<吉祥寺残日録>安倍元総理=戦後2人目の「国葬」決定!山上容疑者の恨みが再び火をつけた「統一教会」の闇 #220722

井の頭公園に雨が降りしきる。

ベランダに立つと心地よい風が吹き抜けて、雨の飛沫さえも肌に気持ちいい。

吉祥寺に戻り2日間家から一歩も外出せずに昼寝をして過ごした。

知らず知らずのうちに岡山では体力を使っていたのだろう。

溜まっていたテレビ番組の録画を片っ端から観ている。

今朝は「魔法の庭 ダルメイン」という昔の番組の再放送を妻と一緒に見た。

イギリス湖水地方の貴族の館。

代々この館の女性たちが受け継ぎ手を加えてきた素敵な庭の物語である。

いつもながら、こんな庭があったらさぞ楽しいだろうと思う。

妻も刺激を受けたようで、改めて岡山での庭づくりを頑張ろうと思ったようだ。

吉祥寺に戻ると、途端にやらなければならないことがなくなる。

疲れを癒し、あれこれ思考を巡らせる時間、これもまた大切な時間である。

さて、岡山に滞在中の今月8日、奈良で遊説中だった安倍元総理が銃撃され死亡してから今日で2週間となる。

政府は安倍さんの「国葬」を9月27日に日本武道館で行うことを正式に決定した。

総理在任期間が憲政史上最長で、外国の要人たちとも強いパイプを作った安倍元総理だが、様々なスキャンダルは未解明のまま残され、国葬については国民の間にも賛否両論がある。

戦後の総理で国葬が行われたのは吉田茂氏だけ。

戦後の激動期の難しい舵取りをし、GHQと交渉しつつ現在の日本国憲法を仕上げ、日本の国際社会復帰を実現した吉田茂と安倍さんが果たして同格かどうかいささか疑問もあるが、個人的には国葬をするならすればいいと思っている。

ただし、安倍さんがいなくなった今こそ、森友加計問題の闇に光を当ててもらいたいと願う。

そしてもう一つ、今回の事件で再び脚光が当たった旧統一教会と政治の問題だ。

事件を起こした山上容疑者がどこまで自覚していたかわからないが、統一教会の教祖を狙うことを断念して代わりに安倍元総理を狙撃したこの犯行は、他のどんな事件よりも統一教会に大きなダメージを与えた。

当初は「逆恨み」とは「見当違い」といった指摘が目立っていたが、メディアでも次第に岸信介元総理と統一教会の関係を書き立て、岸さんの死後も連綿と続く自民党と統一教会の関係も徐々に明らかになってきた。

そして、統一教会が霊感商法であれほど社会問題になったにも関わらず、いまだに日本で堂々と活動しそれによって家族が崩壊する「信者2世」の問題が今もなお起きていることも驚きと共に再びスポットライトが当たっている。

母親が1億円もの献金を行い破産した山上容疑者の家。

弁護士をしている伯父は、もし母親の問題が起きなければ、山上容疑者は京都大学に進学していただろうと語った。

しかし大学への進学を諦め海上自衛隊に入隊、兄や妹の窮状を自分の保険金で救おうと自殺未遂まで起こした。

事件後、山上容疑者のものとみられるツイッターの存在が明らかとなった。

初投稿は2019年10月13日、同じ月に旧統一教会のトップ韓鶴子氏が愛知県で集会を開いていて、襲撃に失敗した直後に始めたとみられ、安倍元総理の事件を起こす前の今年6月30日までの間に1363件、統一教会を批判するツイートをしていた。

「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族からアガリを全て上納させることだ」

「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」

「岸が招き入れたのが統一教会。安倍が無法のDNAを受け継いでいても驚きはしない」

「オレは母を信じたかった」  「言葉では心配している、涙も見せる、だが現実にはどこまでも無関心。こんな人間に愛情を期待しても惨めになるだけ」

自分と家族の生活を滅茶苦茶にした統一教会への強烈な恨み、さらに統一教会の悪行を野放しにしている自民党への怒り、そして母親に対する愛情と絶望。

こうして蓄積された山上容疑者の感情の発露は、統一教会問題の根本的な解決に結びつくのだろうか?

統一教会と政治の関係について、メディアも一斉に取材し始めたようで、面白い記事も散見されるようになった。

たとえば、「デイリー新潮」の記事『【独自】安倍家と統一教会との“深い関係”を示す機密文書を発見 米大統領に「文鮮明の釈放」を嘆願していた岸信介』からの引用。

山上徹也容疑者(41)の凶行の背景には、安倍晋三元総理と統一教会の関係があることはすでに広く知られている。今回ご紹介する機密資料は、安倍元総理の祖父・岸信介元総理が1984年に当時の米大統領、ロナルド・レーガンに宛てた親書である。一族と統一教会の深い関係を物語る文書の内容とは――。

 この書簡は、関連資料を保管する米カリフォルニア州のロナルド・レーガン大統領図書館のファイルに収められているもの。ジャーナリストの徳本栄一郎氏が5年前、本誌(「週刊新潮」)の依頼で同所を訪れた際に発掘した、この貴重な文書に登場するのは、統一教会の開祖・文鮮明の名前だ。 〈文尊師は、現在、不当にも拘禁されています。貴殿のご協力を得て、私は是が非でも、できる限り早く、彼が不当な拘禁から解放されるよう、お願いしたいと思います〉  出された日付は84年11月26日。差出人は岸信介。文鮮明はその前に、アメリカで脱税容疑にて起訴され、84年4月には懲役1年6カ月の実刑判決を受けて連邦刑務所に収監されていた。つまりこの書簡は、日本の元総理がアメリカの現職大統領に宛てて、韓国人「脱税犯」の逮捕が不当だとして釈放を依頼するという、極めて異例の内容なのだ。

 手紙の後半に進むと、岸氏の懇願調は増す。 〈文尊師は、誠実な男であり、自由の理念の促進と共産主義の誤りを正すことに生涯をかけて取り組んでいると私は理解しております〉 〈彼の存在は、現在、そして将来にわたって、希少かつ貴重なものであり、自由と民主主義の維持にとって不可欠なものであります〉  この時点で日本では、既に教会による若者への強引な勧誘などが社会問題化していたが、その教団の首領を、「誠実で貴重」と評価しているというわけだ。 「この手紙を受け、アメリカ政府は対応を協議します。元総理で、その当時もなお自民党の実力者であった岸氏の依頼だけにむげにはできなかったのでしょう。返事も書いたようですが、それは今も機密解除されていません。国家安全保障上の理由とのことでした」(徳本氏)  結局、釈放は難しいと判断され、文鮮明が出所できたのは翌85年の夏だった。  嘆願書の3年後、岸氏は90歳で没するが、その後も岸・安倍一族と教会との関係は維持されていた――。

引用:デイリー新潮

また、国際ジャーナリスト高橋浩祐氏が公安調査庁の元幹部にインタビューした『「勝共連合」の名称で今も日本保守政界に食い込む“統一教会” 元公安調査庁幹部が警鐘』も興味深い。

政治と旧統一教会の関わりが問題視される中、朝鮮半島情勢に精通し、統一教会の情報分析を担当したことがある菅沼光弘・元公安調査庁調査第2部長に話を聞いた。菅沼氏は、インテリジェンスオフィサーとしてあらゆる方面に人脈を構築し、今も旧統一教会とのパイプを持つ。

菅沼氏は19日、筆者の取材に応じ、憲法で保障された「信教の自由」の下でのカルト宗教に対する公安調査の難しさや、統一教会の永田町への資金還流、同教会の保守系政治団体「国際勝共(しょうきょう)連合」の活発な活動などについて詳細に語った。

山上容疑者のようないわゆる宗教2世問題について、菅沼氏は「全国で、昔の霊感商法のようなトラブルは今も続いている。そういうトラブルは問題にならないだけで無数に起こっている。(山上容疑者は)それを安倍元首相に結びつけた」と述べた。

自民党と旧統一教会の関係については、「これが問題だ」と重大視。特に旧統一教会が国際勝共連合との名称で政界をはじめ、日本にいろいろな形で食い込んできたと指摘した。そして、「おそらく自民党の右派の国会議員のほとんどは統一教会の息がかかっている」と述べた。国際勝共連合は、統一教会の教祖、文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が1968年4月に日本で創設した保守系政治団体だ。

「もとをただせば、勝共連合を誰がつくり、なぜ日本にあるのか。それを辿っていくと、山上容疑者が言っているように、(元首相の)岸信介さんにたどり着く」

菅沼氏は、この背景には、60年安保闘争の学生運動が盛り上がり、政治家や大物右翼など保守勢力が日本の「共産革命」を恐れ、共産主義や左翼に強く対峙する必要があったと説明した。

1959年に統一教会が日本に進出した際の本部は東京都渋谷区南平台町(なんぺいだいちょう)の岸氏の邸宅の隣にあったことが知られている。1964年に宗教法人として認証された。

菅沼氏は「統一教会の何が悪いのかと言えば、カネの集め方だ」と指摘。「そして、そのかき集めたカネを韓国に持っていってしまう。ここが問題だ。そして、その韓国はそのカネをアメリカに持っていっている。アメリカではワシントン・タイムズといった有名な新聞まで持っている。アメリカの上下両院の有力な国会議員はみんな統一教会の手先みたいなものになってきた」と述べた。

菅沼氏は、日本の旧統一教会が韓国本部から資金集めを求められていると指摘した。そして、その背景には、1910年からの36年間の日本の朝鮮半島植民地支配による贖罪意識があると説明した。

引用:Yahoo!ニュース

「公安調査庁」といえば、オウム真理教などの監視に当たっている情報機関。

なぜ統一教会がオウムのように厳しい規制の対象にならないかといえば、こうした岸さんから続く自民党保守派とのパイプがあるからだということが透けて見える。

派閥のトップを失った安倍派は昨日会合を開き、当面代表は置かず「安倍派」の名称を残したまま集団指導体制で活動していくことを決めた。

中央に置かれた安倍さんの肖像の傍には、統一教会との関係が指摘される下村博文元政調会長や山谷えり子参院議員が並ぶ。

下村氏に関しては、「文春オンライン」に『《内部文書入手》 「統一教会」関連団体幹部が名称変更当時の下村博文文科相に陳情、パーティ券購入』という記事が掲載された。

統一教会(2015年に世界平和統一家庭連合に改称。本稿では統一教会と記述)の関連団体幹部が、当時の下村博文文科相(68)側に陳情したり、政治資金パーティのパーティ券を購入したりしていたことが、「 週刊文春 」が入手していた内部文書からわかった。

 特に下村氏は、統一教会が世界平和家庭統一連合への名称変更が認証された際、宗教法人所管の文化庁を外局に持つ文科省の大臣だった。 「霊感商法などが社会問題化する中、統一教会は1997年以降、文化庁に世界平和家庭連合への名称変更を申請してきましたが、なかなか認証されなかった。それが、下村氏が文科相だった2015年8月に一転、名称変更が認められたのです。それだけに、下村氏と統一教会の関係性に注目が集まりました」(政治部記者)

 下村氏と統一教会との関係性を示すのが、「週刊文春」が入手していた下村事務所の内部文書である。その一つが、〈報告書〉と大書され、日付の横に〈榮友里子〉と記されたエクセルファイル。日付ごとに〈日程調整・関係各所への連絡・入力等〉などが記された榮氏の日報だ。榮氏は下村氏の大臣秘書官で、事務所を仕切る金庫番だった。  2014年6月24日の〈報告書〉には、以下のように記されていた。 〈世界平和連合 大塚氏  道徳教育の強化について要望を団体として行いたいと思います。お忙しいとは思いますが、大臣のご日程を頂きたくお願いいたします〉 「世界平和和連合」は統一教会の関連団体で、会長は政治団体「国際勝共連合」の会長も兼ねる梶栗正義氏。政治資金収支報告書によれば、大塚正尚氏は国際勝共連合の会計責任者を務めている人物だ。

 また、別の内部文書には、下村氏の後援組織「博友会」が毎年10月頃に開く政治資金パーティのパーティ券の入金記録が記されていた。

 例えば、〈2013年博友会パーティー当日入金〉と題されたファイルには、次のような記述があった。 〈博友会その他 大塚正尚 一般社団法人教育問題国民会議 20,000〉  大塚氏が、2013年に開かれた博友会の政治資金パーティについて、開催当日に2万円を入金していたことを示す資料だ(大塚氏は当時、世界平和連合だけでなく、一般社団法人教育問題国民会議にも所属していたと見られる)。  政治資金規正法上、パーティ券購入の公開基準は20万円超。そのため、大塚氏のパーティ券購入は政治資金収支報告書に記載の義務はなく、今回初めて明らかになった。

引用:文春オンライン

自民党保守派が主張する「家族を大事にする政治」、すなわち同性婚や夫婦別姓に反対する思想はまさに統一教会の教えとぴったり一致するのだ。

これこそが日本の政治の実態であり、図らずも安倍さんの死がそれを多くの国民に教えてくれた。

事件直後の熱狂が冷め、私たちも冷静に事件が提起した根深い問題について考える必要がある。

死者を悼むことは否定しない。

「国葬」はきちんと行って、トランプ・プーチン・習近平といった化け物たちと対峙した安倍さんの労に報いるのは良いが、政治と宗教の問題はそれとは別問題であり、民主主義の根幹に関わる大問題である。

公明党がいつまでも大きな顔をして与党として振る舞っていることは、日本の民主主義の低さを物語っている。

自民党に群がる数々の宗教団体はどんなメリットがあって政治に関わっているのかももう少し明らかにされるべきだろう。

信教の自由は守られるべき権利ではあるが、それと同時に政教分離の原則も守られなけらばならない。

日本国憲法第20条

信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

③ 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

引用:日本国憲法

「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」という規定の徹底を求めるとともに、憲法改正によってこの条文が骨抜きにされないようしっかり監視する必要がある。

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