トランプ相場

トランプ氏がアメリカの次期大統領になることが決まってから、円安ドル高、日米の株高が続いている。

選挙直後1万6100円まで下げた日経平均株価は、今1万9400円を超えている。トランプが勝ったら大暴落すると言われた選挙前の予想は何だったのか。

株価上昇の意味が納得できないので静観するしかないが、きょうの産經新聞に興味深い記事が載っていた。

『米国第一主義、トランプ氏が「沈む中国」を踏み台に』という田村編集委員の記事だ。後々の参考のために書き写させていただく。

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『米国金融市場のトランプ・ブームのおかげで日本も株高・円安だが、いつまで続くか。見逃せないのは国際金融市場を動かす潮流の大変化だ。中国から巨額の資金が逃げ出し、米市場へとなだれこむ。米国第一主義のトランプ氏が「沈む中国」を踏み台にしている。

論より証拠。中国からの純資金流出(流出と流入の差額)と米株価の推移をグラフでみると、その連動ぶりは米大統領選前から際立っている。中国からの資金流出規模は膨らみ続け、この11月までの12カ月合計で1兆ドルに及ぶ。

流出には、中国企業による米欧企業買収や旅行者の「爆買い」も含まれるが、米欧のアナリストの多くは、当局の取り締まりをくぐり抜けた資本逃避が5千億ドルに上ると推計している。資金流出は外国為替市場での元売りを伴い、元相場を暴落させかねない。中国人民銀行は外貨準備を取り崩して元を買い支えている。

逃避資金の大半はドル資産となって香港、ケイマン諸島など租税回避地(タックスヘイブン)に移る。最終的にはドル金融の総本山、ニューヨーク・ウォール街を潤す。債務国米国は、年間で約1兆ドルの外部資金流入を必要としているが、その多くは中国発の逃避資金で賄われる。

トランプ氏は中国の通商、通貨や南シナ海への軍事進出などについて厳しく批判し、従来の米政権が踏襲してきた「一つの中国」容認路線に束縛されないと強気に出る。背景には、一方的な中国からの巨額資金奔流がある。2009年の政権発足当初、米国債購入を北京に頼み込んで以来、北京に軟弱姿勢で一貫してきたオバマ政権とはわけが違う。

トランプ氏は、議会多数を占める与党共和党主流派とは金融規制の撤廃で一致している。ウォール街の盟主ゴールドマン・サックス出身の財務長官らが規制緩和を担い、外部資金の流入の障害をなくす。利上げも加わる。外部からの資金流入は今後さらに加速する。

他方で、中国からの資金流出は習近平政権による規制強化にもかかわらず衰えるメドはない。中国は依然として巨大な過剰設備と不動産の過剰在庫を抱えており、上海などでは不動産バブルの崩壊不安が漂う。通商、通貨、南シナ海問題など米中間の緊張が高まろうとも、「トランプ相場」はチャイナリスクによって、支えられるだろう。(編集委員・田村秀男)』

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アメリカに世界の資金が逆流する「巻き戻し」が起きるのか。長年言われてきた中国バブルの崩壊が本当に始まるのか。個人的には日米よりも、中国や新興国の動きに注意して見ていきたいと思う。

いずれにせよ、怖くて当分株には手を出せそうにない。

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