億ション船

ちょっと考えればあっても不思議はない話だが、こんな船が世の中に存在するとは今までまったく知らなかった。

金持ちだけのために作られた世界で1隻しかない豪華船の話が、日経新聞に載っていた。

「世界に一隻 『億ション船』を知っていますか」と題されたこの驚くべき記事を、丸ごと引用させていただく。

 

『 4月6日、東京・晴海にひっそりと入港したクルーズ船「THE WORLD」。世界でただ1隻しか存在しない「マンション船」だ。豪華リゾートマンションがそのまま船になったと思えばいい。最も安い約30平方メートルの部屋でも価格は1億7000万円だ。各部屋のオーナーは主に欧米出身の富裕層。船上を「我が家」とし、コミュニティーを楽しみながら、秘境巡りなどのスケールの大きな旅を満喫する。陸(おか)の上からはうかがい知れない船上ライフとは、どのようなものなのか。2年ぶりの日本寄港の機会をとらえて、視察してみた。

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↑世界に1隻しかないマンション船「THE WORLD」↑

■築地の鮮魚、銘醸ワイン1万6000本

近年、晴海の客船ターミナルに停泊するクルーズ船を目にする機会が増えた。バハマ船籍のTHE WORLDも見た目は他の豪華客船と変わりはない。ただ、船に出入りする人々の様子はちょっと違う。ターミナル周辺には高級外車がちらほら。厳重な警備を経て乗船するのはオーナーを訪ねる友人たちか。VIPらしき雰囲気の人も少なくない。

記者も厳重なセキュリティーを通過して船内に入った。グランドピアノが据えられた高級ホテルのような広いフロントを見た瞬間、ここが船の中であることを忘れてしまう。シックでぜいたくな調度品が彩る船内を、クルーのリサ・スピラーさんに案内してもらった。美容室やジム、スパ、ブティック、シアターが連なり、デッキには巨大なプール。レストランやバーではグラスを片手に談笑する欧米人の姿が。これは他のクルーズ船と同様の光景だ。

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↑グルメスーパーでは寄港地の新鮮な食材や総菜が豊富にそろう↑

だが奥に進むに従って、豪華な船内施設の全貌が明らかになってくる。多種多様な総菜や新鮮な食材が並ぶグルメマーケットの充実ぶりに目を見張った。築地で仕入れた鮮魚も並び、部屋でパーティーでもするのか、大量に食材を買い込む家族連れがいた。レストランはカフェ、エスニック、ファインダイニングなど6カ所。ワインセラーをのぞくと、シャトー・デュクリュ・ボーカイユ、オーパス・ワンなど銘醸ワインも含め、世界19カ国から集めた1100種類以上、1万6000本が貯蔵されている。

船内アクティビティーにも事欠かない。ゴルフ好きな人向けのゴルフシミュレーター室では世界の名門80コースにバーチャルトライ。プロゴルファーが乗船しており、寄港地では実際の名門コースでプレーするプログラムがある。その前にシミュレーターで練習しましょう、という趣向だ。船では唯一のフルサイズのテニスコートもある一方、各地で探検家や作家、地域文化の専門家、外交官、歴史家らが乗り込んで講義をしてくれるので、知的好奇心も満たされる。

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↑世界中で集めたアート品などを部屋に飾る人も↑

船外アクティビティーは寄港地でのアドベンチャープログラムが圧巻だ。北極圏の氷河への接近、マダガスカル沖合への探検、バヌアツの火山といった秘境の旅が用意されている。就航以来訪れた国は114カ国にのぼる。

■5億円の部屋、管理費は年5000万円

現在、クルーズ船は世界で400隻ほどあるといわれるが、20万トン級といった大規模な客船ほど大衆向けとなる。スタッフ数が多く、質の高いサービスが受けられるラグジュアリー船は1万~5万トン規模と小型で、世界で20隻程度しか存在しない。2002年に就航したTHE WORLDはその頂点に立つ。総トン数は4万3500トン。165室に対し現在、オーナー数は142家族。常時乗船している乗客は150~200人だ。スタッフは270人いるというから、サービス体制はマンツーマンを超え、いたれりつくせりとなる。

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↑部屋で仕事するオーナーも。世界地図にはこれまで訪れた数十カ所がピン留めされている↑

もちろん価格は超高額だ。部屋の広さは30~300平方メートル。中心となる100平方メートル、130平方メートルの部屋はそれぞれ、4億円、5億円程度になる。最高額は300平方メートルで18億円という。加えて購入金額の10%弱の年間管理費がかかる。5億円の部屋ならば5000万円程度が必要というわけだ。日本の総代理店であるインターナショナル・クルーズ・マーケティング(東京・港)の中川節子社長によれば「オーナーになるには最低でも1000万ドルの純資産を持っている必要があり、厳しい審査と他のオーナー2人の推薦が必要。管理費は主に燃油代で、レストランやスーパーで使う年約3万ドル分の飲食代も含まれている。翌年には持ち越しできないので、高級ワインなどを消費する人が多い」。

世界でもまれな船室を所有できる富豪の国籍は北米が5割、欧州36%、他にはオーストラリア、ニュージーランドが多い。アジアのオーナーは3組の日本人だけ。職業では経営者、科学者、医師らが多く、知的で文化的、冒険旅行が大好きというのが共通項。平均年齢は65歳だ。

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↑インテリアは、お抱えデザイナーと好みのイメージに仕上げるオーナーも多い↑

■平均6年で売却

運良く実際の部屋を見せてもらった。最初に通された部屋はかなり広めの3ベッドルーム200平方メートル級。木材と石材を敷き詰めた床に、あちこちに飾られた東洋趣味のオブジェが印象的だ。壁紙、カーテン、家具が調和し、オリエンタルな雰囲気を醸し出す。キッチンや浴室には大理石がふんだんに使われ、最新鋭の調理設備やAV機器が整えられている。

オーナーは「旅好きで、世界各国にいくつか家を所有している」夫婦2人。マスターベッドルームの壁に張られた世界地図には、これまで渡航した場所100カ所ほどにピンが押されていた。クローゼットにはカジュアルからフォーマルまで靴やドレス、アクセサリーがびっしり。アウトドア用の衣類もそろい、美しい装飾が施されたステッキが10本以上あった。

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↑デッキに設けられた12の「バリベッド」で星空を眺めながら眠ることもできる↑

続いて、まったく違う印象の部屋に足を踏み入れた。インテリアは白を基調としたモダンなデザイン。大きく開放的な窓の外に広がるダイナミックな大海原に圧倒された。案内してくれたスピラーさんは、「所有する2つの部屋をつなげて壁を取り払い、1ルームに改装。部屋のイメージはマリンで、サンセットの景色はすばらしいの一言」と話す。この部屋は残念ながら写真撮影禁止だった。

THE WORLDのオーナーはたいてい、購入と同時に自分好みの大がかりな改装をする。「どのくらい手を掛けたかが、売却額を左右するため」(中川社長)。02年当初から乗っているオーナーは10人ほどいるが、たいていの部屋は平均6年で売りに出される。「現役の忙しさがそろそろ終わる65歳ごろに購入してアクティブに活動し、70歳を過ぎるともう十分旅をした、自宅でゆっくり過ごそうか、となる」(スピラーさん)。一年中船で過ごす人もいるが、平均滞在期間は1年のうち4カ月ほど。空けている間は、購入希望者にリースできるプログラムも用意されている。

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↑友達を招き、船のレストランのシェフを呼んで部屋でパーティーを楽しむ↑

■オーナー同士、固いコミュニティー

ベルギーのアントワープでは、あるオーナーが乗務員と乗客全員を自身のヘリコプターで空からの市内観光に案内するなど、スケールの大きい、興味深いエピソードには事欠かない。「ここでは価値観、趣味嗜好が近いオーナー同士の仲間意識が強く、そのコンセプトに引かれて購入する人が多い。若い世代と違うのは、コミュニティーに入るという感覚で買っていること」とスピラーさんは明かす。毎年の航路決定の準備は3年前に始まる。まず船側が7種類の航路スケジュールを用意し、一部オーナーで組織する理事会でプレゼンして3つに絞られ、さらに全オーナーの投票で1つに決定される。分譲マンションの自治会のように、オーナーのコミュニティーが船全体の運航に関与していく仕組みだ。どこに行き、どんな珍しい経験ができるかを重視する人が多いのだという。

一方で、スピラーさんが話してくれたエピソードで印象的だったのが、夫に先立たれた女性の話。いったん船を離れ、再び戻ってくると、夫の思い出を語り合える船内の仲間に支えられて元気になっていったという。家族的な雰囲気が、THE WORLDの魅力を支えている。

(編集委員 松本和佳) 』

 

あまりに住む世界が違いすぎて笑うしかない。

でも希少価値が高いから、買値以上の価格で売却する人たちもいるだろう。本当のお金持ちは、損をしないようにできているのだ。

でも私は、クルーズに興味がない。貧乏くさく、自分の頭と足で行き先を決める。そんな旅じゃないと面白くない。

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