今年は、春に伯母、夏に義父と90代の年寄りを2人見送った。
義母も老人ホームでの生活に慣れ、残るは一人暮らしを続ける私の母の介護をどのようにするかということに絞られてきた。
母は今年90歳。
年のわりに元気で、身の回りのことは自分でできてはいるが、この先いつまで一人暮らしができるのか、急な変調に備えてどのようなサポート体制を築けばいいのか、このところ私たち夫婦の間では最大のテーマとなっている。

日曜日、弟夫婦とオンラインで繋ぎ、母のサポートについて初めての親族会議を行った。
私が話したのは4つ。
- 週一でお願いしている訪問看護を休まずに続けること
- 気の合うヘルパーさんを探す
- 荷物部屋になっている奥の間を業者に依頼して片づける
- 将来的な東京転居を検討する
弟は、これまで母の世話を私たち夫婦に任せっぱなしになっていることに気まずさを感じていたらしく、自分も一度ゆっくりの話を聞いてから相談しようということになった。
まだ仕事が忙しく母とゆっくり話すこともなかった弟は、1時間40分に及ぶ電話の後、再び私に電話をかけてきて、自分としてはできれば母を東京に呼び寄せて、子供や孫たちにももっと合わせたいと言った。
私の家族も弟の家族もみんな東京に住んでいるので、母が東京に出てきてくれれば、妻の負担も軽減されるかもしれない。
どうやら母も全くノーというわけではないようなので、今後東京移住も一つの可能性として検討することになるだろう。

今日は昼過ぎから、母の住むマンションに新しいケアマネージャーさんが来られるというので、私たち夫婦も立ち会って4人で今後の支援体制について話し合った。
これまでお世話になっていたケアマネさんが体調を崩して退職されたため、大手の介護サービス会社のケアマネさんが母を担当してくれることになったのだ。
現在はまだ元気な母だが、何か異変があった時にすぐに駆けつけられる身内が岡山にいないことを私たちが心配していることを伝え、将来的には母を東京に連れて行くことも考えているという話もした。
新しいケアマネさんは慣れた様子で、母や私たちの話を聞き、今後母に合ったプランを提案してくれるという。
会社を退職後、この3年間私たちも親の介護を続けてきているので、だいぶ介護サービスについての知識もついて、ケアマネさんの協力を得ながらお互い無理のない介護を続けていければと考えるようになった。

むしろ今日新鮮な体験だったのは、岡山駅近くにある補聴器センターを訪れたことである。
数年前から母のマンションを訪ねるたびに、テレビの音量が大きいことが気になっていた。
もともと健康には人一倍関心があり、精力的に知識を仕入れていいと思うものは実践している母なのだが、どういうわけか耳だけは検査を受けたことがなく、医者に行こうともしない。
それでもしつこく検査を勧めていたところ、昨日、知り合いのお医者さんの紹介で初めて耳鼻科の治療を受けることになった。
生まれて初めての聴力検査に母はだいぶ緊張したようだが、結果は年相応の聴力の低下が認められ、補聴器センターへの紹介状をもらって帰ってきたらしい。
今日ケアマネさんとの顔合わせが終わった後、母を車に乗せて補聴器センターに行ってみた。

母も私たちも補聴器の知識は全くない。
あらかじめ予約を取ってからお店に行ったため、すぐに席に案内され、女性スタッフが丁寧に対応してくれた。
補聴器といってもいろいろなタイプがあり、値段もまちまち。
一番よく売れるミドルクラスの補聴器は両耳で30万円台といい値段である。
耳掛けタイプの補聴器を母が試してみる。
話す相手の声だけでなく、関係ない音まで大きく聞こえ、自分の声も違って聞こえるというのが母の感想だった。
女性スタッフは、誰でも最初は違和感を持つが使っていれば次第に慣れると説明する。
無料で補聴器を借りて数週間お試しすることもできるようだが、母の場合、今すぐに耳で不自由しているわけでもないため、今回は話を聞くだけにとどめ、もしも実際に補聴器を使ってみようと思った時に改めてお店に連絡することにした。
お年寄りにとって、日常の会話に不自由しない程度なら、補聴器を使ってノイズまで大きく聞こえるようにしなくても、静寂の中で暮らす方が心地よいかもしれない。
こうして一歩一歩、サポート体制を充実させることで、介護うつ気味の妻の負担を軽減できればと思う。
母も私たちに出来るだけ迷惑をかけたくないといつも口にしている。
母にも、私たちにも、弟夫婦にも、みんなが納得できる介護の形が見つかればいいのだけれど・・・。