<きちたび>栃木・那須温泉「那須別邸 回」 温泉宿でまったりと還暦の休日

久々に温泉宿に行ってきた。

それも昨年のふるさと納税で見つけた宿泊プラン。15万円を那須町に寄付して、夫婦で1泊7万円もする高級宿に泊まってきたのだ。

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東北新幹線に乗り・・・

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那須塩原駅で降りて、那須湯本温泉行きの路線バスに乗る。

あらかじめ宿に伝えておくと、バスの運転手さんの手元リストに名前が登録されていて無料乗車券をもらえる仕組みだ。これが送迎サービスの代わりということだろう。

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この週末は2日とも快晴。気温も上がって春の陽気だ。

雪化粧した那須連山が迎えてくれる。

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降りたのは「山水閣入口」。

宿の近くで昼食を食べようと思っていたのだが、店がない・・・。

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バス停から宿までは徒歩5分ほど。3時のチャックインまでには間があるが、とりあえず宿に行ってみることにする。

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「山水閣」の趣ある建物が目の前に現れた。

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最近リフォームを重ねて綺麗になったエントランス。

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中に入ると清潔で落ち着いた空間が広がっていた。

チェックイン時間前なので、荷物を預けてランチを食べるお店を探して散歩することに・・・。

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人が通らない場所にはまだ雪が残っているが、歩いていると汗ばんで来るほどの暖かさだ。

バス通りに出て坂を登っていく。この辺りは完全な車社会。歩いて店を探すようにはできていないようだ。

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15分あまり歩いてようやくお店を見つけた。

そばとうつわの店「しんすず」。

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落ち着いた店内。でも店はガラガラだった。

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「もり」と「ざる」が同じ値段だというので、「ざるそば」(860円)をいただく。

なかなかみずみずしいお蕎麦だ。すりおろしたばかりと見られるわさびがこれまたみずみずしい。これはお昼にちょうどいい。宿の晩御飯も美味しく食べられるだろう。

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昼ごはんを済ませて宿に戻る。時計は2時半を回った。

山水閣の本館に入ると、そのまま別館に案内された。

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そう、私たちが泊まる宿は「山水閣」ではなく、「那須別邸 回」という山水閣の別館だ。

この旅館、元は銀行の保養所だったという。それを山水閣が買い取り、全8室の高級旅館に改装した。

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白い暖簾をくぐると・・・

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自動ドアの真新しい玄関。

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中に入ると、シックでモダンな和の空間が迎えてくる。

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私たちが訪れたのは3月3日の節句ということで、玄関にはガラスのおひな様が飾ってあった。

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まず驚いたのは、最初に案内されたラウンジ。

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庭に面して天井の高い大きなお部屋で、ここでチェックインの手続きをする。

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3時までまだ少し時間があるということで、お茶とお菓子を用意してくれた。

とても丁寧な接客だ。

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3時より少し前に部屋に案内してもらえた。

階段で2階に上がる。

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部屋の格子戸を開けると、高級感のある玄関のたたき。

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襖を開けると、10畳の畳と2畳分の板の間が繋がった和室。

小さなテレビや電話は置かれているが、至ってシンプルなお部屋だ。

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床の間にはお花・・・。掛け軸など余計なものはない。

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窓からは外の木立が見える。

新緑や紅葉の季節は綺麗だろう。葉っぱが落ちる冬は、木々の向こうに駐車場が見えるのはちょっと興ざめだ。

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和室の隣には寝室。

外国人が喜びそうな布団と障子。障子を開けるとその向こうには木立が・・・。

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和室の別の襖を開けると、水回りにつながる廊下が現れる。

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椅子が備え付けられた洗面台。その奥には・・・

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広々とした掛け流しの専用風呂。

浴槽の半分は浅くなっていて、寝転んで半身浴すれば長湯も大丈夫だ。

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格子窓の向こうにはお庭の木立。

ガラスははまっていないので、冷たい風が浴室に流れ込み火照った体を冷ましてくれる。

おまけに格子扉はスライドするので、夜間窓を全開して湯船に浸かると貸切露天風呂に早変わりだ。

このお風呂、あまりに気持ちが良かったので、初日に3回、2日目に2回、計5回も入ってしまった。

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お風呂に入っては、寝床でゴロゴロ。

本を読んでも、すぐに寝てしまう。

温泉宿の旅は、とにかく何もしない。これが鉄則だ。

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卓上には、「御豆」と書かれた小さな入れ物が・・・。

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中には、2種類の豆。ただ煎っただけの大豆と黒糖をまぶした黒豆。

どちらもすこぶる美味しい。

早速浴衣に着替え、風呂に入り、豆を食べ、寝る。

最高の時間だ。

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夕方6時。夕食の時間。

この宿では食事を部屋に運んでくれる。今時、珍しい宿だ。

料理も素晴らしかった。

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可愛らしい器が食卓に並ぶ。

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先付「新若芽と根三葉のお浸し」。山菜と海藻がみずみずしく調理されている。

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前菜は9品。

左から、「もずくの酢物」。

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「春香独活の白煮」「分葱の梅肉掛け」「アスパラガスの胡麻ソース掛け」。

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「鰊の山椒漬け」「桜海老の酒塩焼」。

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そして「こごみの昆布〆」「粟麩田楽」「新牛蒡の当座煮」。

そしてひな祭りなので特別に、「うずらの紅白卵」だ。

どれも丁寧に調理してあり、特に山菜はこれまで食べていたものとは全然別物だった。清々しく透明感がある。子供の頃から山菜はあまり好きではなかったが、美味しい山菜を食べていなかっただけだと気づいた。

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続いては、造り。「旬の鮮魚二点盛り 生湯葉  あしらい一式」。

この日の魚は、鯛とすずきだった。

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わさびは自らすりおろす。

いい香りだ。

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煮物「春野菜の煮浸し」。

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焼物「子持ち鮎の塩焼 蓮根の酢漬け」。

この鮎は、たっぷりと卵を抱いていて丸々としている。「良かったら頭からガブッといってください」と言われ、頭から食べてみた。私は魚の頭が苦手なのだが、この鮎はまったく臭みがなく骨もあまり気にならない。これは今まで食べた中で一番美味しい鮎かもしれない。

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ここから少し不思議なものが出た。

蓋物「蕪のすり流し」。器と同じ色なので分かりにくいが、蕪をすった汁のような物だ。

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お凌ぎ「のれそれの生姜正油掛け」。

「のれそれ」とはアナゴの稚魚で土佐の珍味だという。私は初めて食べた。ツルッとしているのだが、意外に噛みきれない。不思議な食感だ。

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そして鍋料理。「那須黒毛和牛と三元豚の豆乳しゃぶしゃぶ」だ。

A5クラスの那須和牛。とろける柔らかさだ。

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地元の野菜。原木椎茸は肉厚でしっかりした歯ごたえがある。

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この鍋は食いごたえがあった。

それまではお腹もほどほどで来ていたのに、ここで一気に満腹になる。

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〆は、「筍飯」と赤だしの「留椀」。

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「香の物」は塩分控えめ、あっさりとした味付けだ。

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最後の甘味は、「特製柚子プリン」。プリンの上に甘酸っぱい透明のソースがかかっていた。

もうお腹がはちきれそうだ。

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私たちの食事の世話をしてくれたのは、宇都宮出身のとても素敵なお嬢さんで、私の還暦祝いだと知って戌の手ぬぐいをプレゼントしてくれた。

本当に感じのいい接客だった。

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ごはんの後、再び風呂へ。

窓を開け、電気を消して・・・。気分は露天風呂だ。

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風呂に浸かりながら月を眺める。風流な夜だ。

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下を見れば、庭に点々と灯りがともり風情がある。

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ラウンジに降りてみると、照明も控えめでジャズが流れている。

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ラウンジは夜間、バーに変わる。私は利用しなかったが、お客は2組だけでゆったりと過ごせる空間だ。

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玄関の奥にはソファースペースがあったが、ここを利用する人はいなかった。

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ちょっともったいないと感じるほど、立派なソファーが並んでいた。

でも部屋もとても素敵なので、私も結局滞在中ずっと自分の部屋で過ごした。

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一夜明けて・・・

朝起きると、まずはお風呂へ。

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部屋は少し寒い。エアコンの温度を30℃に設定しても、スースーする。

お風呂で温まり、再び布団でゴロゴロ。

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朝日が差し込む。

朝食は、朝8時からだ。

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まずは、地元野菜のサラダから。

朝はテーブルクロスを掛けて気分を変える心遣い。

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サラダには、玉ねぎのドレッシングか人参のドレッシング。

陶器の鳥は、醤油差しだ。

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そしていきなり、ごはんと味噌汁、だし巻き卵。

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そして湯葉。

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遅れて、魅力的な竹かごが運ばれて来た。

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納豆、しらす、伽羅蕗、わさび漬け。

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そして極め付けが、鯖の干物。

ただの鯖ではない。茨城県神栖市、創業71年「越田商店」の「もの凄い鯖」だ。もの凄さの秘密は46年間つぎ足し続けた「熟成つけ汁」だ。

「もの凄い鯖」のことは初めて知ったが、確かに美味しい。我が家もこれから「もの凄い鯖」にしたいものだ。

いつもは茶碗1杯がせいぜいだが、今朝は3杯も食べてしまった。

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そして、朝食の後、またお風呂に入ってからゴロゴロ。

10時半に宿を出た。駅までのバス利用券をもらった。

今回の宿泊は、ふるさと納税の返礼品。私たちの支払いはゼロだが、それでも宿のレシートを渡された。料金は2人1泊7万円、全額那須町が払ってくれた。

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「那須別邸 回」。

素晴らしい温泉宿であった。

たまにはこんな旅もいいもんだ。

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