オテツが死んだ。
何気なく開いた後輩からのメールに、思わず息が止まった。
オテツは大学時代の一つ後輩で、昔からそのユニークなキャラクターで誰からも愛された。
私にとっても、最も気が置けない昔の仲間の一人だった。

ただ呆然と、窓の外を眺める。
彼を病院に見舞ったのは、去年4月のことだった。
下肢閉塞性動脈硬化症という足が壊死する病気のため、彼は片脚を切断した。
その時、「残りの人生はそれほど長くないだろうと思う」と話していた。
それにしても、あっけないものだ。
「お互い自分らしく生きよう」と話してからわずか1年。
彼にとって、満足のいく最期だったのだろうか?
今となっては、そのことだけが妙に気になった。
オテツの死を知って、昔の仲間たちから次々にメールが入る。
彼は脚を切断した後も、義足をつけて好きだった旅を楽しんでいて、旅の様子をFacebookにアップしていたと知った。
今更ではあるが、オテツの最期の日々が知りたくて、長くやめていたFacebookに再登録してみた。
スマホ上に、彼の近況が蘇る。本当に、便利なものである。
オテツの最後の旅は、コロナ騒動の最中、つい最近訪れた鳥取だったことがわかった。
全国を旅していた彼が、唯一訪れたことがなかった県庁所在地が鳥取市だったらしい。
これで47都道府県の県庁所在地をすべて踏破し、一つの目的を達成した。
鳥取砂丘を訪れ、賀露港でカニを食べ、そしてオテツは天寿を全うした。
「最後まで自分らしく生きたよ!」
Facebookを通して、オテツのそんな声が聞こえてくる気がした。