フォロワー工場

SNS社会の闇に捜査のメスが入ることになりそうだ。

BBCニュースが伝えた「SNSの「フォロワー工場」を捜査へ 米ニューヨーク州」は興味深い。元はニューヨーク・タイムズによる調査報道だ。引用させていただく。

『 米ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官は28日、ソーシャルメディアのユーザーに大量の偽フォロワーを販売したとされる会社について、捜査に着手すると発表した。

27日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、問題の会社は「Devumi(デブーミ)」。

ニューヨーク・タイムズは、「デブーミ」に関する詳しい調査報道記事で、多数の著名人アカウントが同社の「フォロワー工場」に関係していると書いた。

同紙は、自分のアカウントやプロフィール写真をコピーされて、本物そっくりの「ボット」を作られたという複数人から話を聞き、こうした「ボット」からのフォローを著名人が金で買っていると書いた。

「ボット」のフォローを買っているなかには、フォロワー数を増やしたい俳優や起業家、政治コメンテーターなどが含まれているという。

ソーシャルメディアでは、フォロワー数が多いと影響力も大きくなる。フォロワー数の多いアカウントは世論に影響を与えることもあるし、仕事やスポンサー契約などの具体的な利益につながることもある。

シュナイダーマン長官は、このような「不透明な」事業は民主主義を損なう恐れがあると表明している。

長官はツイッターで「ボットが増え続けると、開かれた場所での対話から本当の声がかき消されてしまいがちだ。フォロワーを金で増やせる人間が、見せかけの影響力を得てしまう」と警告した。

ウェブサイトを見ると、デブーミ社は顧客に対し、ツイッターのフォロワー最大25万人までの注文を受け付けている。価格は12ドル(約1300円)から。「いいね!」やリツイートも購入できる。

Pinterest(ピンタレスト)やリンクトイン、サウンドクラウドやユーチューブなどについても、フォロワーを販売している。

ウェブサイトには「私たちは20万以上の事業、著名人、音楽家、ユーチューバー、その他のプロを支援してきました。注目度を高め、客に大きな影響を与えられるよう、お手伝いしてきました」と書かれていた。

会社登記はニューヨーク市だが、ニューヨーク・タイムズ紙によるとこれは見せかけで、実際の事務所は米フロリダ州にあるという。また、フィリピンでも従業員を雇っているという。

ツイッターはニューヨーク州の捜査着手を受けて、デブーミや同様の業者を阻止するため取り組んでいると発表した。

ツイッターの広報アカウントは、「デブーミ社が弊社などのプラットフォームで使っていると、ニューヨーク・タイムズが今日伝えたやり口は、我々の規則に違反しており、容認できない。デブーミやほかの類似企業を阻止すべく、取り組んでいる」とツイートした。

ツイッターはかつて、この問題に真剣に取り組んでいないと非難されていた。同社はボットに関する調査の内容を、「不正確で、調査手法に欠陥がある」などと、往々にして相手にしてこなかった。

ツイッターは自動アカウントそのものは認めているが、自動アカウントの売買は厳しく禁止している。同社は、フォロワーやリツイート、あるいは「いいね」を買っていたと判明したアカウントは、停止する方針を示している。しかし、同社関係者はニューヨーク・タイムズに対し、証明するのが難しいため、実際にはほとんど停止していないと語った。

記事によると、デブーミは少なくとも350万人分の自動アカウントを保有し、その多くを何度も販売している。そのうち少なくとも5万5000アカウントが、「未成年も含めた実際のツイッター利用者の名前やプロフィール写真、出身地、そのほかの個人情報を使用している」という。

「こうしたアカウントは、活況なネット影響力経済における偽造通貨のようなものだ。巨大な観客へのリーチ、あるいは少なくともその幻想は、金銭化できる。今や政府や犯罪者、起業家が使う偽アカウントは、ソーシャルメディアに蔓延している」とニューヨーク・タイムズは書いている。』

 

インターネット社会では、フォロワーの数やいいねの数がそのまま発信者の価値となり、その発信情報の中身を吟味することなく、アクセス数、フォロワー数、いいねの数がお金に変わる。それこそが、ネットビジネスの根幹だ。今や企業や官庁の発注でもこうしたアクセス数が求められる。

しかし、そうしたフォロワーが実際に売買されているのだ。

日本にもそうしたフォロワーを販売しているサイトがある。業界シェアNO.1だという「ツイッターズ」では、日本人フォロワーを12万人購入して、9万7000円だそうだ。外国人フォロワーだともっと安くて、10万人のフォロワーを購入して3万2000円だ。

私はこうしたSNS事情について詳しくないが、以前SEO(検索エンジン最適化)の業者と話した時、ダミーのサイトをいくつも作ってリンクを貼るテクニックがあると教えられた。それってインチキじゃないかと思ったことを記憶している。そういえば、「食べログ」の点数を買うというビジネスも以前問題になった。

今回の「フォロワー工場」も、これらと同じようなインチキである。こうしたインチキが大規模に行われていて、それによって権威付けされたインチキな個人や企業が時代の寵児としてもてはやされる。全てインチキで塗り固められた時代なのだ。

私たちに求められるのは、アクセス数やフォロワー数といった数字ではなく、その内容をちゃんと読み込んで自分にとって役立つ情報なのかどうかを自ら判断する心構えなのだろう。

この「フォロワー工場」の捜査に注目するとともに、巨大IT企業にはこうしたインチキが通用しないシステム作りをお願いしたいものだ。

コメントを残す