(注意)この店はすでに閉店しました。
今年就職した三男が久しぶりに泊まりに来て、一緒にランチを食べることになった。
以前から気になっていたフランス料理店を妻が予約した。

古い雑居ビルの2階にあるお店「SAC」だ。

店のロゴの「A」がエッフェル塔の形にしてあり、階段の入り口にもトリコロールのエッフェル塔の模型が置いてある。

エレベーターはなく、階段でお店に上がる。
引っ越してすぐの頃、一度予約なしでのぞいて満席だと断られた経験がある。

店内は予想したよりも清楚で、女子会向きな内装になっている。
オープンから7年目だそうだが、今年シェフが辞め4ヶ月ほど店を閉めていたのだという。その間に店の改装をしたらしい。

井の頭通りに面した窓は南向きで、明るい光が店内に差し込む。

ランチは2種類のコースのみ。メインを魚料理か肉料理か一つを選ぶ「オルセー」(2600円)と魚と肉両方を頼む「ルーブル」(3000円)の2種類だ。
前菜やデザートなど、そのほかは同じだ。
3人とも「オルセー」で、妻と三男は魚、私は肉を注文した。

まずは「お楽しみ前菜3種」。
店のオーナーらしき男性が、細かく説明してくれるのだが覚えられない。

左下の魚やサラダに比べ、右下の「ハムのムース」がインパクトがある。
本当にハムの香りや味がしっかりと残っている。初めて食べた。

ちょっと期待を抱かせるコースの始まりだ。

焼きたてのパンもモッチモチでとてもおいしい。
前菜の間に1個食べてしまった。代わりのパンは結局くれなかったので、パンが美味しくてもゆっくり食べた方がいいかもしれない。

続いてはスープ。「紅あずまのクリームスープ 黒ゴマキャラメル風味」。

これはいかにもフレンチという感じの濃厚なスープだ。バターがたっぷりと使われている。
家庭では味わえない、この日一番インパクトがあったお皿だった。

そしてメイン。
「鶏もも肉のコンフィ マデラ酒のソース 柑橘の香り」。

これはいわゆるコンフィである。
塩をたっぷりとすりこんだ肉を、低温の油脂でじっくりと加熱する料理だそうだ。フランスでは多くのレストランで登場する定番メニューだが、一般的にかなりしょっぱい。

この塩辛い肉に甘めのソースを絡めていただく。皮はパリパリ、肉はジューシーだ。
だが、スープほどの驚きはない。

ちなみに妻が頼んだ魚のポワレはこんな感じ。
こちらもいたって想像通りの味で驚きはない。

この魚のポワレ(魚の種類は日によって変わる)と鶏のコンフィという組み合わせは、基本的にあまり変わらないらしい。
「1ヶ月半にどちらかが変わる程度ですかねえ」との答えだった。

デザートは3種類から選ぶ。
私が選んだのは「フランス産栗のブリュレ ラムレーズンのアイス」。栗のブリュレは予想したほど甘くなく食べやすい。その代わりラム酒の味が強烈だった。

妻と三男は「ほうじ茶のデュオ ブランマンジェとアイスクリーム」。
こちらは予想をはるかに上回るほうじ茶の強烈な香りが広がり意表を突かれる。

最後にホットコーヒーで締めて、オルセーコースは終了。
コーヒーは私には苦味が足りない薄めのコーヒーだった。
三男はパリで生まれたので、赤ん坊の頃、たまにカフェなどに連れて行くといつもフランスの角砂糖を握りしめてしゃぶっていた。そんなことを思い出す懐かしいランチであった。
食べログ評価3.26、私の評価は3.40。