<吉祥寺残日録>ウクライナ危機🇺🇦 対独戦勝記念日までに決着つかず、戦争の長期化は世界的危機に繋がるのか? #220509

私は今日、不眠症の妻を残して1人岡山に帰省した。

畑の世話に加え、車の6か月点検や伯母の火災保険の手続きなどをこなすためだ。

私が乗った全日空機はいつもとは違うルートで岡山空港にアプローチしたため、眼下に岡山市の市街地が見えた。

旭川を挟んで岡山城と日本三名園の一つ後楽園が見える。

川を城の守りに利用するため、戦国大名・宇喜多秀家が無理やり川の流れを変えたという話も、こうして上空から眺めるととても説得力を持って迫ってくる。

しかしそんな岡山城も空襲で焼け落ちた。

1945年6月29日、米軍のB29爆撃機140機を動員して行なわれた岡山大空襲は、お城のみならず市街地の大半を焼け野原に変えたのだ。

日本人にとっては、戦争は遠い昔の歴史。

ほとんどの日本人には戦争体験がまったくない。

それは本当に幸せなことである。

ウクライナでは戦闘が収まる気配はまったく見られないまま、節目とされた5月9日の対ドイツ戦勝記念日を迎えた。

プーチン大統領はこの日までに戦争の目的としていた東部2州を制圧して、ロシア国民に勝利を宣言するつもりだったのだろうが、ウクライナ側の予想外の抵抗により目的は果たせないままこの日を迎えてしまったのだ。

ウクライナ東部での戦闘は重火器を総動員した総力戦となっている。

ゼレンスキー大統領は、東部ルガンスクの学校がロシア軍の空爆を受けて、ここに避難していた市民60人が死亡したと発表した。

首都キーウ周辺の市街地とは違い、ウクライナ東部には大平原が広がり、戦車や航空機を使った広域の戦闘となっている。

戦勝記念日を前にG7首脳はオンライン会議を開き、ウクライナに対する追加の軍事支援、特に榴弾砲や対空戦車などより強力な最新兵器の供与を決めた。

今後NATO諸国からの兵器がウクライナに届き始めれば、ウクライナ側が反撃に転じる可能性があると軍事専門家らは指摘する。

かつてのように大平原では戦車は無敵という時代ではなく、カミカゼドローンと呼ばれる小型の無人機1機で戦車をは破壊することが可能な時代となっている。

冷戦時代から使用しているロシア軍の戦車は、最新兵器の格好の標的になるかもしれない。

こうした苦戦を前に、モスクワ赤の広場で行なわれた戦勝記念日の軍事パレードに出席したプーチン大統領がどんなスピーチを行なうのか、世界中の関心が集まった。

「戦争状態」を宣言して徴兵制を発表するのではないか、核兵器の使用にも言及するのではないか、西側メディアではさまざまな憶測が飛び交ったが、結局プーチン大統領はこれまでの主張を繰り返しただけで、大きく局面を変えるような発言は行わなかった。

『ウクライナ政権は、核兵器の獲得があり得ると宣言した。私たちにとっては絶対に受け入れられない脅威が国境沿いに作られた。ネオナチとの衝突は避けられなかった。NATOは最新兵器を定期的に提供し、危険は日増しに高まった。攻撃はやむを得なかった。時宜を得た、唯一の正しい決定だった。』

5月9日勝利宣言というシナリオが崩れ、ウクライナでの戦争は出口が全く見えなくなった。

G7の首脳たちは、ロシア産原油の禁輸で合意した。

ロシアからのエネルギーに依存してきたドイツが禁輸を受け入れ、EUが返り血を覚悟でエネルギー分野でのロシア依存からの脱却を決断したのは大きかった。

のらりくらりと誤魔化しながらエネルギーには手をつけたくなかった日本も同調せざるを得ず、岸田総理も「時間をかけてフェーズアウト(段階的停止)のステップをとっていく」と原則的に受け入れを表明した。

ただし、焦点となっている「サハリン1」「サハリン2」については、日本の権益を手放さないと強調していて、本気でエネルギー問題でロシアと手を切るつもりはさらさらないようだ。

確かにエネルギーの大半を輸入に頼る日本にとって、エネルギーの供給源を断つという判断は失うものが大きいが、自由と民主主義のために戦うと勇ましいことを言っても、所詮は経済優先の姿勢は変わっていない。

しかしそんな身勝手な日本の足元を見透かして、ロシア側からサハリンでの日本の権益を認めないと通告してくる可能性があると私は見ている。

対ロ強硬派のアメリカ、イギリスと違って、日本は脅せばすぐに国内が揺らぐ脆さがある。

全て対処療法的な岸田政権の手法は、世界の緊張が高まれば高まるほど自らの首を絞めることになるかもしれない。

個人的に危惧しているのは、発展途上国の経済だ。

エネルギー価格の高騰に加え、ウクライナからの小麦が出回らなくなり、アフリカや中東では食糧危機が起こる可能性が出てきた。

ロシアとウクライナと共に世界の主要供給国だった小麦の価格は、この戦争の影響で去年のほぼ2倍に上昇した。

量が減って値段が上がれば、先進国が我先にと買い占めてしまい、貧しい国の貧しい人たちの命を支えてきたパンが食べられない事態が懸念される。

エネルギー価格の高騰も長期化し、さらにアメリカの利上げによって新興国の通貨安も進行すれば、発展途上国の経済は危機に瀕するだろう。

ウクライナでの戦争が長期化すると、ロシアとウクライナの問題にとどまらず、世界不況の引き金となりかねない。

そして5月9日という節目を超えてしまったことで、戦争の長期化はほぼ避けられないと考えなければならないだろう。

モスクワの軍事パレードには大陸間弾道弾の「ヤルス」が登場、極東では北方領土に展開している地対艦ミサイル「バスチオン」などもお披露目された。

その一方で、参加した兵士の数は昨年より1000人ほど少なく、予行演習では赤の広場の上空を飛んだ飛行部隊も姿を見せなかった。

ロシアが核戦争を準備している証として西側メディアが注目していた「終末の日の飛行機」とも呼ばれる「イリューシン80」も結局飛ばなかった。

「イリューシン80」は核戦争になった際、大統領らが乗り込んで指揮を取るための大型飛行機だ。

プーチン大統領が、どのような形でこの戦争を終わらせようとしているのか、私には全くわからない。

ただ、プーチンという人は権力を維持するためならイデオロギーも何も関係ないという姿勢で、このところロシアの三色旗と並んで、旧ソ連の赤旗がさまざまな場面で登場するようになった。

プーチン大統領は大統領就任当初、共産党を否定し、むしろ西欧型の政治を志向していた。

それから20年余りが経ち、今回の戦争では反ネオナチの象徴として赤旗を利用するようになっている。

プーチンが目指しているのは旧ソ連ではなくロシア帝国の復活だとよく言われるが、赤旗を掲げて行進する兵士の姿を見ていると、「ああこの人はイデオロギーはなんでもいいんだな」と感じてしまう。

大切なのは自らの権力基盤を守ること。

ロシア国民のことや、ましてやウクライナ人のことなど関係ないのだ。

もしも西側の支援を受けて、ウクライナが反撃に転じ、ロシア軍が劣勢になったらプーチンさんはどうするのだろう?

アフガニスタンにせよ、イラクやシリアにせよ、戦争というものは権力者の思い通りには進まないものである。

ロシアやウクライナの将来も大いに気がかりだが、発展途上国を巻き込んでこのまま世界的な不況になだれ込んでいくのではないかと、むしろそれがこのところの心配事である。

<吉祥寺残日録>ウクライナ危機🇺🇦 軍事侵攻から2ヶ月!「第2段階」に入った戦闘に翻弄される人々 #220424

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