<きちシネ>#11 「ボヘミアン・ラプソディ」(2018年/イギリス・アメリカ映画)

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妻はこのところ機嫌が悪い。原因は、突然の水漏れ事故。年末にかけて余計な仕事が増えてしまった。

ちょっとイライラ気味の妻が見たい映画があると言う。

それが「ボヘミアン・ラプソディ」。意外だった。

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伝説のロックバンド「クイーン」。

私がクイーンを初めて聞いたのは高校生の時だった。ラジオから流れてきた曲は「キラー・クイーン」。日本でも人気だった。

そして翌年の1975年、クイーンの日本ツアーが行われ、何と岡山にも彼らはやってきた。会場は岡山県立体育館。私は近所に住んでいたので、夜友人と体育館の外で、漏れてくる音を聞いていた。高校3年生の4月28日、まだ名曲「ボヘミアン・ラプソディ」が生まれる前のことだ。

当然、チケットを買うお金はない。公演が始まり、しばらくは大人しく外で聞いていたのだが、誰かが体育館のトイレの窓が開いているのを見つけたのだ。

当時の高校生は悪に憧れていた。高い場所にあったトイレの窓から忍び込むことにしたのだ。誰が言い出したのか、どうやって登ったのか、詳しいことは覚えていない。ただ、見事侵入に成功したのだ。ドキドキした。トイレから恐る恐る廊下に出て、2階に上がった。

そこでコンサートを聞いたのだろう。だが、トイレの窓から忍び込んだことは覚えているのだが、クイーンがどうだったのか、そのあたりの記憶はない。「キラー・クイーン」はなんとなく聞いたような記憶があるが、きっと捕まるのではないかとドキドキしていてそれどころではなかったのだろう。

クイーンの曲はその後もよく聞いていたが、クイーンと言えばあの夜のことが思い出される。

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さて、映画の話に戻る。

妻が見たいと言ったのは、この映画が異例のヒットをしているからだ。理由はよくわからない。きっと私ぐらいのシニア世代が懐かしさから見に行っているのだろう。

「吉祥寺オデオン」では、シニア料金は1000円だ。

今日も映画館は満席だった。

映画のストーリーはまあ予想通りだった。みなさんが感動したと言うほどに、素晴らしい出来とは思えない。エンタメ界で成功したスターを描いた映画は全て同じようなストーリーであり、この作品も例外ではない。

世に出る時の「キラキラ」、栄光をつかんだ後の孤独と退廃。有名スターのきらびやかさの裏にある不幸は、庶民にとってゴシップ的な楽しみと平凡な人生の幸せを再確認させる意味がある。そして、聞き慣れたヒット曲の数々が全編を彩り、最後はある種の感動と懐かしさを覚えるのだ。

それでも、映画のラスト、ライブエイドで「We are the Champion」を歌うシーンは思わず目頭が熱くなった。

この作品でよかったのは、フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックほか、クイーンの4人が本物に似ていたこと。歌声は、フレディ本人のオリジナルボイスを中心にミックスして作ったようだが、まったく違和感なく聞けたのはすごい。音響技術の進化は死んだ人の声を再生することも可能にしているのだと感じた。

そしてこちらがライブエイドでの実際の演奏。今やなんでもYouTubeで聞ける時代だ。

久しぶりにクイーンの音楽に耳を傾け、自分の若かりし日に想いを馳せた。

こうして改めて聞くと、彼らの音楽はまったく古さを感じない。懐かしさに浸るには、とてもいい映画だと思う。

Yahoo!映画の評価は4.66、私の評価は3.50。

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