3年ぶりに行動規制のないお盆休みが終わった。
医療現場からは悲鳴が上がっているが、政府は重い腰を上げようとはしない。
それでも感染のピークは過ぎて徐々に全国の感染者数が減少に転じているとも伝えられている。
でも油断は禁物。
今年お盆休みに帰省した人はかなりの数にのぼるようなので、数日中にその影響が感染者数の増加という形で現れてくるのではないかと私は予想している。

妻とそんな話をしていた矢先、妻のスマホに昨日立て続けに2本の連絡が入ったのだ。
一つ目は、食事が食べられなくなって岡山市内の病院に入院した義父が院内でコロナに感染したとの知らせだった。
一緒に入院している義母は検査の結果陰性だったが発熱があるという。
詳細はまだはっきりしないが、2人とも90歳を超えているので急変する可能性も考えておく必要があるだろう。
心配ではあるが、すぐに治療薬を処方してもらったそうで、自宅で感染するよりは安心だとも言える。
とにかくジタバタせずにここはプロの手にお任せする以外にない。
気の早い妻は、急変した時にはすぐに駆けつけられるようあれこれまた気を回し始めている。
しかし万一のケースも想定しているようで、その点では何が起きてもある程度自分で心のコントロールをしてくれるだろう。
90歳を過ぎればもう十分生きた、立派な人生だったと受け止めよう。
日頃から私たち夫婦はそんな話をしていて、そういう死生観が夫婦で共有できていることはとても重要なことだと思う。

もう一つの連絡は三男からだった。
喉がおかしいので検査を受けたところコロナ陽性が判明したという。
でも症状は軽いようで会社を休めてラッキーなどと話していた。
妊娠中の奥さんは産休に入り、今週はちょうど実家に里帰りして今は一人で自宅で療養しているそうだ。
妊婦に移ったら大変なので、隔離期間が終わるまでは奥さんは東京に帰って来れないだろう。
普通に働いていても、病院に入院していても、コロナにかかる時にはかかるのだ。
妻は買い物以外極力外出しないようにしているし、私もそれなりに気を遣って出来るだけ自宅で過ごすようにしているが、いつ何時どこでコロナに感染するか分かったものではない。
物好きな私は、コロナ禍もそろそろ終わりだと思うと、一度自分もコロナを体験してみたかったという妙な気持ちを湧いてくる。
義父も物知りで好奇心が強い人なので、もしも無事に復活したら、面白い体験をしたなんて言うかもしれない。

それにしても、人間という生き物はどんなひどい状況にも時間とともに慣れていくものだとつくづく思う。
妻が神経質なので私もおとなしくしているが、正直なところコロナに対する恐怖心は最初のうちだけだった。
自分が感染源となって妻や親に移したくないから行動を自粛しているが、もし私が一人暮らしをしていたならば、とっくの昔に日常生活に戻っていただろう。
むしろコロナがもたらした非日常の光景を求めて、ロックダウンされた武漢や欧米諸国を彷徨っていたかもしれない。
私はもともと衛生感覚が人よりも欠けていて、銃やナイフを突きつけられるのは御免だが、放射能やウイルスなど目に見えないものに対する恐怖心は鈍いのだ。

そういえば、日本のGDPがようやくコロナ禍前の水準に戻ったらしい。
昨日発表された4−6月期の実質経済成長率は前期比年率2.2%で、3四半期連続のプラス成長となった。
これによりGDPの水準もコロナ禍前の2019年10−12月期を上回ったそうで、経済指標的には既にコロナ危機は終わったということかもしれない。
ただ欧米よりも1年遅い回復であり、この先予想される世界経済の落ち込みを考えると、日本の景気回復がこのまま続くのは難しいというのが多くの専門家の見方のようだ。

それでもこの「第7波」が収まったら、政府も対策の見直しに着手するとしていて、日本もようやく本格的なウィズコロナの時代に移行するらしい。
お盆休みの帰省ラッシュにより第7波の収束はきっと少し遅れるだろうが、それでも9月半ばになれば少し出口が見えてくるに違いない。
コロナ禍での3年は、私にいろいろこの先のことを考える時間を与えてくれたという意味では悪いことばかりでもなかったが、そろそろもう疲れた。
頭の中もだいぶ整理できたことだし、やりたいことを自由にできる社会環境が1日も早く戻ってくることを願わずにはいられない。
まずは、義父と三男の早い回復を祈りながら、もう少し我慢の日々を送ることにしよう。