一体、この騒動は何なのだろう?
私はずっとそう感じてきたが、その正体はいまだによくわからない。

秋篠宮家の長女・眞子さまが今日、小室圭さんと結婚し、小室眞子さんという一人の一般女性となった。
得体の知れない世論のバッシングにさらされても、自らの意志を貫いて結婚の日を迎えたお二人を心から祝福したい。
結婚に関する一切の皇室儀式を行わず、慣例となっている一時金の受け取りも辞退する異例の結婚。
どうして小室さんの母親をめぐる「金銭トラブル」によって、日本の世論はここまで眞子さまの結婚に反対したのだろう?
「世論の暴走」の典型的な例として、今回の結婚騒動は大きな課題を社会に突きつけている。

騒動のきっかけは、2017年12月に発売された「週刊女性」の報道だった。
この記事は「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞した。
それだけ、小室家をめぐるスキャンダルは雑誌業界にとっておいしかったのだろう。
新聞やテレビと違い、雑誌メディアは記事の内容で売り上げ部数が大きく変動する。
しかもインターネットの登場により、雑誌メディアは極めて厳しい状況に置かれている。
このスクープ記事を書いた雑誌記者が自らその裏話を記した文書が残っていた。
2017年12月初め、私の知人から思いがけない連絡がありました。「佳代さんとの間で金銭トラブルになってしまった男性がいるから、まずはその人の知り合いからちょっと話を聞いてあげてほしい」。眞子さまが圭さんと結婚すれば、佳代さんは義理の母になる人です。「そんな話、本当なのかな」。男性の知人から詳しい事情を聞くまで、半信半疑でした。
引用:文春オンライン
こうして記者は小室圭さんの母親・佳代さんと元婚約者の関係と金銭トラブルを突き止めるのだが、圭さんの婚約相手が眞子さまでなければニュースバリューは全くなかっただろう。
記事にする判断には、皇室に対するこんな感情があった。
最初に眞子さまと圭さんのデートを報じた2016年秋の時点では、私も漠然と「眞子さまが選ばれたのだから、この男性はきっと眞子さまにふさわしい方なのだろう」という風に思っていました。
しかし、「筆頭宮家のご長女というお立場の眞子さまのご結婚相手にどういう人がふさわしいのか」。これは非常に難しい問題だと考えるようになりました。たとえご本人同士が「結婚したい」という意思を持っていても、皇族のご結婚である以上、お二人の意思だけで決まっていいものだろうかとも思い至るようになったのです。はからずも、眞子さまが宮家当主になられることが想定されていた「女性宮家」構想の危険性を、今回の「結婚延期」が指し示すことにもなりました。
さらに、皇室経済法には第6条第7項で、「皇族の身分を離れる者」に国から一時金を渡すことが定められています。眞子さまの場合は1億数千万円が予定されていました。こうした支度金とも言えるお金の存在もまた、一般的な両性の合意による結婚と、皇族の結婚が大きく異なる一因といえます。
引用:文春オンライン
記者は「女性宮家の危険性」や「1億数千万円の支度金」にも言及し、これはネタになると考えたわけだ。

このスクープ記事をきっかけに、週刊誌はこぞって小室家の問題を暴き上げた。
それは見出しを見るだけでもおぞましい、まさに「下衆のメディア」であった。
テレビ業界でも、週刊誌報道を材料にこの問題を大々的に扱って、コメンテーターが無責任に世論を煽っていった。
こうした報道は、テレビ業界に身を置いていた私が最も嫌悪するものである。
昔からワイドショーを中心に、あることないこと騒ぎ立てて視聴率を取ろうとする醜い争いがあった。
私は多少ヘソが曲がっていたので、世論が一斉にある方向に流れるとそれに逆行するような番組作りを心がけてきたつもりだ。
もし私が番組責任者ならば、全く違った切り口で取材を進めただろうと思う。
今のメディア人は、昔に比べて「素直」な印象を受けて仕方がない。
みんなが右と言えば自分も右と言わなければ不安なのだろう。
しかし、他社と同じことばかり伝えるメディアに価値はあるのか?
「下衆なメディア」は、百害あって一理なしである。
しかし、雑誌メディアがこぞって小室家問題を書き立てたのは、実際に販売部数が伸びたからだろう。
私は全く興味がなかったのでほとんど読んでいないが、どんな人たちがこうした記事を求めたのだろうか?
上の写真は、眞子さんが結婚した今日10月26日に東京で行われたデモの様子だという。
130人ほどが集まったそうだが、このデモを主催したのは「皇室系ユーチューバー」を名乗る男性だそうだ。
このユーチューバーという誰でも立ち上げられる新たなメディアも、世論操作という意味では厄介な存在になりつつある。
多くのユーチューバーにとって何よりも重要なのは多くのアクセスを稼いで広告収入を得ることである。
そのため、内容は自ずと人の関心を惹きそうな過激なものになりがちだ。
究極の「下衆メディア」と言ってもいい。
さらに、女性宮家に反対する右翼の人たちもこのスキャンダルに便乗した。
皇位継承の問題が政府で議論される中で、男系男子に固執しようとする勢力が世論を煽っている
メディアリテラシーの乏しい一般の人たちは、膨大な情報の中から真実を見分けるのが難しくなっているのかもしれない。
既存メディアの報道よりもYouTubeの情報を信用するという人たちは、フェイクニュースに操られる危険にさらされている。
民主主義という社会体制にとって「世論」は何よりも重要なのだが、残念ながら「世論」というものは容易に操られてしまうのだ。
いったん批判的な世論が巻き起こると、それを覆すのは容易ではない。
結婚届が受理され、晴れて小室眞子という一般人になった午後、お二人で臨んだ記者会見はなかなか立派なものだった。
皇室にいる間には話せなかった胸の内を、一般人になったタイミングを捉えてはっきりと伝えたのだ。
眞子さんは、用意した紙を読み上げる形で、落ち着いてこう述べた。
私と圭さんの結婚について、様々な考え方があることは承知しております。ご迷惑をおかけすることになってしまった方々には、たいへん申し訳なく思っております。また、私のことを思い静かに心配してくださった方々や事実に基づかない情報に惑わされず、私と圭さんを変わらずに応援してくださった方々に、感謝しております。
私にとって圭さんはかけがえのない存在です。そして、私たちにとって結婚は、自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択でした。
淡々と、しかしキッパリと、自らの気持ちを世論に語りかけたのだ。
小室さんも時折笑顔を見せながら、落ち着いた口調でこう話した。
私は眞子さんを愛しております。一度きりの人生を、愛する人と共に過ごしたいと思っています。これまで幸せな時もそうでない時も、様々な気持ちを二人で分かち合い、励まし合ってきました。
このたびの結婚に関してご迷惑をおかけしてしまった方々には、大変申し訳なく思っております。
色々なことがありましたが、眞子さんと一緒に人生を歩みたいという思いを持ち続けられたのは、眞子さんと、これまで周りで私たちを支えてくださった方々のおかげです。心から感謝申し上げます。
二人で文章を練り上げたのだろう。
まず最初に二人の気持ちを前面に出し、誰にも邪魔できない強い結婚の意志を表明した形だ。
そして、一連のバッシング報道について、眞子さんは次のように述べた。
本日まで、私が公に発言する機会は限られてきました。そのために生まれてしまった誤解もあったと思います。一部の方はご存じのように、婚約に関する報道が出て以降、圭さんが独断で動いたことはありませんでした。例えば、圭さんのお母様の元婚約者の方への対応は、私がお願いした方向で進めていただきました。圭さんの留学については、圭さんが将来計画していた留学を前倒しして、海外に拠点をつくってほしいと私がお願いしました。留学に際して私は一切の援助をできませんでしたが、圭さんが厳しい状況のなか努力してくれたことをありがたく思っています。
圭さんのすることが、独断で行われていると批判され、私の気持ちを考えていないといった一方的な臆測が流れる度に、誤った情報がなぜか間違いのない事実であるかのように取り上げられ、いわれのない物語となって広がっていくことに恐怖心を覚えるとともに、辛く、悲しい思いをいたしました。厳しい状況の中でも、圭さんを信じ続けてくださった方々に、感謝しております。
私たちは二人で新しい生活を始めることになります。これから生きていくなかで、また違った形での困難があると思います。しかし、これまでもそうであったように、二人で力を合わせて共に歩いていきたいと思っています。これまで私たちが自分たちの心に忠実に進んでこられたのは、お互いの存在と、励まし応援してくださる方々の存在があったからです。今、心を守りながら生きることに困難を感じ傷ついている方が、たくさんいらっしゃると思います。周囲の人のあたたかい助けや支えによって、より多くの人が、心を大切に守りながら生きていける社会となることを、心から願っております。
複雑性PTSDと診断されている眞子さん。
自らへのバッシングを自分だけの問題とせず、今の日本社会で理由なき非難を受けている多くの人たちの問題を提起した。
皇室の立場では言いたくても言えなかった本音が会見であふれたのだろう。
記者との質疑応答については、直前でキャンセルし文書による回答とした。
報道陣からの事前提出の質問の中に「誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねないものが含まれていることに強い衝撃を受けられた」ためとされ、その質問は日本雑誌協会からの質問だった。

自らの意志を貫き、晴れやかに毅然として皇室を離れていった眞子さま。
ニューヨークでの全く新しい人生に歩み出すが、度胸がすわったクレバーな日本女性として国際的に活躍されることを期待したい。
本当におめでとうございます。
下衆なメディアに惑わされることなく、幸せな家庭を築いていただきたいと思う。
同感です。素直に祝福してさしあげたいものです。(=^・^=)