<吉祥寺残日録>大河ドラマ「鎌倉殿の13人」もついに完結!年の瀬に人間の運命というものを考える #221218

毎週楽しみに見ていた大河ドラマ「鎌倉殿の13人」がとうとう終わってしまった。

高校時代の社会科では、世界史と地理を選択し日本史はまともに勉強しなかったせいもあり、鎌倉時代の歴史などまともに知らなかった私にとって、このドラマは先行きが全く予想できず、どんどん人が死に登場人物が変わっていく物語の展開にすっかりハマって1年を過ごした。

主人公は、鎌倉幕府2代執権・北条義時。

正直、「誰?」というほど全く知らない人物だった。

北条氏はもともと伊豆の小さな豪族で、のちに義時を名乗る小四郎はその次男坊である。

時は平安末期、平清盛が権勢を振るい、坂東の地も平氏の影響下にあった。

北条氏の周囲には有力な豪族が割拠していて、普通であれば北条氏が社会を動かすことなど考えも及ばない時代である。

だから、物語の始まりは伊豆の片田舎での地味で小さな出来事から始まる。

義時の人生を大きく変えたのは、北条氏の跡取りだった兄・宗時が抱いた途方もない夢だった。

宗時は、源氏の嫡流である源頼朝が伊豆に流されてきたことを知り、父にも内緒で頼朝を家にかくまう。

頼朝が挙兵する時、北条がそれを支えて坂東に武士の社会を作り、北条がそのトップに立つという野望を密かに抱き、それを弟の小四郎だけに伝えた後、殺されてしまう。

兄の夢は突然小四郎に引き継がれたのだ。

小四郎は野心など決して抱くことのない、人のいい真面目で目立たない男だった。

ところが、頼朝が姉の政子と結婚し北条家と姻戚関係となると、小四郎は次第に頼朝の第一の側近となり、彼の人生が時代と共に大きく変わっていく。

挙兵した頼朝は、石橋山の戦で大敗したものの、命からがら現在の房総半島に落ち延び、そこで兵力を整えて一気に坂東を手中に収める。

この間、小四郎は頼朝と有力豪族たちの間を取り持つ連絡役となり、次第に一目置かれる存在となっていく。

さらに、義経などが登場する源平合戦を経て、頼朝は大願成就、鎌倉に初めての武家政権、鎌倉幕府を開くことになる。

このあたりの物語は、頼朝役の大泉洋さんのキャラクターもあって、とてもコミカルにワクワクする展開になっているのだが、頼朝が死ぬと、鎌倉は13人の宿老による集団指導体制となり血で血を洗う凄惨な権力闘争が始まった。

主要な登場人物が次々に失脚、殺害され、オープニングロールでの役者の名前もどんどん順番が入れ替わっていく。

武力によって己の利益を追求するのが武士の本質。

まさにそれを体現したような物語である。

戦国時代のような戦さではなく、陰謀や騙し討ちの繰り返しで、普通ならば目を背けたくなる重い作品になってしまうところだが、登場人物をデフォルメして笑いの要素を随所に散りばめてあるため、一級のエンターテインメント作品として大いに楽しめる作品に仕上がった。

脚本を担当した三谷幸喜さんの力量はやはり半端ないと感服した。

こうした権力闘争の中で最後に生き残ったのが北条義時だった。

最初に執権の座についたのは父である北条時政だったが、そのあまりの暴虐ぶりを見かねた義時がクーデターを起こし父親を伊豆に追放する。

時政役の坂東彌十郎さんは実に味のある演技で、時に暴君に変貌するものの、基本的には田舎のいい親父という愛すべきキャラクターを好演、その時政に悪知恵を吹き込む都育ちの妻りく役の宮沢りえさんの悪女ぶりもとても印象深い。

こうして絶対的権力を握った義時は、鎌倉幕府を守るために多くの人を葬っていく。

素朴な人のいい若者は、権力を握るに従って表情は暗くなり、人相が悪くなる。

しかし、それは頼朝から託されたミッションをやり遂げるためでもあり、兄が残した大きな夢を叶えるためでもあった。

権力を駆使して政敵を倒し、将軍を殺し、最後は朝廷も敵に回して後鳥羽上皇を隠岐に追いやった義時は稀代の大悪人とされたが、三谷脚本は義時を全ての悪を自らが背負い新たな世を作ろうとした人物として肯定的に描いている。

そして主演の小栗旬が権力者の苦悩を巧みに演じた。

所詮人間の評価など、見方次第である。

人の良さが売りだった男が権力の孤独を味わい、悩んだ末に一度腹をくくると、世間の批判を一身に浴びてでも自らが信じる道を突き進み、結果として世の中を大きく変えることがあるのだ。

ひょっとすると、防衛政策の大転換と増税の断行を掲げた岸田総理は、ある意味、北条義時に似ているのかもしれない。

今年ももう残すところわずかである。

人間の運命とは、本人の努力によって決めることなどできないものなのかもしれない。

私も、自分に与えられた運命をしっかりと受け入れて、残された人生を精一杯生きていこうと改めて思った。

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