驚く出来事は、ある日突然やってくる。
昨夜、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」を見ていたら、私が愛用する「地球の歩き方」が学研グループに事業売却されるという。

一般の人からすれば大したニュースではないだろうが、私にとっては海外旅行のたびに散々お世話になった馴染みの旅行ガイドブックである。
「地球の歩き方」が創刊されたのは1979年。
私が大学生で文字通りバックパッカーとして海外を歩き回っていた頃だ。
当時の日本にはバックパッカーに役立つガイドブックは存在せず、私は慣れない英語のガイドブックを持って南米やアフリカを旅したものだ。
その意味で、「地球の歩き方」は画期的であり、その後の海外旅行では必ず旅先に持って行った。
事業売却に至った原因はやはりコロナで、海外旅行のニーズが激減したことだったという。
確かに、この一年、私も「地球の歩き方」を手にすることはほとんどなかった。
ちょっとショックではあるが、「地球の歩き方」自体がなくなるわけではなさそうなので、これまで通りのクオリティーを保ちながらぜひ生き残っていただきたいと願う。

もう一つの驚きは、10月のスマホ代の明細を見た時に訪れた。
いつもより少し高いなと思って中身を確認すると、なぜかこんな請求が含まれていた。
「世界対応ケータイ 海外パケットし放題(1日間利用)」
請求額は1224円だ。
金額は大したことはないが、海外旅行にも行っていないのにこれはどう考えても間違いだろうと思い、ワイモバイルに電話した。
電話に出た担当者も「それはおかしいですね」と言って上司と相談したらしく、「一応詳しい明細書を郵送しますのでご確認のうえ再度お問い合わせください」と言う。
渋々同意して電話を切った数日後、ワイモバイルから明細書が送られてきた。

中を見ると、確かに「国際パケット通信明細書」と書かれた紙に、問題の1224円が記載されている。
利用地域は「KORSK」、どうやら韓国のようだ。
費目は「4GLTE定額対象」となっていて、私が韓国の通信会社の4G回線を利用したということだろう。
でも私は韓国にもどこにも海外には行っていないのだ。
「もしかして」と思い、利用した日時をチェックすると・・・
「10月27日 16時7分2秒」
やっぱり、対馬をレンタカーで回った日だった。
韓国とは目と鼻の先に位置する対馬というのが引っかかった。
この日の午後4時すぎ私は何処にいたのか、それを確認するために撮り溜めた写真に記録された撮影時刻を調べていく。

その結果、謎の通信が記録されたのは、私が対馬の西海岸にある「木坂」という集落を訪ねた時だとわかった。
その時間私は、いくつもの石積みの塔が築かれた無人の浜で写真を撮っていた。
ここでネットを使った記憶はない。
無意識のうちにメールをチェックしたかもしれないが、当然のことながら韓国経由で通信している意識などあるはずもない。
むしろ、メールのチェックすらせず、スマホはずっとポケットに入っていたままだった可能性が高いと思う。
それでも・・・
思い返してみると、対馬を走っていて「圏外」の表示が出ているのに気づいた瞬間が何度かあった。

山に覆われた人口密度の極めて低い対馬で、隅々まで電波が届くように鉄塔を立てるのはいかにも費用対効果が低い。
だから、この「木坂」地区のような過疎の小さな集落には日本の電波は十分に届いていないのだ。
そして木坂の浜は朝鮮半島の方向に向かって開けている。
日本の電波が途切れた瞬間に、スマホが勝手に韓国の電波を拾ってしまった可能性は排除できない。

そんな推理が頭をよぎり、確認のため「対馬 国際ローミング」で検索してみてビックリ!
私と同じような事例が実に多く書き込まれていたのだ。
たとえば、「対馬観光物産協会ブログ」ではこんな注意を呼びかけている。
重要な情報なので、書かれている内容を引用させていただくと・・・
突然ですが、対馬にお住まいの皆さん。これから対馬に来る予定のある皆さん。
自分の携帯・スマホ・タブレット端末など、ローミングオフ設定出来てますか?
今回は私のうっかり失敗談です
対馬で一人暮らしをはじめてから、日々の生活費などを気にするようになり、
ふと4月の現時点での料金明細を見てみると・・・。
なんと『海外パケホ1,825円』という項目が
あれ?海外・・・。
と思いつつ、最近の出来事を思い出してみると
先日ブログで紹介した有明山登山のときに、
海外パケットに関するメッセージが入っていたことを思い出しました。
どうやら、私のスマホが山中で圏外になった際に、韓国の電波を拾ってしまい、
うっかり韓国の電波が繋がった状態でSNS等を利用していたみたいです
つまり!!韓国から通信したとみなされ、国際ローミング料金が適応されたということ。
普段の生活でローミングオフ設定をしていなくても、
海外の電波を受信しない限りは大丈夫なのですが・・・。
国境の島ならではの、注意点ですね。対馬の山登りや町外れへ
行かれる際は皆さんお持ちのケータイやスマホなどは設定で
ローミングオフになってるか確認してみて下さいね楽しい対馬旅・対馬生活を楽しむためにもぜひ設定を!!
引用:対馬観光物産協会ブログ

他の記事には、対馬ならではの「携帯あるある」という表現もされていた。
きっと対馬ではよくある通信トラブルなのだ。
そんな信じがたい現象があることを理解した上で、改めてワイモバイルに電話してみる。
すると、電話に出た担当者は私の話は理解しつつも、韓国との通信が成立している以上請求額の変更はできないという。
何だか、ものすごく理不尽に感じるが、まあ被害額が高額ではないので、こちらもあまりごねずに引き下がった。
しかし、到底納得はできない。

日本国内にいても国際パケット料金を請求されることがありえること。
それを防ぐためには国境に近いエリアに旅行する際にはスマホの設定を「ローミングオフ」にするということ。
その2つを今回の旅で学んだ。

日韓を繋ぐ特別な島・対馬。
今回のトラブルは、ある意味この島の特殊性を強く意識させるもので、対馬に対する私の興味はますます強くなる出来事であった。
皆さんも、対馬に行かれる時には、ローミングオフをお忘れなく!