昨日、ほぼ2週間ぶりに岡山に戻ってきた。
大谷翔平の初黒星を見届けてから、家の周囲や畑の様子をひと通り見て回る。

まずはキッチンガーデンとして手入れをしている裏庭から。
先月耕しておいた甲斐があり、思ったほど雑草に覆われていなかった。
タネを蒔いた野菜たちも、おおむね順調に育っているように見える。

レタスはまだ球状にはなっていないものの、虫に食われもせずみずみずしく育っている。
タネから苗を育て、先月地植えしたものだが、成長の具合は大小まちまちのようだ。

成長著しいのが春菊。
どうやらここの土壌が合っているようだ。
大きく育ちすぎて、茎の部分が固くなり始めているが、葉の部分は柔らかそうで大豊作である。

パクチーも1メートルほどの高さになり、白いかわいい花をたくさん咲かせていた。
パクチーは花も食べられるらしいが、このまま置いておくとタネが収穫できて、この種はコリアンダーと呼ばれすスパイスになるそうだ。
私がこのパクチーの花を少し摘んで仏壇に飾ると、妻はパクチーの花を大量に摘んで玄関のツボに飾っていた。
なかなか愛らしい花なのだ。

先月タネを蒔いておいたラディッシュもすでに収穫できる大きさに育っている。
中には収穫のタイミングを逸して巨大化してしまったラディッシュも・・・。
こうなっては見た目も美味しそうではない。
白いラディッシュがあるので、何かの病気かと心配したが、どうやらこれは先月種まきをした小カブのようだ。
しばらく時間が経つと、自分で何のタネを蒔いたのか忘れてしまう。

家の前のブドウ畑にも行ってみた。
下草は東京に戻る前に刈ったので、まだ直ちに草刈りをする必要はなさそうだ。

新芽も順調に成長していて、ブドウの花芽が出来始めている。
今月はブドウ栽培にとって重要な月。
いろいろやらなければならないことがあるのだが、去年は師匠に教えてもらいながらやったが果たして一人でできるだろうか?
まったく自信がない。

気になったのは、マスカットの葉。
なんだか葉の表面が凸凹している。
明らかにおかしい。
去年はこんな症状は見られなかった気がするので、病気にかかっているように思う。
このまま放置していると私が大好きなマスカットが全滅してしまうかもしれない。
今年もまた師匠に教えを請い、どのように対処すればいいのか教えてもらうしかないだろう。

桃の畑に行ってみると、すでに小さな桃の実ができ始めている。
心配された害虫被害も一見したところ去年ほどひどくはないようだ。
たくさん実をつけたままにしておくと、大きく育たないそうなので早いうちに摘果という作業もしなければならない。
たくさんでなくてもいいので、今年はぜひ自分で育てた桃を食べてみたいと思っている。

桃の木の奥にあるのは、先月妻と一緒に大救出作戦を行ったビワの木だ。
クズなど他の植物に絡みつかれて鬱蒼とした薮のようになっていたので、やはり今年の実は病気にかかっているらしい。
見た目も汚く、とても食べられそうな実ができるとは思えない。
今回の滞在中に、このビワの実も何らかの処置をした方がよさそうである。

ジャガイモを植え付けた畑は、周囲を雑草に覆われていた。
昨年までは耕作放棄地になっていた畑で、今年から野菜づくりを始めたばかり、まだ雑草の勢いが相当強いようである。
早いうちに草刈りをして、畑の体裁を整える必要があるだろう。

そんな雑草に覆われた畑の中で、ジャガイモはそれなりに育っているようで、いくつかの株からきれいな花が咲いていた。
ジャガイモの花は受粉して実をつけることは少ないそうで、そのまま放置することが多いという。
他の野菜のように地下の芋を大きくするために花を摘む作業は必要ないらしい。

最後にお墓のまわりの畑に行ってみる。
タマネギの葉が倒れていた。
これは収穫のサイン。
今年は3種類のタマネギを育てているが、成長が一番早い早生のタマネギはすぐに収穫してしまった方がよさそうである。

そしてこの日一番の喜びだったのは、イチゴだ。
去年の秋、遊びにきた孫たちと4株だけ植えたイチゴが赤い実をたくさんつけていた。
お店で売られているプロのイチゴと比べると大きさもまちまち、不恰好なものが多い。
それでも、どこから見ても立派なイチゴだ。

中には虫に食われてボロボロになってしまった実もある。
なるべく地面に近い葉っぱはかき取って、風通しを良くしてやらないと病気にもかかりやすいと聞く。
虫たちにとっても鳥たちにとっても、真っ赤なイチゴはご馳走のようなので、毎日巡回して赤く色づいた実はすぐに収穫するようにしなければならないだろう。

遅れて新幹線でやってきた妻を待って、イチゴとタマネギの収穫に向かう。
赤いイチゴを見た妻も大喜びだ。
早速、赤くなった実を片っ端から摘み取っていく。

とはいえ、植えた苗が4つだけなので、この日の収穫は10個あまりに過ぎない。
苗を植えるのを手伝ってくれた孫たちにも送ってやりたいが、これでは数が足りなそうである。
そもそも味はどうなのか?
まずは自分たちで味見してからの判断だろう。

タマネギの方は、一輪車に農業用コンテナを2つ乗せて早生種を全部収穫していく。
畝の中央に植えたタマネギは立派に育っているが、端の方のタマネギは全般的に小ぶりである。
肥料に偏りがあったのか、土の状態に違いがあったのかわからない。

それでも2つのコンテナはタマネギで一杯になった。
タマネギは去年の11月に植え付けをしてから半年、時間はかかるが手間はほとんどかからない。
しかも長期保存がきくので、素人が栽培するには最適の野菜と言えるだろう。

家に持ち帰ったタマネギを庭で天日干しをする。
栽培動画を見ると、2日ほど天日で干してから風通しのいい日陰でぶら下げるのが望ましいらしい。
収穫したタマネギの数を数えてみたら、大小合わせて54個あった。

タマネギを保管する前にしなければならないことがある。
根の処理だ。
タマネギの根は収穫後も空中から水分を吸おうとするという。
長期保存するためにはタマネギを乾燥させる必要があるのだが、根を残していると余分な水分を溜め込んでしまうらしい。
さらにこれからの季節、水分の多い根の部分にカビが発生する可能性もあり、収穫後すぐに「根切り」という作業を行うのである。

54個のタマネギの根を全部カットすると、バケツ半分がタマネギの根でいっぱいになった。
あとは丸一日天日干しをしてから、紐で縛って日陰に吊るす作業をするだけだ。
これで秋ぐらいまで自家製のタマネギを食べられるだろう。

一つ傷んだタマネギがあったので、傷んだ部分を切り落とし食べてみることにした。
今年初めて収穫した新タマネギは真っ白だった。
塩胡椒で軽く炒め、ポン酢をかけていただく。
とても甘くて美味しかった。

初めて収穫したイチゴもデザートとして食卓に登場した。
大きくなり過ぎて不恰好なイチゴは中心部が硬くなっていて見た目ほどには美味しくなかった。
やはり収穫適期を逃すと、美味しいイチゴも美味しくなくなってしまうことを知る。
イチゴができる時期にはなるべく岡山にいて、ちょうどいいタイミングで摘むことが肝要なようである。

とはいえ、この日の夕食は、自分で育てたタマネギと春菊、ラディッシュがおかずとなり、やはり自分が摘んできたイチゴがデザートとなったのだ。
スーパーで野菜を買う必要がない。
その時々に畑から収穫した旬の野菜を食べる生活、なんと贅沢なことだろう。
見よう見まねで農作業を始めて2年目、少しずつ理想の田舎暮らしが現実のものになりつつあるように感じた。