いよいよ明後日、中東旅行に出発する。
特派員時代には外国を飛び回るのが仕事だったのに、3年ぶりの海外旅行とあって、多少勘が鈍っている自分を感じる。
特に感じるのが荷物の準備だ。
昔は持っていく物がほぼ決まっていて、体が自動的に荷造りをしてくれた。
しかし、しばらく出かけていないと、何か大事な忘れ物をしているのではないかと心配になり、一度詰めた荷物をもう一度並べてしげしげと眺めたりして過ごした。

荷物の大半は衣類である。
日本と途中立ち寄るドイツは真冬、それに対して中東の2月は最低気温が10度、最高気温が20度前後といった感じのようだ。
一番北に位置するクウェートと南に位置するサウジアラビアのジェッダでも、5度ほど気温が違うらしい。
だからまずダウンを着ていくことはやめにする。
防水のパーカーとズボンをベースにして、寒いところではその内側にもう一枚薄手のウィンドブレーカーを重ねることにした。
それでも寒い場合に備えて、一応ライトダウンのベストを持っていく。
飛行機の機内が寒い時など、長袖シャツの上にダウンベストを着て寝るというオプションも考えた。
こうして私なりに吟味した衣服はこんな組み合わせとなった。

ソファーに並べた荷物を右から見ていくと、まずは帽子が2つ。
日差しを避けるつばの広い帽子と毛糸の帽子、基本的に中東用とドイツ用で使い分ける。
皮の手袋は身につけて家を出るつもりだ。
下着はパンツが履いていくものを含め5枚、パジャマや短パン代わりにも使えるステテコが2枚。
Tシャツは半袖が4枚と長袖が3枚で、このうち長袖の1枚を着ていくつもりだ。

中程には、ウルトラライトダウンのベストが1枚。
出発当日の気温によって家から来て出るか、それとも荷物の中に入れておくかを決める。
替えの長ズボンを1枚。
中東は半ズボンがあまり奨励されないようなので、今回は持っていかないことにする。
半袖の薄い襟付きシャツを1枚。
ダボっとしていてボタンを外して上着として羽織ってもいいし、ボタンを止めると多少フォーマルにも使える。
なるべくシワになりにくい服を選び、基本的に衣類はすべて丸めて梱包する。
それから多少嵩張るが、飛行機の機内で使う首に巻く枕も昔買ったものがあったので持っていくことにした。

左の方を見ると、まずは襟付きの長袖シャツが1枚。
基本的にはフォーマルな場面はないと思うが、念のために1枚だけ入れておく。
部屋着としても使える水着を1枚、ジェッダあたりは少し暖かいのでひょっとするとプールで泳げるかもしれない。
ソックスは長いのが3枚と短いのが2枚、ハンカチは全てタオル地のものにして4枚用意した。
そしてタオルを1枚。
ホテルには当然タオルがあるだろうが、移動中に顔を洗ったりするときのために持っていくことにする。
機内で使うアイマスクと耳栓。
防寒と防砂を兼ねて薄めの首巻きも持っていく。
足元が冷えないようにレッグウォーマーも1枚、出発時に寒ければ家を出る際につけていくつもりだ。
そして先日購入したサングラスも、中東の必需品である。
これらの衣服を着ていくものとリュックに入れるものに分け、丸めたまま2つの衣装袋に押し込んでリュックに収めた。

次に、薬を含めた小物類は一つのポーチに収める。
薬はいつも飲んでいる血圧の薬のほか、解熱剤や胃薬、さらには軟膏の傷薬などを持っていく。
特に気をつけたのが目薬、乾燥とともに砂にも備えていつもより1本余計に用意した。
もう一つは咳止めとのど飴。
飛行機の機内などで乾燥して咳が出ることがあるので、時節柄コロナと間違われないようにすぐに対処できるように機内に持ち込むことにする。
そして万一のために、普段持ち歩かない体温計も入れておく。
このほか、歯ブラシ、歯磨き、日焼け止め、爪切り、洗剤、ロープ、洗濯バサミ、輪ゴム、綿棒も。
中東の男性はヒゲを伸ばす人が多いようだが、一応旅行用の電気カミソリもポーチに入れた。

そして、私がいつも海外旅行の際に着用する取材用のベストを今回も着ていくつもりだ。
たくさんのポケットが付いていて、盗難防止の意味でも役に立つ。
ベストの中には、パスポートや予備のお金のほか、イヤホン、モバイルバッテリー、ペン、メガネなどを入れておく。
これまではコンパクトカメラもベストに入れて持ち歩いていたが、今回は荷物を減らす観点から写真はスマホで全て撮影することにした。
ベストのほかに小さく折り畳める携帯用のリュックも持っていく。
このリュックは街歩きの際に使うほか、飛行機の機内では大きなリュックから取り出して座席で使うものを入れて足元に置いておく。
この小さなリュックの中にはあらかじめ、iPadや充電器、旅程などの資料をまとめたファイルなどを入れておく。

こうして4つの包みに収まった荷物を、全部まとめて1つの大きなリュックに詰め込み荷造りは完了だ。
重さを測ってみるとちょうど7キロ。
往復の長距離便で利用するルフトハンザの規定だと、機内持ち込み可能な荷物は1個だけで重量は8キロまでとなっているので、どうにかその範囲内には収まりそうだ。
これで空港で荷物を預けたり受け取ったりという手間が省け、何よりも荷物が紛失してしまうという最悪のケースを避けることができるだろう。

この程度の重さであれば、全部の荷物を背負ったまま街中を歩くこともできなくはない。
スーツケースを転がしながら旅することを考えれば、はるかに行動しやすくなるはずだ。
ちなみに、靴は日頃から履いているゴルフシューズをメインとして、ホテル内やちょっとした外出用にサンダルもリュックに忍ばせておく。
傘は妻が持っている一番軽い小さな折り畳み傘を持参するつもりだ。
といっても、中東で雨が降ることはほとんどないので、あくまで備えの備えといった感じである。
さてこれで準備は万端整った。
出発時間の23時間前からオンラインチェックインができるというので、明日の午後、早めにチェックインをしてなるべく良い座席を確保するのが次のミッションとなる。