<吉祥寺残日録>井の頭公園での運動再開!すると中国の伝統衣装を着た若者たちに遭遇 #220504

みどりの日の今日も朝から快晴。

湿度の低い爽快な気候に促されて、なまった体を久しぶりに動かしてみる気になった。

花粉の季節も過ぎ去ったことだし、井の頭公園でのトレーニング再開である。

いつものように御殿山の雑木林を抜け、西園の400mトラックを目指す。

ずっとジョギングをサボっていたので、膝がガクガク、いろんなところの筋肉が緩みきっているのがわかる。

ゴールデンウィークの昼間だけに、トラック内の緑地で日光浴を楽しむ人がたくさんいる。

広範囲にシロツメグサの白い花が咲き誇り、ちょっとした草原気分が味わえるのだろう。

お昼寝にもってこいのシロツメグサの広場を眺めながら、休耕中の岡山の畑も背の高い雑草が生えずこんな感じの草むらであればいいのにと、考えても仕方のないことを考えてしまう。

来週にはまた岡山に帰省し、虚しい草刈りが待っている。

私は張り切りすぎないよう、トラックを1周して後はトレーニング器具を使って軽くストレッチをし腹筋運動をした。

肩まわりの筋肉がかなり固まっている。

私がトレーニング器具を使っていると、お構いなしにやってきて私の股の下に潜ってそれにぶら下がろうとする子供がいた。

慌てて場所を譲る。

やりたいと思ったら猪突猛進、これこそ子供の本能である。

シニアになったら自分の心に正直に幼子のような行動を心がけろとある哲学者が言った、そんな知識を最近どこかで聞いたばかりだ。

子供に運動器具を横取りされて、仕方なく桜のエリアの方に歩いて行ってみると、ちょっと珍しい集団に遭遇した。

天女のような姿をした女性たちがいる。

どうやら中国か韓国の伝統服のようだ。

遠目にしばし様子を窺いながら、どちらかといえば中国のようだなと思うがわからない。

確かめてみたくなって、集団の中にいた一人の若い男子に話しかけてみた。

彼はとても上手な日本語を話したが日本人ではない。

「この服は中国の?それとも韓国?」

すると、中国の伝統的な服だと男の子は答えいろいろと説明してくれた。

明の時代の服もあれば、ずっと古い唐や晋の時代の服もあるという。

男の子たちが羽子板の羽根のようなものを足で蹴る蹴鞠のような遊びを始めた。

最近中国では、若者たちの間でこうした伝統的な衣装が流行しているというテレビ番組を先日見たばかりだが、このグループも時々場所を決め、好きな伝統衣装を着て集まって楽しんでいるのだと男の子は語った。

彼が井の頭公園の近くに住んでいて、今日は自分の呼びかけでみんなが集まってきたのだと。

そんな話をしている時、中国服の集団の向こうに赤い旗が動くのが見えた。

誰かが旭日旗を振っている。

大陸を侵略した日本軍国主義のシンボルとして中国や韓国では忌み嫌われている旗だ。

場所をずらして旗の正体を確かめると、一人の男性が旭日旗を振っているのが見えた。

2〜3人の男たちがその様子を撮影している。

その位置関係から、中国の伝統服を着た集団をバックに旭日旗を振るパフォーマンスを行いそれを撮影・発信しようとしていることは明らかだった。

あいつや一体何をやってるんだ。

きっと、「中国人は出ていけ」とかヘイトスピーチを口にしているに違いない。

もしトラブルが起きるようなら止めに入ろうと思いながらしばらく中国人グループの周囲で様子を見ていたが、旭日旗の男たちは中国人に直接文句を言うこともなくその場を立ち去っていった。

確かに中国の伝統服ブームは中国人の間で高まる愛国心や中華思想と繋がっている部分もある。

だからと言って、わざわざ旭日旗を振って彼らを刺激して何になるのか。

どうせなら彼らと話して、自分の意見を直接伝えればいいじゃないかと、日本人側の軽薄な行動にちょっと腹が立った。

連休中の公園には、中国人以外にもいろいろな国の人たちがいた。

音楽を奏でたりしながら、みんな思い思いのスタイルで新緑の公園を楽しんでいるだけだ。

習近平政権の大国主義には正直私も不信感を抱いているが、日本に住む中国の若者たちに嫌がらせをしても仕方がない。

せっかく日本に来てくれている知日派の中国人に反日感情を植え付けるだけである。

かつて孫文をはじめ多くの中国の若者たちが欧米に対抗する術を学ぼうと日本に留学したが、アジアの先進国日本に憧れてやってきた若者の多くが日本に悪い印象を抱いて帰っていった。

あの時と同じ過ちを繰り返してどうするのか。

浅はかな愛国心などでは中国に対抗はできない。

長い歴史を振り返れば、日本列島の隣には常に超大国中国があり、その地政学的な条件から日本は決して逃れることはできないのだ。

もっと本気で中国のことを知る努力をし、排斥するのではなく従属するのでもない、共に生きる新たな道を模索する以外に日中関係の未来はない。

そんなことを改めて考えさせられた、井の頭公園での一コマであった。

<吉祥寺残日録>シニアのテレビ📺 BS1スペシャル「開き始めた衣装箱〜伝統服に揺れる多民族国家・中国〜」 #220329

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