プーチン来日

プーチン大統領が11年ぶりに来日した。昨日は安倍総理の地元・山口に泊まり、きょうは東京にやってきた。

首脳会談後の共同記者会見で安倍総理は、北方四島での「特別な制度」に基づく共同経済活動の実現に向け「交渉を開始することで合意した」と表明した。「日ロ両国の平和条約問題に関する立場を害さないという共通認識のもとに進められる。この特別な制度は日ロ両国の間にのみ創設される」と強調。「これは平和条約の締結に向けた重要な一歩だ」とも訴えた。

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戦後71年間、自民党政権が追い求めた北方領土問題の解決。日本側が領土返還を諦めるのでなければ、そう簡単に進む話ではない。安倍さんはグレーゾーンを設けることで、「歴史に名を残す事業」に挑もうとしている。

日本人は北方領土は返ってくるのが当たり前だと考える。しかし、世界的な常識からいえば、戦争で失った領土は戦争によってしか取り返せないのが普通だ。国境線というものは歴史上常に戦争の引き金となってきた。

戦前北方四島には日本人が暮らしていた。ソ連は国際法上の手続きも踏まず、その日本の領土を占領した。戦後、両国の間で、四島がソ連の領土であると決められた事実もない。よって不法占拠だという立場で、ロシアが島を返還しないのは横暴だと考える人が多い。しかし、戦前の時期はそうだったが、さらに遡れば果たしてどんな民族が暮らしていたのか。国境の歴史とはそんなものだ。いつの時代を「本来の領土」と考えるか、立場によって変わってくる。

そうした意味で、安倍さんが島の返還だけにこだわるのではなく、経済協力から始めたのは評価したい。実際、それしか道はないだろう。長い間行われてきた「二島か四島か」の議論やソ連崩壊直後にささやかれた「島を金で買う」といった議論に比べ、両国にとって得る所が大きいだろう。日本人が自由に北方領土に行けるようになれば、いろいろなことが変わってくるだろう。経済的な交流も拡大し、島の経済は間違いなく活性化する。そのうえで、どのような知恵が出せるのか。建前にこだわると局面は打開できない。

学生時代、北海道をヒッチハイクで回ったことがある。知床半島の民家に泊めてもらった。夜、家に着いた時は気づかなかったが、この民家は海に面していて、朝起きて窓から外を見ると、すぐ目の前に国後島があった。想像した以上に目と鼻の先だった。「こんなに近いんだ」すごく驚いて、海の先に浮かぶ大きな島をしばらく眺めていた。

北方領土の元住民の方には申し訳ないけれど、個人的には島が返還されなくても、日ロの経済交流を強化し、平和条約締結への道を模索すべきだと思っている。ロシアは本当に心を許せる国とは言いがたいのは事実だ。しかし、政治的には対立しながらも、国境地帯では経済的なつながりが維持されている、そんなしたたかな関係を隣国とは作っていくべきだと思う。

ロシアの極東部は世界でも例のない広大な無人地帯だ。そこには大いなる可能性が残されている。ヨーロッパに比べて戦後処理が遅れている東アジア。ロシアに限らず隣国との戦後処理を一つ一つ前進させ、国際的な協力関係のもとで人類の未来に資するような共同事業を進める道を模索してほしいと思うのだ。

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