大学の後輩が大手不動産会社の社長に就任し、それをお祝いするパーティーが昨夜開かれた。
私も出席の返事を出していたが、直前で面倒になりサボってしまった。
もともとパーティーは好きではないし、社長就任という事柄が昔ほど意味のあることとは感じられなくなってしまったんだと思う。
会社を辞めてからまもなく3年。
肩書きや社会的地位というものが、私の中でますますどうでもいいことになってきている。
その代わりというわけではないが、10日から再び岡山に帰省するのを前に、この2日間、昔録画していたテレビ番組を見て過ごした。

主に見たのは、2014年にフジテレビで放送されたドラマ「続・最後から二番目の恋」全11話。
本放送の時に大好きだったこの連ドラが去年の6月に再放送された時に全話録画したのだが、見ないままビデオレコーダーの中に置きっ放しになっていた。
小泉今日子と中井貴一が主役を務める良質な大人のラブコメディー。
見始めると再びハマってしまって、結局最後まで一気見してしまった。
やっぱりこのドラマ、最高に私好みだと思う。
大人の悲哀を表現する2人の演技も秀逸なのだが、何よりもシナリオが素晴らしい。
2012年放送の第1シリーズから脚本を担当する岡田恵和の巧みな会話劇に魅了され、改めてその虜になってしまった。

主人公は小泉今日子演じる吉野千明。
テレビ局でドラマのプロデューサーとしてバリバリ働いてきた彼女は、40代後半を迎えて少しずつ職場でのポジションも微妙になり、女友達との会話も愚痴っぽくなってきた。
自ら選んだ自由な生き方に疲れを感じるようになった千明は、移り住んだ鎌倉で古民家カフェを営むお隣の長倉家の兄妹たちと出会う。
長倉家の長男・長倉和平(中井貴一)は鎌倉市役所の観光推進課長。
両親を早く亡くして親代わりとして、弟や妹たち3人の面倒をずっと見てきた真面目な男だが、最愛の妻に先立たれ男手ひとつで娘を育てているシングルファーザーでもある。
そんな対照的な2人は会うと必ず口喧嘩を始めるのだが、そのマシンガンのように交わされる毒にまみれたセリフのやりとりがこのドラマ最大の魅力である。

長男・和平のほか、長女・典子(飯島直子)、双子の万理子(内田有紀)と真平(坂口憲二)の4兄妹はそれぞれ個性がはっきりしていて、和平の娘・えりなも交えた長倉家の朝食はいつも賑やかで面白い。
真平と付き合うことになった千明も毎朝この朝食のメンバーになり、ここでも千明と和平の口喧嘩が軽妙に展開される。
ただ、その会話は単なるお笑いではない。
52歳の和平と48歳の千明、この年齢を迎えた多くの男女が抱くであろう悩みや願望が、セリフの端々に巧みに織り込まれ、笑いながら見ていてといきなり身につまされるフレーズが胸を刺す。
わかる!私も50歳の頃同じようなことを考えてた・・・そう感じるのだ。
ドラマの中には秀逸なセリフがたくさん散りばめられているが、その中から今日はひとつだけ書き残しておきたいと思う。

それは小泉今日子がこの続編の最終回でナレーションのようにして独白するこんなセリフだ。
人が大人になるということは、それだけ多くの選択をしてきたということだ。
何かを選ぶということは、その分、違う何かを失うことで、大人になって何かをつかんだ喜びは、ここまでやったという想いとここまでしかやれなかったという想いを同時に思い知ることでもある。
でも、そのつかんだ何かがたとえ小さくとも、確実にここにあるのだとしたら、つかんだ自分に誇りを持とう。
勇気を出して何かを選んだ過去の自分を褒めてやろう。
よく頑張って生きてきた・・・そう言ってやろう。
そして、これからを夢見よう。
世界を嘆くのではなく、世界を信じるんだ。
私だって、その世界の一員なのだから。
48歳の若造は、今、そんな風に思う。
人生とは、自分の未来に恋をすること。
一人でするのがつまらなければ、誰かと一緒に未来に恋をしよう。
友であれ、恋人であれ、夫婦であれ、家族であれ、隣に気の合う誰かがいてくれさえすれば、人生はさらにファンキーになるはずだ。
「続・最後から二番目の恋」最終回より
実に素敵で、前向きなメッセージではないか。
やっぱり人気脚本家の紡ぐ言葉は魅惑的だ。
このドラマで、岡田恵和さんは「東京ドラマアウォード」の脚本賞を受賞した。
岡田さんは私の1歳年下、ほぼ同じ世代である。
彼が10年前に書いたシナリオだけに、50歳を過ぎた頃の岡田さんの心情がそのまんま、このドラマに凝縮されているのだろう。
だから共感できるのだ。

私には物語を紡ぎ出すドラマの才能は全くないが、素晴らしいドラマは人間が生きていくうえでのさまざまな示唆を与えてくれる。
私の人生も、たくさんの選択を行ってきた結果であり、勇気を出して何かを選んだ過去の自分を褒めてやらねばならないのだろう。
よく頑張って生きてきた。
たとえどんな境遇であろうと、自分の人生を肯定できさえすれば人間は幸せなのである。
そして、人生はまだまだ続く。
岡田恵和さんが言う通り、これからもせいぜい、自分の未来に恋をしながら生きていきたいと思う。
さまざまな選択をしてきたシニアにこそ、絶対にオススメしたい秀逸なドラマである。