ウクライナ

久々に「NHKスペシャル」に唸った。タイトルは「そしてテレビは“戦争”を煽った」。ロシアのクリミア半島侵略後、ロシアとウクライナのテレビが戦争をどのように伝えたかを検証した番組だ。

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視聴率は取れないだろう。最近ではニュースでもウクライナ情勢は取り上げられない。一般の日本人には元々遠い話だ。しかしウクライナ東部での戦闘は今も続いている。

ロシアのテレビは政権の影響下にある。ウクライナで殺されたロシア系住民の映像を使ってウクライナへの憎しみを煽った。一方、戦争前のウクライナのテレビ局は自主的な放送をしていた。しかしクリミア侵略後、国民世論とともに国民の団結を呼びかけるトーンに変わっていく。伝えるジャーナリストの感情も反映され、それぞれ偏った報道に流れていく。

新たな問題もある。ネットに氾濫する膨大な映像の扱いだ。ロシアのテレビは、ネット上の映像を都合よく使って、敵意をあおる報道をエスカレートさせた。そのテレビを見た人たちが、義勇兵となってウクライナの前線に向かった。

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NHKは、双方のニュースキャスターやジャーナリストの取材だけでなく、ネット上の映像の撮影者を突き止めて取材。いくつかの重要な映像が、事実と全く違う扱われ方をしていたことを明らかにする。意図的なプロパガンダに、制作者の感情やネット情報の危うさが重なり合って、これまでの戦争報道とは違った新たな時代を迎えている。映像を意図的に利用しているのは、ISだけではない。国民の怒りを増幅させたり、国際世論に訴えたり、戦場で撮影された正体不明の映像は、これから戦況を大きく左右するようになるだろう。

長年世界の戦争を取材してきた一人のジャーナリストが、「他国の戦争と自国の戦争は違う」と話していた。自らの国が危機に瀕した時、「客観報道」などという理想は簡単に吹っ飛んでしまう。日本でもそうなるだろう。穿ってみれば、この番組の制作者は、政権寄りの会長を迎えたNHKが、ロシアのようになることの危険性を訴えたかったのかもしれない、と思った。

この番組を見終わった後、映画「海街Diary」を途中から観た。以前まりさんと映画館で観たことがある。改めてみてやはりいい映画だと思う。4姉妹それぞれ魅力的に描かれている。ずっと4人を見ていたい心地よさがある。こうした人の気持ちの機微や善良なる心が保ち続けられるよう、戦争を起こさないための地道な放送を続けていってほしい。

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