東から西に進む“逆走”台風12号の被害もなく、雨が上がった吉祥寺の街でランチをする。
まだブログで紹介していない店をという事で、まず「プリミ・バチ」を覗くが3000円のランチコースしかないようで断念。次に「マザース」を覗くと、こちらはまだ11時半前なのにすでに満席だった。
そこで、同じ七井橋通りにある路面店「イノカシラキッチン(Inokasira Kitchen)」に。
夕方、店先のテーブルに人が座り、ビールなどを飲んでいるのをよく通りがかりに見ていたが、何のお店かも知らなかった。
入店時お店には客がいなかった。
気の良さそうな店長さんが話しかけてくるので、いろいろ質問してみた。このお店は、先ほどのぞいて満席だった人気ピザ屋「マザース」や人気パン屋の「EPEE」と同じグループが経営しているという。最近、彼が店長になりメニューをメキシコ料理に変えたのだそうだ。
そういえば、吉祥寺でメキシコ料理に来たのは初めてだ。店内には、夏にぴったりのラテンの曲がかかっている。雰囲気はとても好きだ。
メキシコ料理となると、飲み物はやはり「コロナビール」(650円)だろう。
久しぶりだなあ。
水のグラスやテーブルウェアも、ちょっとセンスがいい気がする。
フードメニューは、小皿料理が中心。
最初の一品は、「魚介のサルサマリネ」(580円)。
テーブルに運ばれて来た時の第一印象は、「小さい」。
小さなガラスの器に、イカやムール貝などが入っている。
ただ2人でお皿に取り分けると、適量である。
サルサソースと言うのだろうか? 酸味と辛味がきいたマリネソースは夏にぴったり。正直あまり期待していなかったのだが、これは美味しい。
メキシコ料理がさほど好きではない妻も、一品目でこの店を見直したようだ。
二品目は「地鶏のレバーペースト」(580円)。
アイスクリームのようなレバーペーストのボールに薄切りのバケットが添えられている。
レバーペーストの味はまあ普通だが、添えられているバケットは、同じグループである「EPEE」のパンらしい。
これもなかなか食べ応えがある。
三品目は「チリコンカルネ(牛ひき肉と豆のトマト煮込み)」(580円)。
これは豆好きの妻のオーダーだが、熱々の陶器の中で煮立っている「チリコンカルネ」は予想をはるかに超える絶品だった。
私は大学時代、4ヶ月半かけてメキシコを含む中南米を回ったが、行く先々で豆料理が出た。しかし、ここの「チリコンカルネ」は本場に比べてもとても美味しいと思う。
メキシコのスナックの定番「トルティーヤ・チップス」が一緒に出てくるが、やはりこのチップスはサルサのディップで食べるのが個人的には好きだ。
ちょっと最後に余ってしまった。
そして四品目は、この店に入った目的である「チリコンタコス」(1P 500円)。
メキシコといえばやはりタコスである。
この店のタコスはまだ一種類しかない。トウモロコシの皮はソフトシェルで、板の上に広げた形で提供される。
具は、「チリコンカルネ」と同じ牛ひき肉と豆のトマト煮である。それにレタスや玉ねぎ、トマトなどの野菜が盛られる。
これを半分に折っていただく。美味しい。
生地も小麦ではなく、トウモロコシの味が全開だ。それぞメキシカン、学生時代頻繁に食べたソフトタコスの味である。懐かしさが口から脳へと伝わる。
大晦日、メキシコシティーの観光名所マリアッティ広場で晩御飯を食べ、人生最悪の下痢とともに新年を迎えたことなど、学生時代の思い出が一気に蘇ってくる。
期待していなかっただけに、このお店との出会いはちょっと感動的だった。私の吉祥寺グルメのレパートリーにメキシコ料理が加わった。
食べログ評価3.10、私の評価は4.00。