今月、一人で岡山に帰省した時、子育て期に妻がよく作っていた「肉そぼろ」を作ってみようと思いひき肉を買ってきてトライしてみた。

ただひき肉を甘辛く炒めるだけの料理なのに、妻が作る食べ慣れた味とはどこか違っていて美味しくなかった。
妻はいつも牛肉の挽肉を使うのに、この時は合い挽き肉を使ったことも影響があったかもしれないがそれだけではなさそうだ。
そこで改めて、妻に教えを請うことにした。
長年食べ慣れた妻の手抜き料理のレシピをこの際習っておこうと思い立ったのだ。
いつ何時、妻が倒れていなくなってしまうかもしれない。
街に出ればどんな料理でも食べることはできるが、きっと自分で作ってでも食べたいと思う料理は飽きるほど食べた妻の手料理に違いないと思った。
その第一弾として習ったのは「三色丼」。
あの肉そぼろを使ったお手軽料理である。

まずは牛挽肉を用意する。
この日のパックは140グラムだった。
油は使わず、そのまま挽肉をプライパンに投入する。

火をつけないまま、挽肉に砂糖をかける。
量ったりせずに目分量だというが、この肉の量だとだいたい小さじで3杯ぐらいという感じらしい。

そこに醤油を注ぐ。
これも目分量なのだが、あえて量りながら入れると大さじ2杯ぐらい入れた。
さらに、水を少々加える。
本当は日本酒の方がいいのだが、妻は酒ではなく水を使う。
生姜の搾り汁を入れると味が少し大人っぽくなるという。

そしてそのまま火にかけて炒めるだけ。
実に簡単だが、脂が結構出るので妻はそれが嫌で最近あまり作らなくなった。
子育てに追われて素早く料理をしなければならない時と今では、時間の流れも脂の消化能力も大いに変化しているのだ。

こうして5分ほど炒めて味をチェック。
うん、いつもの味だ。
肉そぼろができたら、次は卵。

卵1個をボールで溶き、塩少々と砂糖を小さじ1杯加える。

これを卵焼き器に流し込み、大きめの炒り卵に仕上げる。
これも実に簡単だ。

丼にご飯を入れ、その上に肉そぼろと炒り卵を盛り付けるのだが、そこのもう一色。
茹でたほうれん草を加える。
ほうれん草におかかを加え、丼の上で醤油を垂らして全体を和える。

これで妻の手抜きレシピ「三色丼」の完成だ。
子供たちもしょっちゅう食べさせられていたので、久しぶりに食べさせてやると結構懐かしく感じるかもしれない。
私も子供に付き合って、この三色丼をよく食べたが、これはこれで癖になる美味しさがある。

牛肉のそぼろ。
茶色。

ほうれん草。
緑色。

そして炒り卵。
黄色。

これはこれでなかなか美しいではないか。
時には三色の中にタラコが加わることもあった。

この日は、最近お気に入りのKALDI Coffee farmの「旨辛醤」を足してみることにする。

三色の中央に、赤みのある味噌をのせる。
肉そぼろと色が同化して思ったほどのインパクトはない。

それでもかき混ぜて食べると、辛さと甘さが複雑に絡み合ったいい感じの美味しさだ。
普通の人がどれほど美味しいと感じるのかは定かではないが、この丼には我が家の子育ての歴史が詰まっている。

妻が作ってくれた鯵の南蛮漬けとしじみの味噌汁と一緒に三色丼を食す。
簡単だけど美味しく、そして懐かしい。
きっと死ぬまで大好きなメニューとなるに違いない。