<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 市役所、金融機関、裁判所・・・伯母の相続手続きに一日中駆け回る #230411

高野山から直接岡山入りして3日、いろいろ用事が詰まっていてブログの更新もままならなかった。

骨折で入院中の義母のお見舞いやら、解体業者に依頼したブドウ棚の撤去作業の対応やら、その合間を縫ってエダマメやトウモロコシの種まきをしたり。

中でも最も時間を費やしたのが、先月亡くなった伯母の相続手続きである。

今日の午前中は、岡山市東区役所にある「おくやみ窓口」というところに行ってきた。

予約制で死亡時に発生する行政手続きをここで一気に済ませることができる大変便利な窓口である。

岡山市では去年から始まった行政サービスだそうで、これができる前は相続人が案件ごとに市役所内の関係を回らなければならなかったのだから伯母が今年まで生きていてくれたことに感謝しなければならない。

具体的に「おくやみ窓口」で何をやったかといえば、以下の通りである。

  • 印鑑登録証の返還
  • 後期高齢者医療被保険者証の返還
  • 葬祭費の支給申請
  • 高額療養費の支給申請
  • 未支給年金の請求
  • 介護保険被保険者証の返還
  • 未支給分高額介護サービス費の申立
  • 固定資産の現所有者申告
  • 納税の口座振替の変更

全く知らなかったが、葬儀代が5万円補助されたり、高額療養費などが支給されたりするらしいので、ちゃんと手続きをすれば多少お得なこともあるらしい。

その代わり、一つ一つ書類に住所や氏名などを書かねばならず、マイナンバーカード導入などまるで関係ないと言わんばかりに相変わらずの書類地獄だ。

私はこの手の事務手続きが大の苦手で、役所の窓口に行っただけで蕁麻疹が出そうになるのだが、幸いなことに妻は大の得意で、用意する書類や印鑑などを全て伯母の家から探し出し準備してくれたので私はただ言われるままに書類に記入するだけで全ての手続きが終わった。

1時間半ほどかかって手続きを終え、伯母が死亡したことを示す住民票、伯母の生まれてから死ぬまでの全ての戸籍謄本を申請する。

特に戸籍謄本は金融機関や裁判所で必要なので、余裕を見て3セットもらうことにしたのだが、なんと取得代金が1万円以上もかかった。

こんな手続き、デジタル化してくれればもっと楽にスピーディーにできそうなものだが、それでは市役所の職員が職を失ってしまうのだろう。

市役所が終わったら次は金融機関。

伯母の場合、全てがJAバンク一本だったのでその点はありがたかったが、ここでも膨大な書類への記入を求められた。

  • 私名義の新たな口座の開設
  • 伯母の口座から全額移し替え
  • 伯母の口座の解約
  • 相続時の優遇金利での定期預金
  • 他行にある私名義の口座への振込
  • 家屋の火災保険の名義変更
  • 農地の賦課金など自動引き落とし手続き
  • 一時払い老齢年金の解約
  • 固定資産税の払い込み

伯母は本当にお金を使わない人だったので、節約に節約を重ねて、葬儀や家の修理に必要なお金はしっかり残してくれていた。

想定していたよりも伯母の死が早かったため、養子に

った私が伯母の遺産を受け取ることになる。

その暮らしぶりを知っているだけに、相続したお金を疎かに使うことなどできはしない。

伯母が喜びそうなこと、たとえば私や弟の子孫たちにブドウを送ったり伯母が残してくれた岡山の家にみんなが遊びにきてくれるようなことにそのお金は使おうと思う。

それにしても、最近こんなに文字を手書きする機会がないので、途中から頭がぼーっとなって2回も書き損じをしてしまった。

ここでもマイナンバーカードの話など一切出ず、書類のあちらこちらに押印を求められたのにはいささかショックを受けた。

ハンコをなくすと言っていた河野さんの話などすっかりどこかへ消えてしまったらしい。

JAバンクの手続きも1時間半ほどで終わり、今度は裁判所に向かう。

伯母が実家の方で所有していた不動産について、遺言書に基づき「遺贈」という手続きを取る必要があるためだ。

マスコミの仕事をしていながら、私は裁判所というところとはほとんど縁がなく、報道カメラマンをしていた駆け出しの頃に撮影のために出入りしたことがある程度だ。

だから入り口で厳重な所持品検査を求められたのには少し驚いた。

私たちが訪れたのは5階にある家庭裁判所。

ここで我が家に残る遺言書の「検認」を申し立てる。

検認とは、『遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続』だそうで、封をした遺言書を裁判所で開封してその内容を公的に記録する作業である。

伯母の相続で厄介なのは、伯母が私宛と同時に訳あって実家の方にも別の遺言書を残していたことだ。

遺贈の手続きについて弁護士さんに相談した結果、まず最初に2通の遺言書の検認を行うようアドバイスされ、それに従って裁判所に来たというわけだ。

家庭裁判所の受付の男性はいかにも法務行政の人という印象で、私たちの問いに冷静に対応してくれるが、親切に教えてくれるというタイプではない。

妻が前もって電話で問い合わせて用意した申立書と伯母の戸籍一式、私の戸籍を揃えて提出すると、その内容を細かくチェックして数箇所の修正を求められた後、無事に受理をしてくれた。

もう1通の遺言書についてもなるべく早く兼任の申し立てを行い、同時に作業をした方がいいとアドバイスされる。

申立書が受理されたので、来月にも検認の呼び出しがあり、その時に遺言書を持参して開封することになる。

伯母の実家の方の不動産には興味がないので、スムーズに遺贈の手続きが進むことを願うばかりだ。

こうして一日中、役所仕事を行うといつもとは違う疲労感を感じてしまう。

私はやはりこうした事務作業には向かない人間なのだ。

今話題の「ChatGPT」を使うまでもなく、日本のオフィスワーカーには無駄な仕事が多すぎる。

その役所でしか通用しないようなローカルな決め事を作って仕事を増やす。

それによって多くの公務員が仕事を得ているのだから失業率の低下には寄与しているのだろうが、生産性という言葉とは全く無縁な世界が日本のど真ん中で大手を振って生き残っていることをまざまざと感じさせられた一日だった。

市役所に行く前に畑に行って白菜やキャベツの苗を植え、裁判所から戻ったらすぐにチェーンソーを持って畑に行って今度は薮のようになっているビワの木の周辺を開墾した。

こうしていると嫌な気分も吹っ飛んで、楽しい気持ちが戻ってくるのだ。

伯母が残してくれた素晴らしい田舎暮らし。

それを相続するための煩雑な手続きも、妻のお陰で山を越えた。

あとは伯母の遺志を継いで、子孫に素敵なふるさとを残せるように、せいぜい夫婦で楽しみながら古民家と農地の管理を続けていければと思っている。

<吉祥寺残日録>伯母が亡くなってから3週間、こまごまとした手続きを全部妻がやってくれた #230402

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