日本列島の南にある高気圧に覆われて、岡山では晴天が続いている。
高気圧の淵を回る形で暖かい空気が流れ込んでいるようで、今週は最高気温が20度まで上がり4月から5月並みの陽気、日中に農作業をしていると暑いと感じるほどだ。

おかげで予定していた作業は順調に進んでいる。
妻の体調もいいようで、二人で手分けしながら行う畑仕事や庭仕事がとても楽しい。
農作業2年目、いろいろなことの手際が良くなり、自分の頭の中でしっかりプランニングしながら日々の作業をマネージメントしている実感がある。

今年のテーマの一つに、古民家周辺での家庭菜園を充実させるという目標がある。
去年は少し離れたお墓の近くの畑をメインに初めての野菜づくりにチャレンジしたのだが、今年は栽培する野菜ごとに育てる場所を変え、栽培期間が短くこまめに水やりが必要な葉物野菜などを家の裏庭などで育てることにしたのだ。
裏庭のかつて鶏小屋があった場所、基礎のコンクリートに囲まれた小さな畑を耕して、2つの畝を新たに作った。
あらかじめ穴の開けられたタマネギ用のマルチを張り、その穴にさまざまな野菜のタネを少しずつ蒔いていく。

妻が育てたいという野菜を中心に、3月に蒔くタネを選ぶ。
人参と2種類のラディッシュ、中葉しゅんぎく、早どりバジル、そして妻の希望で青汁の材料になるケールも。
伯母が残していたもの、妻が東京から持ってきたもの、そして岡山で新たに買い求めたタネもある。
中でも人参は発芽が難しく、これまでも失敗の連続だったので目の届く裏庭で育ててみようと思った。

白菜やキャベツの苗を自分で育てるために買った「種まき用培土」があったので、黒マルチの穴にこの培土を詰めて、そこにタネを蒔いてみることにした。
放っておくと雑草のタネに負けてせっかく蒔いた野菜のタネが発芽しないのではないかと心配したからだ。
こうして培土を穴に詰めることで、培土の下にある元の土には日光が当たらず、雑草のタネが発芽するのを防ぐというのが私が考えた作戦である。
全ては雑草との戦い。
無用な農薬を使わず、無駄な草刈りもしないで作物を育てるということが自然に頭に浮かぶようになってきた。

たっぷりと水を撒いてから、妻が穴に詰めた種まき培土に野菜のタネを蒔いていく。
この家庭菜園は妻の領分なので、どこに何を蒔くかは基本的に妻に任せる。
去年は草刈りだけでも大変で、妻の家庭菜園を手伝う余裕もなかったが、今年は気持ちに余裕があるので一緒に家庭菜園づくりも楽しめそうだ。

こうして30分ほどで、3月分の種まきは終了した。
南から順に、2種類のラディッシュ、人参、春菊、ケールのタネを蒔き、周辺の傾いた穴にバジルをタネを蒔いてみた。
隣の畝は4月に種まきする野菜のために開けておく。

ここで、レタスのタネを買うのを忘れていたことを思い出す。
翌日、ホームセンターに行く用事があったので、ついでにキャベツのタネも買ってきた。
「シスコ」という品種のようで、「シャキシャキ美味しいレタス!」だそうだ。

レタスは直植えではなく、ポットにタネを蒔き、苗を育ててから畑に植え付けるのが一般的らしい。
先日、白菜とキャベツのタネを蒔いたのと同じやり方で、残っていたポットに種まき培土を詰めて、水を十分に含ませてからレタスのタネをごく浅く蒔いた。
太陽の光がしっかり当たった方がいいと、白菜などで使用した「バーミキュライト」は使わなかった。
さあ、果たしてこれでレタスの芽は出るのだろうか?

ホームセンターではこんなものも買ってきた。
「アスパラガス大株」。
『食べて飾れる楽しいアスパラガス!』ってどういうことだろうと興味が湧き、思わず買ってしまった。
通常のアスパラガスは植えた年には収穫ができず、美味しいアスパラガスを食べられるのは2年後からと聞いていたので今年の栽培計画には入っていなかったのだが、この大株だと今年のうちにアスパラガスがニョキニョキと顔を出すという。
本当にそんなに上手く行くのだろうか?

アスパラガスという植物がどのような姿でどのような習性を持っているのか全く知らないので、とりあえず目に付く家の前庭に植えてみることにする。
大きめの穴を掘り、堆肥や家庭菜園用の土を施した上にアスパラガスの大株を広げて置く。
初めて目にするアスパラガスの大株は不思議な姿をしていて、おそらくこれはアスパラガスの根っこなんだろう。
あとはこの大株が見えなくなる程度に土をかぶせ穴を埋めれば植え付け完了。
実に簡単だが、こんなので本当にアスパラガスが出てくるのだろうか?

妻にはこうしたちまちました家庭菜園の方が性に合っているらしく、種まきをしている姿は本当に生き生きとしている。
タネは乾燥に弱く、特に発芽するまでは毎日の水やりが欠かせない。
だから今月はいつ東京に帰ればいいのか判断がつかず、とりあえず発芽するのを見極めてから飛行機を予約しようと思っている。
これも1年経験すれば、来年からはある程度のスケジュール感は掴めるようになるだろう。
天気に恵まれた3月の農作業、まだまだやることは尽きそうにない。