<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 解体業者に依頼して耕作放棄地になっていたブドウ棚の撤去を始めたのだが・・・ #230412

今月の重要ミッションの一つが2年連続で耕作放棄地になってしまったブドウ棚の解体撤去。

先月、解体業者に依頼して見積もりをしてもらい、いざ作業開始という時になって、業者さんが忙しくなってしまいなかなかスケジュールが決まらない。

作業が遅くなれば雑草がどんどん生えてくると困惑していたところ、「明日行ってもいいですか?」という電話をもらったのは、私たちが高野山にいる時だった。

9日の朝8時、2人の作業員が我が家にやってきた。

下見の時に来た人とは違う人で、他の作業の合間を縫ってうちの仕事に回されたらしい。

二人は初めてブドウ畑を見て、しばし呆然としている。

日頃は家屋やビルの解体作業をしていて、ブドウ棚を倒した経験がないからだ。

会社からはとにかくワイヤーを全部切ってこいと指示されたらしい。

1時間ほどして様子を見に行くと、畑の手前から作業を始めたようで、コンクリートの支柱が何本か倒れていた。

近所の人に聞いた話だと、通常は棚の上に設置しているトンネルと呼ばれる針金を編んだものを取り外し、ブドウの木を切断してからワイヤーを切断する手順が一般的だそうだ。

しかし作業をするお兄ちゃんたちは、まず棚を支えるワイヤーを切ってから、トンネルや支柱を外すという順番で解体を進めているらしい。

どうせ最後は更地になるので、安全を確保して近隣に迷惑さえかけなければ好きなようにやってもらって構わない。

とりあえず作業が始まったことを確認して、私と妻は諸々の用事を済ませに外出した。

家に戻ってきたのは午後5時半ごろ。

車を入れようとすると、家の入り口にトラックが止まっていた。

あれ? 今日は搬出作業はしないはずだったのに・・・。

近くに車を停め畑の様子を見に行くと、風景はガラッと変わっていた。

畑の半分ほどはすでに棚の解体が終わっていて、支えを失ったブドウの木が両手をぶら下げるように並んでいた。

これはこれは、面白い風景になったものだ。

トラックに乗ってきたと思われる別の作業員2人が、朝から来てくれた2人と話している。

どうやら作業の進捗が予定より遅れていて、会社から様子を見てこいと言われたらしい。

朝から来ていたお兄ちゃんがずっと電話で誰かと話をしている。

おそらく会社に事情を説明し指示を受けているのだろう。

畑の片隅にはコンクリートの支柱が積み上げられ、針金でできたトンネルも折り曲げるように集められていた。

私も自分で支柱を運んだことがあるのでわかるが、これは結構な重労働である。

お兄ちゃんたちは毎日こんなきつい仕事を朝から晩までやっているのだ。

思わず、ご苦労さまと声をかけたくなる。

お兄ちゃんたちが一日作業しても、まだ畑の半分は手付かずの状態だった。

会社から怒られたのか、お兄ちゃんの表情が暗い。

1000平米もあるブドウ畑を1日で片付けるのは、さすがに無理がある。

でもきっと会社も忙しくて、こんなブドウ畑に何日も人を取られたのでは採算が取れないのだろう。

見積もりは結構な金額だったが、利益を出すためには効率よく人を回転させる必要が業者側にはあるに違いない。

板挟みになる作業員たちも大変だ。

トラックの2人組は日暮れ前に帰って行ったが、日が暮れてあたりが真っ暗になってもお兄ちゃんたちが一向に帰ってこない。

夜7時も回り、さすがに心配になって様子を見に行くと、真っ暗の中で時折人が作業している気配がする。

まだ解体を続けてくれているようで、声をかけたが返事がない。

会社に電話をかけると、下見に来た営業担当の人が電話に出て、「キリのいいところまでやらせますんで大丈夫です」と言う。

私が怪我をしてもらっては困ると言うと、安全対策をしてやってるので心配ないとの答えだった。

しかし照明もなく、こんな暗闇の中で果たして見えるんだろうかと気を揉んだ。

しばらくすると玄関のチャイムが鳴り、お兄ちゃんたちが立っていた。

どうやら今日の作業は終わったようだが、一人はまた長電話をしている。

会社に報告をして、翌日の指示を受けている様子だった。

車に乗って帰って行く2人を見送りながら、彼らの毎日は常にこんな感じなんだろうかとその生活ぶりを想像した。

あの1日だけでブドウ棚の解体作業は中断している。

次に行ける日が決まったら連絡をくれることになっている。

少子高齢化が進む日本では、どこの業種でも常に人手不足だ。

でも人手不足が給料のアップにつながっているIT業界などと違い、建設や介護など私たちの暮らしに直結する重要な仕事では低賃金が続いている。

この不平等はやっぱりおかしい。

お兄ちゃんのような現場の作業員の給料が増えるのであれば、解体費用が多少上がっても仕方がないと思う。

でも資材やエネルギーの高騰が人件費の上昇を妨げる。

我が家のブドウ棚の解体が遅れるのはさしたる問題ではないが、社会を支える人たちの労働環境の悪さを改めて感じた出来事であった。

<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 耕作放棄地になっていたブドウ棚を倒そうかと解体業者に見積もりしてもらった #230303

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