妻が珍しく「お昼ラーメンでも食べに行かない?」と聞いてきた。
これは実に珍しいことで、妻はラーメンを食べると大体頭が痛くなる。
私はもちろん異論はなく、早速行ったことにないラーメン屋を探し始めた。
その時、はたと閃いた。
岡山市の東部にある西大寺の農協で買いたい品物があることを思い出したのだ。
折角なら西大寺のラーメン屋を探してみよう。
こうして私は老舗の人気店「西大寺 八方」と出会うことになった。

行列必至という書き込みを見て、少し遅めに家を出発、カーナビに誘導されて午後1時ごろに店に着いた。
店は一方通行を少し入った場所にあるが、平日の午後1時でも店の前に結構な数の人が待っていたのですぐに発見することができた。
「西大寺 八方」。
看板には何と『中華そば・お好み焼き』と書かれていた。
おお、中華そばとお好み焼き・・・どちらも食いたい!

店の駐車場に車を停め、店の入り口で名前を書く。
個人的には行列は苦手だが、今日は暖かくてまるで日向ぼっこのようだ。
店の前に飾られた提灯には「会陽(えよう)」の文字が記されていた。
西大寺の会陽は日本三大奇祭にも数えられる裸まつりで、毎年2月に行われる宝木争奪戦にはふんどし姿の男たち1万人が集まる。

ちょうど先客が食べ終わるタイミングだったらしく、さほど待つこともなく店内に案内された。
店の中にはテーブル席、カウンター席、小上がりがあり、昔よく見た大衆食堂といった感じだ。
私たちはカウンター席に案内される。

目の前には一升瓶と丼、厨房の中では3人の調理人が忙しそうに注文をさばいていく。
カウンターの上にはメニューの木札が並べられていて、中には「かつそば」「へた丼」などという気になるメニューもある。

カウンターに置かれたメニューを眺める。
赤文字で書かれた「中華そば」が看板メニューのようだが、トッピングの具材がねぎ、わかめ、もやし、ほうれん草、山かけ、月見、煮玉子、キムチ、海苔と多彩だ。
かつ丼は通常の玉子とじか岡山ではポピュラーなデミソースが選べる。
海老かつ丼というのもあって、こちらは玉子とじかタルタルソースの選択となる。
他にもさばずしがあったり、多種類のミニ丼が用意されていたり、メニューを見ているだけでも楽しくなってくる。

ところが、この店はそれだけではない。
メニューの裏面をひっくり返すと、そこにはお好み焼きのメニューがあった。
豚玉680円、そばモダン800円、具材大盛りのデラックスでも1100円だ。
私が好きなメニューが目白押しで相当迷った末、まずはお店の看板メニュー「中華そば」を食べることに決めた。

注文を済ませて店内をあらためて観察すると、壁にたくさんのサイン色紙が貼ってあることに気づく。
中には渡鬼の角野卓造さん、笑点の林家木久蔵師匠などのサインもある。

そして入口のすぐ上には、こんなサインも。
お正月の全国高校サッカーで岡山県勢初の優勝を果たした岡山学芸館高校の選手たちのサインだ。
高校はこのお店のすぐ近くにあり、きっと選手たちも時々このお店にやってくるに違いない。

そうこうしている間に、注文した「中華そば」(750円)が運ばれてきた。
見た目は至ってオーソドックスだが、オリジナルの丼も素敵でなかなか絵になるラーメンだ。

3〜4枚入っているチャーシューは、柔らかくてクセがない美味しさだ。
特別個性的ではないが、非常に私好みのチャーシューである。

メンマもこれまた普通。
でも美味しい。
悪くない。

麺は中細麺。
硬さはお好みで調整でき、プラス160円で替え玉も可能なようだ。

そしてスープは、少し甘味のある豚骨醤油。
そう、この店は典型的な「岡山ラーメン」を提供する老舗ラーメン店なのだ。

シンプルな中華そばに、お好みでさまざまなトッピングをして楽しむ。
それがこの店の人気の秘密らしい。
普段はあまりラーメンを食べない妻も「私ここのラーメン好き」と言ったので再び来ることがありそうだが、その時には「かつそば」を食べるか「お好み焼き」か、今から迷ってしまいそうだ。
食べログ評価3.53、私の評価は3.50。
「西大寺 八方」 電話:086-943-7816(予約不可) 営業時間:11:00~15:30/17:00〜20:00 定休日:日曜・第3月曜