんなことがあっても、戦争に向かってはいけない。頑張ってもらいたい。

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そして今日の選挙特番で突如各局が注目した団体があった。「日本会議」だ。

日本会議は「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が統合して1997年に設立された。「美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を行っている民間団体」を唱っている。そのうえで、①美しい伝統の国柄、②新しい時代にふさわしい新憲法の制定、③国の名誉と国民の命を守る政治、④日本の感性をはぐくむ教育の創造、⑤国の安全を高め世界へ平和貢献、⑥共生共栄の心で結ぶ世界との友好、を目指すとしている。

会員は38000名。関連団体として、国会議員が組織している日本会議国会議員懇談会、地方議員の組織として日本会議地方議員連盟(1700名)がある。

東京新聞はこの団体を「日本最大の右派組織」と報じ、ニューヨークタイムズは「ナショナリスト組織」と記している。朝日新聞は、日本会議の事務局の中枢は「生長の家」出身者が担っていると報道している。第2次安倍内閣では15人、第3次安倍内閣では12人が日本会議国会議員懇談会から入閣した。そして安倍総理と麻生財務大臣は日本会議の特別顧問だ。

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テレ東の特番では池上彰さんが、神社で憲法改正を求める1000万人署名活動が行われている実態を取材していた。「日本を守る会」は元々神社本庁など様々な宗教団体が母体となっている。これまであまり報道されてこなかった日本保守政治の裏側が、憲法論議の中で少しずつ明らかになるかもしれない。海外からの視線も厳しくなるだろう。

今回テレビが一斉に日本会議を取材した背景には、今年4月に出版された「日本会議の研究」という本の存在があるようだ。元「しばき隊」メンバーの菅野完氏が書いたこの本に対して、日本会議は出版元の扶桑社に出版停止の申し入れを行った。

果たして憲法論議の行方は・・・。

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