<吉祥寺残日録>在宅勤務が終了した日 #200608

6月に入り東京都では「第2ステージ」に以降したため、私の会社では今日から在宅勤務が原則終了となった。

テレビニュースを見ていると、都心の人出がかなり増えてきたと伝えられている。

実際この週末、吉祥寺の人出はすごかった。

こちらの写真は、中道通り。

こちらが、ダイヤ街。

そしてこの写真は、元町通りだ。

どこもどこも人であふれていた。

だから今日出社する時、電車の混み具合が気になった。

しかし実際に今朝会社に行ってみると・・・

吉祥寺駅は心配したほどの混雑ではなかった。

吉祥寺駅を出発した段階での車内の状況も、コロナ前に比べればかなり空いていた。

ちなみに今朝私は9時半ごろの電車に乗った。

電車の窓は換気のため開けたままだ。

途中駅で乗客が乗ってきて、渋谷駅に到着する直前には、それなりの混雑状況になっていた。

でも、コロナ前には人と人の隙間がなかったので、まだ元に戻った訳ではない。

渋谷駅での混雑もテレビで伝えられているほどではないように感じた。

スクランブル交差点の人通りはこの程度。

一時に比べれば増えたが、コロナ前に比べればまだ少ないようだ。

とはいえ、やっぱり通勤電車は気になる。

これまでのところ、通勤電車でクラスターが発生した事例は見つかっていないが、不特定多数が密な状態になる電車の場合、たとえその中に感染者がいたとしても感染経路を追うことができない。

だから、クラスターは見つからないのは当然であり、このまま企業が在宅勤務を終了すると感染が再び拡大することが懸念される。

会社では、人事部長と会って退職への準備を始めた。

私は今月末で会社を辞める。

退職までの残り3週間あまり、出社する必要がある日以外、有給休暇を利用することで会社と合意した。

しかし、会社の運営には単に業績の問題だけでなく、感染防止対策などいろいろな問題が次から次へと起きているようだ。

日本企業はコロナを乗り越え、どのように変わるのか? 変われるのか?

日本企業文化の象徴となっているのが「ハンコ文化」だ。

一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏が、興味深い記事を発信していた。

「現代ビジネス」に掲載された記事のタイトルは、「ハンコから脱却しても「電子署名」という遺物が日本のIT化を妨げる」

日本企業に染み込んだハンコ文化は、単にハンコをデジタル化するだけでは解決しないらしい。

記事の一部を引用させていただく。

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が進み、「ハンコ文化」見直しの機運が高まっている。しかし、現実には、事態は進展していない。

基本的な問題は、20年前に施行された電子署名法が、その後の技術進歩を反映しておらず、古い技術を前提にしていることだ。

2001年に施行された電子署名法において有効とされている電子署名は、ICカードを用いるか、あるいは、利用者が認証サービス事業者に自らを証明する書類などを提出し、事業者が電子証明書の入った電子ファイルを発行する。それを使って当事者同士が署名をすることになっている。

しかし、認証サービス者からいちいち認証を受けるのは面倒なので、この方式は実際にはあまり使われていない。実際に使われているのは、以下に述べる「クラウド型」と呼ばれるものだ。

署名と署名に必要な鍵をサーバーに保管し、全ての手続きがクラウド上で済む。本人確認も、メールアドレスや2段階認証を活用すれば短時間で済む。

国内で8割のシェアを握る弁護士ドットコムの「クラウドサイン」などは、当事者同士が電子署名をしない「立会人型」と呼ばれる形式だ。  ネットに上げたPDFの契約書などの書類を双方が確認し、合意すれば、立ち会った弁護士ドットコムが自らの名義で「契約書が甲と乙によるものであることを確認した」と電子署名する。  契約の当事者が電子署名の印鑑証明に相当する電子証明書などを取得しなくてもすむため、手続きが簡単だ。

出典:現代ビジネス

このようにハンコに変わる電子署名として注目される「立会人型」。

欧米でもこの「立会人型」が普及しているが、野口先生は問題もあると指摘する。

弁護士という個人が行なう真正性の証明に全幅の信頼を寄せてよいかどうか?

本人確認はメールアドレスなどで行なわれているが、それで十分かどうか?

そこで、野口先生が推奨するのが「エストニア方式」。電子政府の先進国と言われるバルト三国のエストニアで実際に利用されている電子認証の仕組みだ。

それは、どのようなものなのか?

国民一人一人が「国民ID」(正確には、personal identification code。個人識別コード)という番号を待つ。

電子認証(本人確認)とサインをデジタルに行うために必要なのは、ICチップを埋め込んだeID カードだ。

専用のカードリーダーに差し込み、暗証番号を入力すると、完全に無料で、電子署名を行うことができる。

ブロックチェーン上に契約締結日などのタイムスタンプを記録することによって、改ざん防止を実現できる。また、電子署名を半永久的に記録することが可能となり、有効期限問題も解消している。

このため、インターネット接続環境とパソコン、カードリーダーさえあれば、あらゆる行政手続きを自宅やオフィスから行える。ほぼ100%の国民に普及している。

出典:現代ビジネス

エストニア方式への近道は、マイナンバーの普及を活用だという。

日本ではプライバシーへの懸念から導入が進まなかったマイナンバー制度だが、その後生まれたブロックチェーン技術などを活用して、より安全で利便性の高いマンナンバー制度を編み出す必要がある。

今回のコロナ禍で明らかになった日本政府のデジタル化の遅れ。

そして日本企業も決してデジタルが得意とはいえない。

ハンコ文化はアナログ大国日本の象徴であり、まずはハンコをなくすことから始めてみるのもいいかもしれない。

ハンコをなくすと決めることで、日本式の企業文化や商習慣は大きく変わるのかもしれない。

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