<吉祥寺残日録>きちシネ#20「82年生まれ、キム・ジヨン」(2019年/韓国映画)

久しぶりに、映画館に行った。

眼科に行こうとPARCOの前を通りがかった時、以前から気になっていた映画が上映中だということを知ったからだ。

「82年生まれ、キム・ジヨン」。

韓国で大ヒットしてニュースとなった時から、何となく気になっていた。

コロナ禍で、2月に同じく韓国映画「パラサイト」を見て以来、映画館には足を運んでいない。

でも、PARCOの地下にできた映画館「アップリンク吉祥寺」は、絶対になくなって欲しくないと思い、この機会に行ってみることにした。

「アップリンク吉祥寺」は、2年前吉祥寺PARCOの地下にオープンした。

国内外の多彩な映画が上映される良質な映画館で、吉祥寺という街には絶対に必要な映画館だと私は思っている。

エスカレーターで地下2階まで降りると、意外にたくさんのお客さんが待っていた。

平日でこの状態なら、私の心配は杞憂のようだ。

チケットはネットで事前予約していたので、スタッフと接触することなく発券機で購入することができた。

スマホに届いたメールには、「発券・認証用QRコード」が添付されていて、それを発券機にかざすだけで、何も入力することなくチケットが出てきた。

初めて使ったが、とても簡単だ。

この映画館には5つのスクリーンがある。

コロナ対策のため、現在は入り口でのチケットのチェックはしていないという。

上映開始時間の直前までロビーで時間を潰してから、自分の席についた。

お客さんは、収容人数の半分弱といったところだろうか?

月曜のお昼ということで言えば、まずまずの入りだろう。

上映中は、マスクの着用が義務付けられている。

私の隣の席に別のお客さんが座ったので、一つ横にずれて距離をとって映画を見た。

韓国で去年公開された「82年生まれ、キム・ジヨン」は、韓国で130万部を売り上げたベストセラー小説の映画化である。

主演のキム・ジヨンを演じるのはチョン・ユミ、その夫をコン・ユが務める。

2人ともとても素敵な俳優さんだ。

しかし、映画の内容は、暗い。

育児に追われる母親の日々が淡々と描かれるが、日本以上に男尊女卑の伝統が残る韓国社会の中で、仕事をしたい女性は様々な壁に行き詰まり精神を病んでしまう。

夫は優しく理解があるが、親世代とは価値観の隔たりがあって、その日々の出来事が主人公を追い詰めていくのだ。

正月に夫の実家に帰省した際のシーンなど、見ていて息苦しくなってくる。

その姿は、私の妻を思い起こさせた。

私たち夫婦は結婚して相次いで2人の息子を授かり、仕事に明け暮れる私がほとんど家にいない中で妻は一人で育児に明け暮れた。

そんな妻は時々爆発し、私は腫れ物にでも触るように妻を眺め、どうすれば妻の機嫌が治るのかとオロオロしながら暮らしたことを思い出す。

今から思えば、無事に3人の子供を育て上げられたのは奇跡に思えてくる。

私は決して、子育てを分担する良い父親ではなかった。

妻には感謝するしかない。

しかし、正直な感想を言ってしまうと、私好みの映画ではなかった。

この映画が韓国でヒットしたというのは、やはり韓国社会の現実を映し出しているからなのだろう。

この原作は、日本でも異例の大ヒットとなったらしい。

私が妻のことを思い出したように、日本の観客も自分や自分の家族の思い出と重ね合わせながらこの物語を読んだのだろう。

観客の大半は、女性だった。

私のような無神経な男には理解できない心の琴線に触れる何かがそこにはあるのだ。

実は妻を誘ってみたのだが、妻は私が持ち帰ったチラシを見て、「この映画を見ると過去の嫌なことを思い出してしまいそうだから行かない」と言った。

確かに、妻が見ない方が良かったと思った。

それだけ、ある意味、リアルな映画である。

Yahoo! 映画の評価3.78、私の評価は3.30。

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