古浄瑠璃

日帰りで新潟県の柏崎まで行ってきた。「古浄瑠璃」の舞台を見るためだ。

古浄瑠璃というのは、近松門左衛門が登場する前の人形芝居のこと。ウィキペディアによると、「初代竹本義太夫が語った義太夫節以前の浄瑠璃を言う」と書かれていた。

もともと仏教の教えを庶民にわかりやすく語るために生まれたとされ、近松以降の浄瑠璃に比べて宗教色が強いとされる。

いきなり浄瑠璃と古浄瑠璃の違いについて書いたが、私はこれまで浄瑠璃さえ見たことがない。見たいと思ったこともない。今回は仕事の関係で拝見する機会をいただいたのだ。

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柏崎に行くのも初めてだ。

東京駅から「MAXとき」に乗って長岡まで行く。車内で後ろの席の人たちが話しているのを聞くと、上越新幹線の2階建車両は近い将来なくなるという。確かに車両は古い。それだけではなく、後ろの方が話していたところでは、車内販売がスムーズに移動できないという問題が2階建車両にはあるという。なるほど。私が乗った車両でも、車内販売は来ず、臨時の売店を設置しお客さんが買いに行く形をとっていた。

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越後湯沢を過ぎ、浦佐駅近くまで来ると黄金色の水田が広がっていた。魚沼産コシヒカリの産地なのだろう。

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長岡駅で乗り換え。「山本五十六と米百俵の長岡」がキャッチコピーのようだ。

そうか、山本五十六は長岡の人なのだ。長岡といえば田中角栄かと思っていた。

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三尺玉の実物大模型も飾られていた。

こうやって火薬を仕込んでいくんだとちょっと感心する。

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長岡から柏崎までは信越本線の各駅停車の電車。ワンマンカーだ。主要な駅以外は一部のドアしか開かない。ボタンを押しても開かないので、途中で降りる人は注意が必要だ。

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長岡を出て11番目の駅が柏崎。

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到着の直前、窓から遠くに柏崎刈羽原発の煙突が見えた。日本最大の原発も再稼働に向けて一歩一歩ハードルをクリアしている。

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柏崎市は人口8万人あまりの地方都市。駅前も寂れ、歩く人もほとんどいないが、そんな典型的な地方都市の駅前に一つだけ真新しいビルがそびえていた。

お菓子メーカー「ブルボン」の本社だ。「ブルボン」は柏崎の菓子店「最上屋」の御曹司が作った会社だ。

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この「ブルボン」が社会貢献で開設した「ドナルド・キーン・センター」という文化施設がこの柏崎にある。

ドナルド・キーン氏は日本文学と日本文化研究の第一人者で、文化勲章も受賞した偉大な研究者だ。現在95歳。東日本大震災で多くの外国人が日本を脱出する中、キーンさんは日本への帰化を発表、日本人に勇気を与えた。キーンさんは日本人になったのだ。

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このセンター開設にあたり、アメリカでのキーンさんの書斎をそのまま柏崎に持ってきた。その移設費用などはすべて「ブルボン」が負担した。

センターでは、キーンさんと交流があった三島由紀夫や司馬遼太郎など日本を代表する文学者にまつわる資料を見ることができる。

そして、ドナルド・キーンさんとブルボンを結びつけたのが、今回上演される古浄瑠璃だ。

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柏崎市産業文化会館で上演された古浄瑠璃は「越後国柏崎 弘知法印御伝記」という。

55年前、イギリスの大英博物館に眠っていたこの幻の古浄瑠璃の台本が発見された。2007年の中越沖地震からの復興のため、キーンさんは柏崎を舞台にしたこの古浄瑠璃の復活を企画し、8年前にこのホールで復活公演が行われた。

その時にスポンサーとして資金面でサポートしたのがブルボンだった。

こうして復活した古浄瑠璃は、新潟、東京でも上演され、今年キーンさんの人脈を利用して、台本が眠っていたロンドンでの公演を成功させた。今回はその凱旋公演というわけだ。

会場には柏崎市民が大勢詰め掛けたほか、日本各地からもこのプロジェクトを支援する人たちが集まり、会場は満席となった。

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地方の衰退が言われて久しい。

どうやって地方を元気にするのか?

外国人を含め「よそ者」の人脈やノウハウの活用、利益を度外視した地元企業の地域貢献。今回の古浄瑠璃復活が地元経済にどれほどのインパクトがあるかはまだわからないが、一つのヒントをここから読み取ることができるのではと感じた。

 

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