ビットコイン③

本格的な暴落が始まった。仮想通貨取引所コインチェックのNEM巨額流出以来、値を下げ続けていた仮想通貨。夕方のNHKニュースでは、1月上旬に92兆円あった仮想通貨の総額が今日の正午段階で46兆円と半分にまで下がったと伝えていた。

それからわずか2時間後、夜の9時ごろからすべての仮想通貨が暴落し始めた。今朝まで100万円を維持していたビットコインは夕方90万円を割り、夜9時過ぎにはあっさり80万円も割った。他の仮想通貨はビットコイン以上の暴落で、きょう1日で30%以上も値を下げた。

しかし、このブログを書いている間に、相場はまた急転した。一旦80万円を割ったビットコインはそこから急騰、わずか20分の間に10万円値を戻した。

私はこの暴落と急騰劇をコインチェックのサイトで見ていた。リアルタイムで売り買いの注文が入るのが見える。80万円の防衛ラインでの攻防があり、80万円を割った瞬間に買い戻しに転じた。それはある意味で「エンターテイメント」的なものを感じさせた。

仮想通貨を取引している人たちは、こうした画面を見つめながら感覚的に売り買いをしているのだろう。仮想通貨で何かをしようという「価値」とは無縁の取引のように見える。

そのコインチェックに、今朝金融庁が立ち入り検査に動いた。コインチェックに対する集団訴訟も動き始めた。26万人の顧客に対する払い戻しを約束したコンチェックだが、その約束が果たされる可能性はますます小さくなっている。

ただ今回の騒動で様々な記事を読んだことで、私も仮想通貨について多少理解できるようになった。

流出したNEMがどこの口座にあるのかはどうやらわかるらしい。これこそがブロックチェーン技術の特徴だ。だがその口座の持ち主が誰なのかはわからない。だからすぐに取り返すことはできないという。それでも、犯人が盗んだNEMを分散して他の口座に移動させたことはすぐに知ることができる。世界中の多くの人が監視しているのだ。今までにない面白い技術だ。

BSフジの「プライムニュース」では、仮想通貨について議論が戦わされていた。まさに通貨の未来はどうなるかという大きな問題だ。まだ黎明期の仮想通貨、誰の目にもわかるように問題は山積みだ。しかしその根幹を担うブロックチェーン技術は通貨の概念を変える可能性が確かにある。

今でも世界には多くの通貨が存在し、その価値は各国の政府の通貨政策に左右される。他国の通貨に両替する際には手数料を取られる。送金するにも手数料を取られる。さらに多くの発展途上国では、通貨の名に値しないような現地通貨が多く存在している。国民に信頼されない通貨は通貨とは呼べない。先進国でも発展途上国でも安心して使える世界通貨が誕生すれば、世界経済はもっと便利に効率的になる。

一方で、各国政府や銀行にとっては、その権限を根底から覆されるような革命的なことが進行しているのだ。

しかし、新たなテクノロジーによって一旦動き出した新たな通貨の模索は止まることはないだろう。今までは当たり前だった現金というものが、私たちの周りから確実になくなっていくだろう。

世界で通用する新たな通貨が誕生した時、その世界標準を握った国や企業が覇権を握ることになる。これは物の戦いよりもはるかに大きな破壊力を持つ。だからこそ安倍政権は仮想通貨に寛大なのだ。ここで遅れをとると、日本は先進国から脱落するかもしれない。

この新通貨をめぐる戦いが、国際的な勢力図を塗り替える日は意外に近いかもしれない。

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