新型コロナウィルスは、人生の重要な出来事も狂わせる。
三男の結婚もコロナの直撃を受けた。

昨日は激しい雨が断続的に降り続いたが、そんな日に三男夫婦や我が家にやってきた。
コロナの影響で、三男夫婦と会うのも数ヶ月ぶりである。
会えない期間に、二人は人生の重大な節目を迎えた。
6月21日に結婚届を提出して、正式に夫婦となったのだ。
結局、お嫁さんのご両親には一度もお会いすることなく、二人は入籍を済ませてしまった。
これもすべて、コロナのせいである。

ご両親は共に、教育関係者。
コロナ対策には人一倍気を使っていらっしゃるようで、私たちだけでなく東京に住む娘とも会うことを控えていらっしゃるらしい。
万一、学校にコロナ感染が広がった場合、誰が感染源だったかが問題となるわけで、教師が自ら感染源となるリスクを避けるのは賢明な対応だと思う。
そうしてほとんどの人たちは、自らの生活を犠牲にしながら考えられるコロナ対策を実践しているのだ。

共働きの三男夫婦は、結婚式の準備が遅れ気味らしい。
式まで1ヶ月半ほどになっているのに、まだ出席者に案内状も送っていない。
我が家に来た目的の第一は、結婚式ビデオに使えそうな動画や写真をチェックすることだった。
長男、次男よりも10年後に生まれた三男は、出産時から幼児期にかけてかなりの量のビデオが残っている。ビデオテープからDVDにダビングしているので、そのDVDを二人で順に見始めた。
私や妻にとっても、久しぶりに見る懐かしい動画だ。
三男は、私の特派員時代にパリで生まれた。長男、次男は小学校の高学年であまり手がかからなくなっていたため、妻は三男の育児にかかりきりで末っ子の一挙手一投足をビデオに収めていた。
三男は我が家のアイドルで、みんなから可愛がられのびのびと育っている様子がビデオには刻まれていた。
だから、結婚式ビデオに相応しい愛らしいシーンがたくさんあって、結局その場で選べないまま10本以上のDVDを持って帰って行った。

そうして自分のビデオをチェックしている三男に、妻が「こんなのもあるよ」と言って、次男の結婚式を記録したビデオを出してきた。
次男は舞浜のホテルで会社の人たちや友人も大勢招いてオーソドックスで賑やかな結婚式を挙げたのだが、その様子を記録したビデオもホテルに発注して作ってもらっていた。
既製品と言ってしまえば身もふたもないが、本人たちだけでなく参列者の人たちへのインタビューも散りばめられた完成度の高いビデオに仕上がっていた。
三男夫婦は自らの結婚式の参考になると、そのビデオを真剣に見ながら、「こんなのやりやくない」とか「これ可愛い」とか論評しながら見た。

次男の結婚式のビデオを見終わった後、長男の結婚式も見たいということになった。
長男は六本木にあったこじんまりした結婚式場で、親族だけの少人数の結婚式を行った。
すっかり忘れていたのだが、その当時小学校6年生だった三男がビデオ係として結婚式の様子を撮影したのだ。
当然プロが撮影した次男のビデオと比べて、映像はブレブレで完成度は低いのだが、三男は小学生にしては一生懸命カメラ位置を考えながら兄の晴れ姿をカメラに記録しようと頑張っていることが映像から伝わってきて、それはそれで微笑ましく、そんな三男の姿が長男夫婦をはじめ牧師さんにも伝わって、会場に暖かな空気が流れているように見えた。
久しぶりに見た映像に残った我が家の記録。
子育ての大変さ、仕事にかかりっきりだった私を支えてくれた妻の献身。
一つ間違えば、今の平和な家庭はなかったのだ。
これから新たな生活を始めて若い三男夫婦の様子を眺めながら、私は改めて妻への感謝と我が身の幸運を噛み締めていた。
雨が降り続く4連休の土曜日。
息子たちのそれぞれの家庭がこれからも幸せであることを願わずにはいられない、そんな印象的な一日だった。