白内障の手術を受けてから2日が経過した。
左目の状況はすこぶる良い。
遠く用のレンズを入れてもらったせいか、新宿の高層ビルがはっきり見えるのには驚く。
手術していない右目と比べても遥かによく見える。
おそらく白内障とともに乱視が大幅に改善したためだろう。
その代わり、手元は手術前よりもはっきり見えなくなった。
それでも、両目で見る分には右目が頑張ってくれるのでなんとか本も読める。
3週間ほど経って、新しい左目に合わせたメガネができれば、きっと手元もよく見えるようになるに違いない。
先生からジョギングなどの運動は始めても大丈夫だと言われたので、いつものように井の頭公園の西園まで軽く走り、トレーニングコーナーで体を動かしてきた。
やっぱり運動すると気持ちいいものだ
手術してこんなに早く日常が取り戻せたのは嬉しい限りである。
ジョギングから戻って、朝風呂につかる。
頭や顔は洗ってはダメだが、湯船につかるのは差し支えないという。
細かいことが気になる妻は、万一お湯が目に入ってはいけないからと言って、水泳用のゴーグルをつけてお風呂に入れという。
面倒だなと思ったが、身体を洗っていると確かに細かい水滴が飛び散ることもあるので、これも一つのアイデアだと思い妻のアドバイスに素直に従った。
ちなみに、夜寝る時には、こんなかわいいアイマスクをつけて寝ている。
無意識のうちに目を擦らないための配慮だ。
このアイマスク、長男のお嫁さんが妻にプレゼントしてくれたもので、とても柔らかくてつけ心地がいい。
圧迫感はまったくなく、寝相が悪い私でも朝起きた時もちゃんと目をカバーしてくれている優れものだ。
ということで、白内障の手術を受けたのは大正解で、会社を辞めたタイミングでの手術というのも最高だった。
今なら1日4回の目薬もさして苦にならない。
明日の朝もう一度、「清水眼科」に行って先生の診察を受けることになっているが、ぜひ先生に聞いてみようと思っていることがある。
どこからレンズを入れ替えたのか?
鏡を見るたびに左目をしげしげと見るのだが、目の表面には手術の痕がまったく残っていないのだ。
果たしてどんな手術だったのか?
日本の医療水準の高さに、改めて驚かされる。
その一方で、気になるニュースもある。
新型コロナウィルスに有効なワクチンの開発競争の話だ。
ワクチン開発で有力視される欧米の9つの製薬会社が連名で、「安全を最優先する」との共同声明を発表した。
その背景には、ロシアが8月に自国で開発したワクチンを最終検査を飛ばして承認し、中国が自国ワクチンを新興国で広げようと精力的に動き、さらにはアメリカのトランプ大統領が11月の大統領選挙前にワクチンが実用化できるよう圧力を強めるなど、政治的な思惑で危険なワクチン開発競争が活発化している現実がある。
そんな中、日本政府もワクチンの提供を受ける予定のイギリスの大手製薬メーカー「アストロゼネカ」が、ワクチンの最終治験を一時中断すると発表した。
一部の治験者に重大な副作用が起きたと見られている。
ワクチンの開発過程では良くあることだそうで、ことさら騒ぎすぎるのもよくないが、ワクチンの安全性を確認する作業が必ずしもトランプさんの思惑通りには進まないことを改めて示した格好だ。
それにしても・・・である。
私が気になったのはメディアが指摘しない別の点にあった。
世界的に加熱するワクチン開発競争のニュースの中に、日本企業がまったく登場しないのはどうしたことなのだろう?
日本企業によるワクチン開発がどうなっているのか疑問に感じネットで少し調べてみると、「M&A Online」というサイトに関連の記事を見つけた。
複数の日本企業による取り組みが記されている。
日本ではアンジェス<4563>が近く、DNAワクチンの第3相試験に進む予定で、2021年春の実用化を目指している。塩野義製薬<4507>子会社のUMNファーマ(秋田市)は年内にも、昆虫細胞などを用いて開発したワクチンの臨床験を始めたい考え。
第一三共<4568>は新型コロナウイルスの遺伝子(mRNA)ワクチンの開発に取り組んでおり、2021年3月ごろの臨床試験開始を目指している。明治ホールディングス<2269>傘下のKMバイオロジクス(熊本市)も、感染力をなくしたウイルス粒子などから作る不活化ワクチンの開発を進めており、2021年春以降に臨床試験を始める計画。
出典:M&A Online
この記事も指摘している通り、今秋にもワクチン接種を見込む欧州、米国、中国にはスピードでは遠く及ばない。
でも、その理由には触れられていない。
なぜ、世界的なワクチン競争に日本企業が一社も入れないのか?
創薬の世界は、資本力とAIを駆使した技術力の勝負になっていると聞く。
つまり、日本企業は資本力と技術力で世界に遅れをとっているということだろう。
安倍総理が力を入れた5Gでも遅れをとった。
そうした先端分野で日本企業が欧米だけではなく中国企業にも遅れをとっていることは10年後、20年後の日本のあり方に大きな黄色信号が灯っているように私には見えるのだが・・・。
果たして大丈夫なのだろうか?
永田町では今、ポスト安倍を決める総裁選が注目されているが、アベノミクスが十分な成果を残せなかった第三の矢である「成長戦略」、新しいリーダーにはぜひこの分野を積極的に進めてもらいたい。
安倍政権でもずっと「ソサエティー5.0」を掲げてITを核とした成長戦略を推し進めると強調してきたが、日本がこうした新たな成長分野で世界に遅れをとっていることは今回のコロナ危機で白日のもとに曝された。
言葉だけではなく、「やってる感」だけじゃない、地に足のついた成長戦略に取り組まない限り、10年後の日本はもはや先進国から脱落してしまっているかもしれない。
ひょっとすると、日本人は手先は器用だが、デジタル的な思考に弱いのだろうか?
新しくなった左目で、ワクチン開発を伝えるテレビニュースを見ながら、そんな焦りを強く感じた。
やはりいつまでも年寄りが大きな顔をしている社会ではダメなのだと思う。