今年のお盆休みは、日本列島を台風7号が直撃、新幹線をはじめ帰省の足が大混乱となっている。

私たちはひと足早く、帰省ラッシュの流れに逆らうように11日に東京に戻ってきた。
昨日13日に吉祥寺で家族の集まりを計画していたためだ。
今年3月に伯母が亡くなり、今年の夏は「初盆」にあたる。
伯母が暮らしていた岡山の集落では、初盆には祭壇を作って提灯を飾り、お坊さんを迎えて供養するのが一般的なのだが、我が家では高野山に永代供養したこともあり、地元のお坊さんには来てもらわなくてもいいと伝えていた。
それでも何人かは近所の方がお供えを持って訪ねて来られた。
初盆にはそうめんやお盆提灯を贈り合うことが多いというが、そんなものをいっぱいもらっても困ってしまう。
そこで、私は考えた。
伯母に世話になった私も弟も東京に住んでいて、その子供たちや孫たちの大半も東京にいる。
それならば初盆に合わせて吉祥寺にみんなを呼んで、賑やかに会食でもして伯母を偲んであげようと。
そして数ヶ月前に私の家族と弟の家族全員に計画を伝えたところ、福島に住む姪以外、全員から出席の返事が届いたのだ。

久々にみんなが顔をそろえるので、ちょっと奮発してイタリアンの名店「プリミバチ」の個室を予約した。
しかし今月になって義父の容体が悪化しいつ亡くなるか分からなくなってしまったため、お店に相談したところ、お盆シーズンの個室のドタキャンはキツいと言われ、急遽キャンセルが効きそうな別の店を探すことになった。
お盆の時期に20人近い人数が入れる店となると吉祥寺ではそれほど多くはない。
思い当たる店に何軒か電話してみたが、どこもすでに予約が入っていて大人数は厳しいと断られる。
さて、どうするか?
そんな時、一度だけ行った新しいお店を思い出した。
「吉祥寺エクセルホテル東急」の1階にあるカフェレストラン「3rd. BAR&GRILL RESTAURANT」。
ダメ元で電話してみると、ちょうどいい席が空いているという。
こうして急遽お店を変更し、無事にランチ会食を開くことができた。
メンバーは大人12人に、中学生1人、小学生2人、幼稚園児1人、そして赤ん坊が1人という構成である。
私は弟の家の甥や姪とは時々会っているが、家族全員での食事会となるとおそらく10数年ぶりだと思う。
まだ子供だった甥や姪もすっかり成人し、我が家にはたくさんの孫が生まれた。
「久しぶり」「初めまして」
あちらこちらでそんな言葉が飛び交い、食事会は和やかな雰囲気で進んだ。
初めて会う私の孫と甥が互いに横浜ベースターズのファンだということで話が盛り上がったり、幼稚園児の孫が大好きな恐竜について弟に一生懸命説明していたり、みんなとても楽しそうで期待以上に盛り上がった会になった。

食事を済ませた後、今度は私のマンションに場所を移しさらにみんなで遊ぶことに。
この日のために地下にあるゲストルームを借りておいた。
ここならば多少騒いでも怒られることはないだろう。
車座になって「トリオミノス」というゲームをしたり、山梨の農家からいただいた桃を商品にじゃんけんゲームで盛り上がったり、年の差も忘れてみんなでワイワイ大騒ぎだ。
特に5歳の男の子はたくさんの大人が遊びに付き合ってくれるのが嬉しくてたまらないらしく、自分が大事にしている恐竜のぬいぐるみを部屋のどこかに隠してそれを見つけるという変則的なかくれんぼを何度も何度も飽きることなく繰り返し、最後は自分で隠したぬいぐるみがどこに行ったかわからなくなってしまい、全員で部屋中を捜索する羽目になってしまった。
それでも、みんなといろんな話ができ、甥や姪の近況も聞くことができた。
どうやら甥は来年にも結婚することになりそうである。
そうなればまた新しい家族が増えることになり、少子化の日本にあって珍しい大家族と言ってもいいだろう。

伯母の初盆を口実に集まった2つの家族。
和気藹々とした雰囲気を見ていると、これからも声をかければみんなが集まってくれるだろうという期待感が湧く。
岡山で暮らす母も90歳になり、いよいよ本格的に介護についても弟夫婦と相談しなければならないだろう。
昨日もそのあたりのことも少し話せたのでいいきっかけができた。
弟はまだ仕事が忙しいので物理的に動くことはできないだろうが、電話で母親を説得したりいろいろアイデアを出してくれたり協力してくれそうである。
来年以降も年に一度ぐらいはこうしてみんなに声をかけ、吉祥寺で食べて遊ぶことができればいいなと思う。
子供たちは年々成長し、姪や甥にも子供ができるかもしれない。
そうした変化を眺めながら、みんなでワイワイ遊ぶことができれば、人も羨む老後を楽しむことができるだろう。