<吉祥寺残日録>トイレの歳時記❄️七十二候「鱖魚群(さけのうおむらがる)」、岡山に初雪が降った日には家仕事 #211218

岡山帰省3日目。

寒い夜が明け朝窓を開けると、思いもかけず雪がうっすらと積もっていた。

岡山の平野部で雪が降るのは珍しいことで、ほぼ一年のうちで最も寒い朝の部類に入るだろう。

それでも、寝る直前にお風呂でしっかりと温まって、長袖シャツの上にタートルネックのトレーナーを羽織って、さらにウルトラライトダウンのベストまで着込んで寝たので、頭はギンギンに冷えているのに布団の中はぽっかぽかで文字通りの「頭寒足熱」、昔から健康にいいとされる状態で眠れたのだ。

それでも予想外の雪を見て興奮し、早速カメラを手に屋外に出た。

屋根瓦に白い雪が積もっている。

朝日が昇るに従って、陽の当たる場所から雪はどんどん溶けていく。

庭に植えられた「クロガネモチ」の木にもうっすらと雪が残り、白い雪と緑の葉、赤い実のコントラストは風情がある。

昨日納車されたばかりの「ハスラー」にも雪が積もっている。

雪って、すぐに払い除けた方がいいんだっけ?

まだピカピカの新車なので、つい余計な気配りをしてしまう。

忘れていたが、昨日は七十二候の「鱖魚群(さけのうおむらがる)」。

「サケが河川を遡る頃」だという。

岡山には鮭はやってこないけれど、川を遡る「サクラマス」という魚がいるそうだ。

「サクラマス」が遡上するのは4〜6月、秋に産卵して今の季節ちょうど孵化するという。

朝ごはんを済ませると、畑をひと回りしてみようと思い立った。

岡山では珍しい雪景色が見られるかもという期待もあったが、先月耕した畑の様子も少し気になっていた。

まず墓の様子を見てみると、墓石にも雪が積もり、水鉢の水も凍っていた。

先月お供えした花はすでに枯れていたが、花立にも氷が張っていて、雪国の人には特段珍しくもないだろうが、私にとっては珍しく、これはこれで見たことのない美しさがあると感じたりした。

お墓の周囲を耕して作った小さな畑も見る。

先月植えたタマネギの苗は枯れていなかったが、しかし大して成長もせずにそこにあった。

黒いマルチと呼ばれる農業用ビニールの上に白い雪が積もっている。

一部、マルチが剥がれかかっている場所を見つけ、スコップを取りに一旦家に戻った。

そのままスコップを持って別の畑も確認していく。

先月草刈りをした桃の木がある畑は、新たな雑草が生えることもなくそのまま静かに枯れていた。

この畑はとてもアクセスが悪く、隣の畑を無断で横切らないとたどり着けないのがずっと気になっていた。

今日はちょうどスコップを持っていたので、土手を少し削って、上の小径から直接畑に降りられる踏み分け道を作ろうと思い立った。

幸いこのところ雨や雪が降ったおかげで地面が柔なくなっている。

試しにスコップを土手に突っ込んで草の根を切りながら脇に押しやると、平らな坂道が徐々に出来上がっていった。

少し作業を始めると、寒さに備えて何枚も重ね着をしていたのでたちまち暑く感じるようになる。

そうして20〜30分ほど斜面と格闘した結果、なんとか使えそうな小径ができあがったのだ。

写真ではよくわからないが、土手の上を通る小径から斜面を緩やかに下って一本の線が引かれた感じだ。

こうしておけば、隣の畑を通らなくても草刈機や耕耘機を持って畑に降りることができる。

隣の人が見ると、「いつの間に」と驚くだろうか?

でも私が子供の頃には、こんな斜めの道を通ってこの畑には行っていた記憶があるので、さして驚かないかもしれない。

ただ畑をひと回りして気づいたのだが、近所の人たちの多くはすでにブドウ畑の剪定、すなわち来年のブドウ作りに備えて、今年伸びた枝を短く剪定し、畑をきれいに片付けていたのだ。

その点、我が家のブドウ畑は雑草と格闘した後もまだ生々しく、ちょっと恥ずかしい状態である。

ただ、来年このブドウ畑を代わりにやってくれるという人が見つかったので、逆に勝手に手出しがしにくくなった。

今日その人と来年のことを話す機会があったので、「もし剪定をするなら手伝いますよ」と聞いてみたのだが、「年明けにします」との返事が返ってきたので、「1月にもまた来ますので、もしタイミングが合えばぜひ手伝わせてください」とお願いした。

一応、農地の所有者としての責任もある。

周囲の農家さんたちからこれ以上後ろ指を指されないようできることはやならければと思ったりしているのだ。

家に戻ると妻が納谷の片付けをしていた。

納屋にはいつの物だか定かでない古い道具や雑物が眠っている。

私などとても片付けようとも思わない場所で、伯母も先祖から引き継いだまま放置してきていたのだが、片付けとなると目の色が変わる妻は果敢にも誰も手をつけようとしなかった禁断の場所に踏み入ったのだ。

銅でできた謎の装置が出てきた。

おそらく農薬の散布などに使ったのだろうが、伯母も使っているのを見たことがないので、おそらく50年以上昔の物だと思われる。

さらには昔の農薬類もたくさん見つかった。

日本農薬の殺虫剤の「デリス石鹸」。

今はもう製造されていない殺虫剤のようで、戦前の1937年に書かれた文章に「デリス石鹸」を使った殺虫剤の作り方が載っていたので、おそらくそこ頃からずっと我が家の納屋に置かれていたのだろう。

しかしこんな昔の農薬、どうやって処分すればいいのだろう?

通常ゴミとして出すことはさすがに躊躇われる。

調べてみると、農協や産廃業者に相談し処理を委託するのが正式ルールのようだが、家庭で使う程度ならば庭に埋めて処理することも認められているような記述を見つけた。

裏庭に穴でも掘って、中身をそこに捨てて、ビンなどは洗って通常ゴミに出すのが良さそうだ。

そうして妻の片付けを手伝っていると、昼ごろ、知らないオジサンがひょっこり現れた。

誰だろうと思って挨拶すると、伯母名義の田んぼを毎年作ってくれている農家のオジサンだという。

そういう人がいるとは聞いていたがまだ一度も会ったことがなかったので、来年はどこの誰かを探し当てて会いに行かなければと思っていたところだったのでありがたい。

70すぎだというおのオジサンは、聞きもしないのに頭が悪くて行く高校はないと言われたが運よく合格した話だとか、娘さんが入り婿をもらったがろくに働かないので出て行ってもらった話など玄関先で長々と話を始める。

大型コンバインを使って我が家の田んぼだけでなく近所のたくさんの田んぼを作っているのだが、あのコンバインは中古を100万円で買っただの、10キロほど離れたところで土地を借りてイチゴのハウスを始めたら、これが他所よりも美味しいと評判になってテレビも取材に来て何も宣伝しないのに毎年たくさんのイチゴ摘み客が押しかけてくるだの、あれこれいろいろと教えてくれた。

結局1時間ほどオジサンの話に付き合って、来年も田んぼをお願いすることを口約束する。

午後は、ホームセンターにお買い物。

家がとにかく寒いので、イタリア製デロンギのオイルヒーターを見つけて1台買い求めた。

伯母が使っていた壊れかけた電気ストーブもなくなっていたネジを買い求めて使えるように再生した。

さらに伯母が使っていた電気カーペットが汚くなっていたので、上にかけるマットを新しく書い、先月買ったこたつと台所に夏に取り付けたエアコンを合わせて最低限の暖房は確保した。

さらに、縁側に洗濯物を干すためのバーをつけて欲しいと妻からのリクエストがあり、1.8メートルの鉄パイプを3本買って、自分でサッシの上に取り付けた。

この機会に、以前から欲しかった電動の「インパクトドライバー」も買った。

妻は渋い顔をしたが、どうしてもこれが必要で、今後もDIYをやる機会が増えるので絶対にあった方がいいと説得して何とか購入の許可を得ることができた。

結果的にはどうも電動工具の使い方が悪いのかうまくネジ留めができず、半分ほどは普通のドライバーでネジを止めることになったが、出来上がりはまずまずで妻は満足した様子である。

ついでに、少し細い鉄パイプを洗面所の壁の長さにカットしてもらい、バスタオルをかけるためのバーも取り付けた。

プロに頼むときれいに仕上がったそれはそれでいいのだけれど、せっかく時間があるのだから、できることは自分でやってみた方が何事も楽しい。

玄関が暗いので、人感センサー付きのLEDライトも買った。

防犯効果はさほどないかもしれないが、ホームセンターでちょうど目に止まって買ってみたのだ。

明日の朝、明るくなったところで玄関脇の柱に取り付けるつもりである。

昨日買った「ハスラー」はシートレイアウトが自在なので、1.8メートルのパイプやデロンギのヒーターを運ぶのも楽勝だった。

乗り心地も悪くない。

これからは、ホームセンターを積極活用して、少しずつDIYの腕も磨いていきたいと考えている。

岡山に来ると、途端にやる事がたくさんあって、大変だが楽しい毎日。

今は、そんな感じだ。

<吉祥寺残日録>月一農業2021年11月/ 初めてタマネギの苗を植えてみた #211118

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