即位礼と御用達

大嘗祭も終わり、令和の即位に伴う一連の行事がほぼ終わった。

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台風のため延期となった祝賀パレードも快晴に恵まれて、多くに人が沿道に詰めかけ両陛下を祝福した。

外務省のエリート官僚から皇室に入った雅子皇后の目からは涙が流れた。

自ら望まない皇室入り。子作りのために得意分野の外交も禁じられ、長期にわたって体調を崩した不本意な日々。

雅子さまの涙に、多くの国民は共感したことだろう。

散々週刊誌のネタにされた子育ても終え、これからは皇后として日本と世界のために行動することが可能となった。ぜひ頑張っていただきたい。

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雅子さまを見初めた新天皇は、「雅子さんのことは私が一生守ります」と言った。その言葉に嘘がなかったことを国民は知っている。だから私も新天皇を信頼する。「国民に寄り添い、世界の平和を祈る」と繰り返す言葉にも嘘はないだろう。

戦争を知らない戦後生まれの天皇として、東アジアの国々との関係強化のために、ぜひ訪中、訪韓、訪ロを実現してもらいたいと思う。

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それにしても、この30年間の変化は感慨深い。

1989年1月、昭和天皇が崩御し、平成がスタートした。

私は警視庁担当記者として、大喪の礼や即位の礼を取材した。当時はまだ、過激派と呼ばれた極左集団が天皇制に反対するゲリラ活動を繰り広げていた。爆弾事件が起き、ロケット弾が飛んだ。

しかし30年が経ち、今回は天皇制反対の声はほとんど聞かれなかった。

戦争を直接知る世代が少なくなったことも一因かもしれないが、一番大きな理由は、平成の天皇皇后が一貫して示した平和主義と国民に寄り添う姿勢の賜物だろう。

私自身、現在の皇室にはとても良い印象を持っている。

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一つ気になっているのは、マスコミの皇室報道の在り方である。

ご成婚からしばらく経った頃から、雅子皇后は長年、週刊誌のバッシングに悩まされてきた。私はとても違和感を持ちながら見ていたのだが、近頃ではどうしたことか、週刊誌は雅子皇后礼賛に変わった。その代わりに最近では秋篠宮家がバッシングの対象にされているようだが、これもとても違和感がある。

メディアとしては、もう少し皇室に敬意を払い、意味不明な礼賛ではなく、フラットな伝え方を心すべきだろうと思うのだ。

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そんな皇室関連の報道の中で最も私の印象に残ったのは、即位の儀式とは直接関係のない記事だった。

京都新聞が書いた「宮内庁御用達」に関する記事。

「65年前廃止の皇室「御用達」制度 今も宣伝に使う業者、一方ひっそり老舗の矜持」から、一部を引用する。

『 権威とのつながりを示し店の信用を表す「宮内庁御用達(ごようたし)」。皇室ブランドにあやかろうと、インターネット上には「皇室御用達」や「宮内庁御用達」を掲げる業者が幾つもある。ハンドバッグ、塗り箸、ボールペン、中には「宮内庁御用達 iphone8ケース」を売る業者も。御用達は権威とのつながりを示し、店の信用や高品質の代名詞となってきた。実は宮内庁御用達制度自体は65年前に廃止されている。』

不覚にも私は知らなかった。

今でも「宮内庁御用達」の店はあると思っていたのだ。

実際に、「宮内庁御用達」の看板を掲げたお店を時々見かける気がする。テレビでもよく聞く気もする。でも、この制度は私が生まれる前に廃止されていると言うのだ。

ちなみに、「御用達」のルーツについて記事にはこのように書いてある。

『 江戸時代まで、西陣織の業者や和菓子の「虎屋」など多くの京都の業者が「禁裏御用」として御所に出入りしていた。東京に天皇が移ってからは、宮内省が1891(明治24)年に、皇室への出入り業者のために「宮内省(宮内庁)御用達」の制度を定めた。皇室の「御用」は大きなブランドとなり、店の信用を高めた。』

1000年の間、天皇がいた京都には皇室ゆかりに老舗が多いが、明治政府が天皇を東京に移したことによって没落した業者もあると言う。その一方で、御用達制度が廃止された後も、「宮内庁御用達」の看板を掲げる店は多い。

記事は次のように続ける。

『 1954年に御用達制度が廃止された後に宮内庁と取引関係ができた業者や、「一度、献上した」「天皇が地方訪問の際に買った」などの理由で「宮内庁御用達」を掲げる業者もかなりある。
 宮内庁は「宮内省御用達だった業者が歴史的事実として広告している場合などは別として、虚偽の『御用達』を宣伝し金品を集めるなど目に余るケースがあれば、なんらかの対処をする可能性はある」とする。』

確かに、御用達と言われると、由緒正しい良質な品という印象がある。

そのブランド力はほかとはまったく違う響きがあるだろう。

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それだけ皇室が日本人から信頼され大事にされてきた証なのだろうが、時の政権が天皇を自らの政策に利用した歴史は多々ある。

明治維新しかり、昭和の戦争しかりだ。

天皇は、日本人にとって「お神輿」である。担ぐ人間によって、良くも悪くもなるのだ。

中国や韓国の人たちから昭和天皇が悪魔のように思われているのも、それを担いだ日本人のせい。昭和天皇には気の毒なことであった。

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令和の天皇が乗る神輿をどう扱うのか?

私たちこの時代に生きる日本人に課された大きな責任である。

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