<吉祥寺残日録>ベゾスとブランソン・・・続々と宇宙を目指す大富豪たち #210721

アマゾンの創業者で世界一の大富豪、ジェフ・ベゾス氏が公約通りに宇宙旅行を成功させた。

Embed from Getty Images

ベゾス氏が設立した宇宙ベンチャー「ブルーオリジン」のロケット「ニューシェパード」。

その先端に取り付けられた宇宙船に、ジェフ・ベゾス氏のほか、ベゾス氏の弟マークさんら4人が乗り込んだ。

初飛行の搭乗者に選ばれた一人は、1960年代に女性宇宙飛行士の訓練プログラムに参加したウォリー・ファンクさんで、82歳での宇宙飛行は史上最高齢となる。

もう一人は逆に史上最年少となる18歳のオランダ人オリバー・デーメンさんで、大富豪の父親が大金を払って座席を確保した「ブルーオリジン」初の有料搭乗客である。

この座席はオークションにかけられ当初2800万ドルで落札されたが、落札した男性が搭乗を延期したためデーメンさんが繰り上げとなったという。

テキサス州の発射場から打ち上げられた宇宙船は、約3分後にロケットから切り離され、宇宙空間の始まりとされる高度100キロの「カーマンライン」を越えた。

宇宙空間に到達した4人は、無重力体験を楽しみながら大きな窓から見える青い地球を見下ろした。

多くの計器に囲まれて身動きができなかったかつての宇宙船とは違い、「ブルーオリジン」の宇宙船は非常にシンプルな作りで、まさに「宇宙観光旅行」のために作られた機体である。

Embed from Getty Images

今回の宇宙飛行は、垂直に打ち上げたロケットが宇宙空間まで達して放物線を描いて落下する単純なもので、パラシュートを開いて打ち上げ地点の近くに無事に落下した。

打ち上げから着地まではわずか10分。

無重力状態を味わえるのは数分間だという。

Embed from Getty Images

地表に降り立ったベゾス氏は「人生で最良の日だ」と語った。

ベゾス氏は今年7月上旬「アマゾン・ドット・コム」のCEOを退任した。

宇宙事業に集中するためだ。

Embed from Getty Images

「ブルーオリジン」では、年内にあと2回、来年以降はさらに回数を増やして有人宇宙旅行を計画していて、すでに販売した商業飛行の代金が1億ドルに迫っていることを明らかにした。

1席あたりの代金は明らかにされていない。

しかしコロナ禍でますます増えた世界の富豪たちにとって、宇宙旅行はもう手に届くものになってきたのだ。

ベゾス氏の「ブルーオリジン」に先立つ今月11日、ヴァージングループを率いるリチャード・ブランソン氏が設立した「ヴァージン・ギャラクティック」の「VSSユニティ」が、宇宙有人飛行に成功した。

ブランソン氏の宇宙船「スペースシップ2」は飛行機のような形をしていて、大型の母船「ホワイトナイト2」に搭載して離陸し空中でロケットエンジンに点火して宇宙を目指すスタイルだ。

高度86キロまで上昇して無重力状態を4分間体験し、離陸から2時間後に自ら滑空して着陸する。

ベゾス氏に言わせるとヴァージンの宇宙飛行は高度100キロの「カーマンライン」を突破しておらず、厳密に言えば超高高度飛行でしかないとケチを付けられているが、こちらは来年から本格的な商業飛行を計画していて、すでに600人が予約済みだという。

Embed from Getty Images

ヴァージンの宇宙飛行の料金は1人25万ドル(2800万円)。

宇宙に行きたい旅行者にとっては、高度100キロを超えたかどうかよりも、無重力体験と宇宙から地球を眺めることが重要なので、ヴァージンのビジネスも一定のニーズはあるのだろう。

富豪たちにとって25万ドルは安いに違いない。

Embed from Getty Images

宇宙を巡る大富豪たちの争いといえば、この人も忘れてはならない。

電気自動車「テスラ」とともに宇宙事業「スペースX」を率いるイーロン・マスク氏だ。

「スペースX」はNASAと組んで本格的な宇宙ビジネスの中核を担っていて、宇宙旅行の分野でもそのスケールはさらに一段上を目指している。

今年の秋には高度540キロへの宇宙飛行を計画しているほか、月旅行もすでに射程に入っているという。

「スペースX」の計画では、2023年に地球から約38万キロ離れた月を周回する旅行を実施する。

月を周回する旅程は5日23時間。

「ZOZO」の創業者、前沢友作氏の搭乗が予定されている。

費用がいくらになるのか公表されていないが、少なくとも750億円以上との推測記事も見受けられた。

月旅行については、「ブルーオリジン」も月面着陸機の開発を進めていて、そう遠くない将来に夢の月旅行が実現する可能性が高そうだ。

民間による宇宙飛行の活用法としては、現在の飛行機に代わる高速大陸間移動の構想が動いている。

大気圏外に一旦出ることにより移動時間は飛躍的に短縮できるという。

ニューヨーク〜パリが30分。

このような移動手段が実用化されると、世界はますます近くなる。

旅行好きな私にとってはとても気になるニュースだが、問題はその料金とともに環境への影響も懸念される。

アマゾンの仕事を離れ宇宙事業に注力するベゾス氏がどこへ向かうのか?

こんな記事を目にした。

16年にアマゾンの地元シアトルで開かれたイベントに招かれたベゾス氏は、ブルーオリジンのビジョンについて「何百万人もの人々が宇宙で暮らせるようにすることだ」と語っている。再利用可能なロケットを開発し、宇宙空間への安価な移動手段を確立するのはその第1段階にすぎない。ベゾスは宇宙への人やモノの移動インフラが整えば、「今後数百年のうちにすべての重工業は地球外に移転するだろう」と予想する。目指すのはネット通販を超える革命的なイノベーションだ。

引用:日本経済新聞

もし空気を汚染する重工業を全て地球外に移転することができれば、私たちはもっと良い環境で暮らせるかもしれない。

その時、地球で暮らせる豊かな人と、地球外で働かざるを得ない貧しい人に分化していないといいのだが・・・。

<吉祥寺残日録>有人宇宙開発「民の時代」へ #200601

コメントを残す