漫画家の鳥山明さんが亡くなった。
まだ68歳の若さ、同世代としては決して他人事ではない。
鳥山さんが亡くなったのは3月1日のことで、死因は急性硬膜下血腫だと発表された。

鳥山明さんの名前は、決して漫画好きでもない私でも知っている。
私が大学生の時に連載が始まった「Dr. スランプ」にハマり、その後子供たちと一緒に「ドラゴンボール」をずっと見ていた。
とても印象的なデフォルメされた鳥山さんの絵は誰もが好きになる魅力に溢れていた。
そして、どんなにシリアスな物語になっても、常にギャグの要素を忘れることなく、小さな子供も楽しんで見ることができる。

おかげで、我が家には「ドラゴンボール」シリーズの漫画本が全部揃っていて、長男次男がボロボロになるまで読んだ漫画本を、10歳年が離れた三男の愛読書となった。
ドラゴンボールのおもちゃやテレビゲームが発売されると、誕生日やクリスマスのプレゼントとして必ずせがまれ、家の中はドラゴンボールで溢れていた。
おそらく、この時代を生きた多くの日本人が同じような体験を持っているのではないか。
私ですらこのように鳥山さんの訃報に接して、さまざまな思い出が浮かんでくるのだから、私の息子たちの世代にとって、このニュースは天下の一大事であるのは間違いないだろう。

今日、鳥山明さん死亡のニュースが流れると、多くの有名人が悲しみのコメントを発表した。
夕方のテレビニュースでもトップニュース扱いで、当分鳥山さんのニュースがメディアを賑わせることになるのだろう。
そして、反応したのは日本人だけではない。
鳥山さんの作品のファンは全世界にいる。
おそらく世界で最も有名でファンの多い日本人の一人だろう。
私がチェックしただけでも、アメリカのニューヨークタイムズやワシントンポスト、イギリスのBBC、フランスのAFPなど世界の主要メディアが鳥山さんの訃報を速報で伝えている。
中国や韓国などアジアでも圧倒的な知名度を持ち、中国外務省の記者会見でも鳥山明さんの訃報が取り上げられたほどだ。
こんな日本人、ほとんどいないだろう。

その中から、BBCの日本語版を引用しておきたい。
見出しは『漫画家の鳥山明さんが死去、68歳 「ドラゴンボール」で世界的人気』である。
「Dr.スランプ」や「DRAGON BALL(ドラゴンボール)」などの人気作で知られ、世界中の多くのクリエイターに影響を与えた漫画家の鳥山明さんが亡くなった。68歳だった。
鳥山さんのプロダクション「バード・スタジオ」は8日、鳥山さんが1日に急性硬膜下血腫で亡くなったと報告した。急性硬膜下血腫は、脳を覆っている硬膜と脳の間で出血が起きる症状。
「ドラゴンボール」は世界的な人気作で、アニメや映画などにもなった。鳥山さんはそのほか、ビデオゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズなどでキャラクターデザインを担当するなど、幅広く活躍していた。
インターネット上では世界中のファンが、子供のころから鳥山さんの作品に親しんできたと、その死を悼んでいる。
鳥山さんは1955年に名古屋市で生まれた。1978年に「ワンダーアイランド」でデビューし、1980年から「Dr.スランプ」の連載が始まった。
鳥山さんの代表作となった「ドラゴンボール」は、1984年に連載が始まった。主人公の孫悟空が、願いを一つだけかなえるという七つの「ドラゴンボール」を集めるというストーリーが多くの読者の心をとらえ、連載は約10年続いた。
「ドラゴンボール」はアニメ化され、続編や映画も数多く制作された。東映アニメーションによると、1986年から1997年まで放送されたテレビアニメシリーズは、平均視聴率20%を維持した。また、アニメ版は多くの言語に吹き替えられ、80カ国以上で放送された。キャラクターのアクションフィギュアは、日本から中国、東南アジアのおもちゃの定番となった。
こうした功績が認められ、2013年には欧州最大級のマンガイベント「アングレーム国際バンドデシネフェスティバル」で、40周年記念特別賞を受賞。2019年にはフランスの芸術文化勲章「シュリエ」を受章した。
朝日新聞による2013年のインタビューで鳥山さんは、「ドラゴンボール」がなぜ世界中でこれほど人気が出たのか「さっぱりわからない」と語っていた。
「連載中は、ただひたすら日本の少年に喜んでもらおうと描き続けていただけです」
その上で「この作品は、へそ曲がりでやっかいな性格の僕にしては、まっとうな仕事をして世間に受け入れられた奇跡的な漫画だったのではないでしょうか」と話していた。
インターネット上では、国内外の多くのファンが訃報の衝撃と、鳥山さんへの感謝の言葉をつづっている。
海外のファンはX(ツイッター)で、「あなたのドラゴンボールと一緒に、子供の頃の記憶が全部よみがえってきました。鳥山明さん、安らかにお眠りください」と追悼した。
別のファンは、「あまりにも悲しい。ドラゴンボールがなかったら子供の頃の自分がどうだったか想像できない」と語った。
中には、「天界の界王様のところにいて、スーパーサイヤ人になってくれますように」、「私たちにはドラゴンボールが必要だ」と、鳥山さんの作品になぞらえて追悼する言葉も見られた。
引用:BBC日本語版
まさに、単なる日本人の訃報ではない。
日本人が思っている以上に、「世界の鳥山」なのである。

鳥山さんの訃報に接してちょっと気になったのは、私でも知っているような超有名漫画家が近頃減っているのではないかということだ。
今や日本文化といえば、歌舞伎や華道・茶道、着物などではなく、漫画、アニメ、ラーメンという時代だ。
その日本文化を代表するのが、いまだに鳥山さんやジブリの宮崎駿監督だとすると、この先が危ぶまれる。
日本には今も多くの漫画家さんがいるのだと思うが、少子化の時代に国民的なアニメをいかに生み出していくのか、テレビ局も含めて新たな戦略が求められるいるのかもしれない。
いずれにせよ、漫画をここまで世界的コンテンツに進化させた鳥山明さんの功績を讃え、謹んでご冥福をお祈りしたいと思うばかりだ。