<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 初めてブドウの剪定に挑戦する、ついでにイチジクも #220114

吉祥寺と岡山を毎月のように往復する二拠点生活もすっかり板についてきたが、妻との共同作業が増えることで夫婦げんかも増えた。

今朝も朝から妻が不機嫌になり、予定していた湯原温泉への日帰り旅行は中止になってしまった。

仕方ない、野良仕事でもしよう。

やるべきことはいくらでもある。

そもそも私たちが岡山に通うようになったのは、一人で農地を守ってくれていた伯母が高齢になったことがきっかけだった。

その伯母が認知症になって去年入院したため、私が代わって農地の世話をすることになったのだが、60年にわたって伯母の生活を支えてきたのは岡山名産ブドウの栽培である。

月一農業を標榜しつつも、やっていることといえば草刈りばかり。

今年こそ月一農業にふさわしい成果が欲しいと、一念発起してブドウ作りにも取り組むことにしたのだ。

伯母のブドウ畑は3つあって、一番小さな畑は家のすぐ目の前にある。

去年11月に次男の家族が遊びに来た時には、ここで子供たちがブドウ狩りを楽しませてもらった。

ブドウの栽培というのは農作物の中でも特に手間がかかるもので、二拠点生活しながら育てるのは難しいだろうと考え、一旦は近所の人に全てお任せすることにしていた。

ところが先月、前の家のおじさんが親切に声をかけてくれブドウの作り方を教えてくれるという。

せっかくのお話なので、家の前の小さなブドウ畑だけ私たち自身で作ってみるか、と妻と意見が一致した。

年明けの1月中旬は、「本剪定」というブドウ作りで極めて大切な最初の作業を行う時期だ。

冬になるとブドウの葉は全て枯れ、昨年伸びた枝がだらしなく垂れ下がっている。

周辺の農家は去年のうちに「仮剪定」と呼ばれる作業を終えていて、一定の長さに枝を切り揃えてきれいに整頓してあった。

我が家の畑はそのままの状態なので、「仮剪定」をスルーしていきなり「本剪定」に進むことになった。

前のおじさんが「これを参考にしなさい」と一冊の冊子を貸してくれた。

「果樹」というタイトルで、JA岡山が発行している広報誌のようだ。

今年の1月号を見ると「今月の果樹の管理」というページがあり、剪定のやり方が記載されていた。

農協お墨付きの剪定の仕方はどのようなものだろう?

  • 結果枝は1芽剪定とし、切り口からの乾燥を防ぐために、残す芽の1つ先の節壁で切ります(犠牲芽せん定)。
  • 2年目以降の結果枝の1芽は基から5mmくらいの位置に着いています。1cm離れているのは、2芽の事が多いです。
  • 延長枝の剪定ですが、長くても22m以内を目安に、節数で18節くらいが標準です。拡大を急ぎすぎて長く残すと、不発芽や新梢の強弱を助長するだけでなく根の拡大が追いつかず何年にもわたって問題が出てきます。

何のことやら、この説明を読んだだけではよくわからない。

「結果枝」という用語を調べてみると、「果実をつける側枝」のことらしい。

ブドウの栽培は、トンネルごとに這わせた「母枝」から脇に伸びるこの「結果枝」を毎年上手に誘導し、それぞれの結果枝に1房ずつ立派な実を結ばせることを目標とする。

昨年の我が家のブドウは完全に放置プレーだったため、枝は自由奔放に伸び放題、枝と枝が絡み合った挙句一本の枝に何房ものブドウがぶら下がった。

これでは、売り物にはならないのだという。

結果枝をよく観察すると、確かに幾つもの芽が出始めているのが私にもわかった。

この中から「1芽」を正しく見つけて、その先にある「2芽」の手前を剪定鋏でカットするのが正しいやり方だ。

前のおじさんはブドウ作りのプロとしてこの集落でも一目置かれる存在だが、私たちが作業している姿を見つけて、わざわざ直接指導しに来てくれた。

「1芽を残して2芽で切る」

おじさんは素人の私たちでもわかるように何度も実演してくれる。

頭では理解したつもりなのだが、いざ自分でやってみると、どれが1芽なのか枝ごとに状況が異なるので素人には難しいことがわかった。

それでも、見よう見まねで2芽と思しき芽のところで枝に鋏を入れていく。

「1芽」か「2芽」かよくわからない枝については、あえて少し長めにカットすることにした。

芽が複数残っているとそこから複数の枝が伸びてくるのだがそれも勉強、その段階で良い枝を選んでも構わないと教えられたので、切りすぎるよりも長めに切ろうと考えたのだ。

一通り剪定を終えると、ビニールのトンネルの中で絡まっていた枝がなくなり、全体的にスッキリした。

剪定のやり方をマスターしたとは到底言えないが、雰囲気だけは最初の一歩を踏み出したように感じられた。

剪定という作業の奥深さに少しだけ触れたことから、他の植物を見てもどうやって剪定するのか興味が湧いてきた。

家の裏庭にあるイチジクの木も、去年は枝が伸びすぎて実を取るのが大変だった。

高い枝を切ってもっとスッキリさせたいという妻のリクエストを受けて、イチジクの剪定にもトライしてみた。

まずはYouTubeにアップされている動画を確認する。

それぞれ内容は違うのだが、その中から一番簡単そうな動画を参考にしてイチジクの枝をノコギリでどんどん切っていく。

その動画によれば、イチジクというのは古い枝には実をつけないため、新しい芽のすぐ上の部分でバッサリ切ってやればいいだけだという。

それなら簡単だとばかり、バッサバサと枝を切っていく。

枝先に残る芽から新たな枝が伸びて、その枝にきっと実がつくだろうと信じて。

おかげでかなり5mほどあった樹高はだいぶ低くなり、枝の絡まりも解消した。

もし私の剪定のやり方が間違っていたとしても、その結果がわかるのはずっと先の話だ。

こちらの写真は去年の7月、家の前のブドウ畑で撮影したものだ。

素人目にはたくさん実がついてきれいに見えるが、これでは房の形が伸びすぎていて粒が小さく、粒と粒の間がスカスカになっている。

これではダメなのだそうだ。

今年はどんなブドウができるのか自分でも楽しみになってきた。

師匠である前のおじさんの教えに従って、まずは初歩の初歩を勉強したいと思っている。

<吉祥寺残日録>岡山帰省2日目、ヘルパーさんに初めて掃除をしてもらう #210705

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