2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
12月に入ると紅葉シーズンもいよいよ終盤、公園中のモミジが一斉に真っ赤に染まり散っていく。
ほとんどは「イロハモミジ」だが、中には「ヤマモミジ」や「オオモミジ」もある。
果たしてその違いは?
「イロハモミジ(伊呂波紅葉)」

モミジといえば一般的にはこの「イロハモミジ」を指す。
日本では福島県以南の山地から平野にかけて自生し、朝鮮・中国・台湾にも分布する。
葉が手のひらのように5つから7つに分かれ、この裂片を「いろはにほへと」と数えたことにその名前は由来する。

井の頭池の周囲にはたくさんの「イロハモミジ」が植えられていて、陽のあたり具合によって色づきのタイミングはかなり違う。
江戸末期から明治初期にかけて盛んに園芸品種が作られ、最盛期には数百の園芸品種があったとされ、「高雄」「赤地錦」「千染」「織殿錦」「清姫」などの名が付けられている。

葉の大きさは、長さが3.5〜6cm、幅3〜7cm。
他のモミジに比べて一番小さい。
花言葉は「美しい変化」。
「イロハモミジ」 分類:ムクロジ科カエデ属 特徴:落葉広葉樹・高木 花が咲く時期:4〜5月 実のなる時期:7〜9月 紅葉の時期:10〜12月
井の頭公園の「イロハモミジ」はここ!

「ヤマモミジ(山紅葉)」

御殿山の公園事務所近くには「ヤマモミジ」の木がある。
プレートがかけてなければ「イロハモミジ」と区別がつかないが、大きな違いは分布エリア、「ヤマモミジ」は北海道と本州の日本海側(青森から島根)の多雪地域に分布する。
樹高は最大10mほどになるが、山間に自生するものの多くは5mほどだという。

葉の大きさは「イロハモミジ」よりもひと回り大きく、5〜11cmほど。
「イロハモミジ」同様、葉の淵に二重のギザギザが不規則に並んでいる。

同一の木でも日の当たり具合によって紅、オレンジ、黄色に染まり、紅葉の初期には透き通るような美しさとグラデーションを楽しむことができる。
出典:庭木図鑑 植木ペディア
井の頭公園の「ヤマモミジ」も確かに赤い葉と黄色い葉が同居しているように見えた。
花言葉は「遠慮」。
「ヤマモミジ」 分類:ムクロジ科カエデ属 特徴:落葉広葉樹・高木 花が咲く時期:5〜6月 実のなる時期:6〜9月 紅葉の時期:10〜11月
井の頭公園の「ヤマモミジ」はここ!

「オオモミジ(大紅葉)」

こちらも御殿山の公園事務所近くで見かけた黄色いモミジ。
一見して葉が大きく、「オオモミジ」だと判断した。
「イロハモミジ」から自然発生した変種で、北海道から九州まで日本全国の丘陵あるいは山地に見られる。

葉の大きさは長さ7~10cm、幅7~9cm。
個体や環境によっては赤くならず、黄色で落葉する品種もあるといい、井の頭公園の「オオモミジ」も黄色い葉をしていた。
葉の淵にあるギザギザが一重でツルッとしているのも「オオモミジ」の特徴である。

箕面(大阪)の名物であるモミジのテンプラは、オオモミジの園芸品種である「一行寺(一行院とも)」の葉を一年以上漬け込んだものを使用している。
出典:庭木図鑑 植木ペディア
私は一度も食べたことがないが、いつかぜひモミジの天ぷらというものを食べてみたいと思う。
「オオモミジ」 分類:ムクロジ科カエデ属 特徴:落葉広葉樹・高木 花が咲く時期:4〜5月 実のなる時期:6〜9月 紅葉の時期:10〜12月
井の頭公園の「オオモミジ」はここ!

井の頭公園の植物2021
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